短歌−蓑虫の揺れ
 

 

 

ながれるかお

 
 
 
 

女ひとりを坐らせて 花の模様のついと遠のく

赤い空つぶれた光、馬走る速さにひとが一人またがる

水面に空が映りて二匹の金魚窓外へと茎たらす草

走れはしれと声のするのっぺらぼうの男の走り

目のくぼみ黒くぬりつぶし左向く キャンバスは途切れおり

目蓋を半ば開く内に 時計の針は止められて

うねる線層をつくりて色をなす人は動きをやめてしまえり

人型の線にそって描きおく幾何学模様の繰り返し

細道のうねりのなかに少女らの見つめる沼のふいに止まりて

椅子ゆらしながれるかおの人のうち描き続けてわからなくなり

 

 
 
*初出:「十月会レポート」102(2002年5月)
 
 
 
 
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© Mizuho TAKAHASHI  http://homepage3.nifty.com/mino-mushi/
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