短歌−蓑虫の揺れ
 
 
 

■歌集『フルヘッヘンド』抄

 
 
 

塊を広げつつもちつき虫は木立の夕日を突きにゆく

細道のブロック塀を薄の葉越えて探るときの風

径の隅二枚貝が口あけて空に吠える犬をみていた

雀らが飛んでゆかない曇り空に電線ひそととどめて碍子

夏かどに触れていまなえはじむ薄もも色の風が去るまで

地蔵坂柘榴の実の木の下で地蔵はひそと手の平をみせ

太陽を砕きて集める海原を動かすものとなりたる地軸

赤い目は左右にとおく雪降りの日には内よりかたまる兎

蓮沼にふかくふかく手を入れて光を上からかきまぜてゆく

糸に吊る身の重たさにゆれながら飛び立つ風をさがす蓑虫

 
 
 
「一読すると、かなり大きな転回のきざしを感じた。図式化して言えば、認識論から存在論へ、構造主義からポスト構造主義へ、状況を主体の身体的契機に集約しての自己省察への転回である」(針生一郎氏帯文)
 
 
歌集『フルヘッヘンド』(砂子屋書房)
[概要]
発行:砂子屋書房
栞:針生一郎
装幀:倉本修
発行日:2006年12月20日
体裁:A5判上製
定価:本体3000円+税
ISBN4-7904-0934-1
 
 
「東郷雄二のホームページ」の「今週の短歌」のコーナーで、東郷雄二さんが書評を書いてくださいました。どうもありがとうございました。
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