短歌−蓑虫の揺れ
 

 

 

眉のたれ

 
 
 
 

人びとのいのり拡散するゆくえ聴いてるふりの眉のたれ

口丸く黒く塗られて膝かかえ人らは歌う姿のままに

十字架に人のかたちをはめ込んでひとは頭をたらしているが

背景がうねりの波となりて人らにぶつかる まるく空く目

十字架の下の女らばらばらの指を祈りに向けひざまずき

やすらかにやすらかに卵顔の目の楕円

キリストは三個の釘に押さえられ弧を描く眉口の髭

夕焼けの空も海もうねり出すたちつくすひとらの目のまるさ

丘に家うちに十字架おきながら風に突かれて走った男

バイオリンひく手をとめて窓をごらんよ空の赤さにとけぬ雲

 

 
 
*初出:「個性」(2002年7月号)
 
 
 
 
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© Mizuho TAKAHASHI  http://homepage3.nifty.com/mino-mushi/
短歌−蓑虫の揺れ