塊を広げつつもちつき虫は木立の夕日を突きにゆく
細道のブロック塀を薄の葉越えて探るときの風
径の隅二枚貝が口あけて空に吠える犬をみていた
雀らが飛んでゆかない曇り空に電線ひそととどめて碍子
夏かどに触れていまなえはじむ薄もも色の風が去るまで
地蔵坂柘榴の実の木の下で地蔵はひそと手の平をみせ
太陽を砕きて集める海原を動かすものとなりたる地軸
赤い目は左右にとおく雪降りの日には内よりかたまる兎
蓮沼にふかくふかく手を入れて光を上からかきまぜてゆく
糸に吊る身の重たさにゆれながら飛び立つ風をさがす蓑虫 |