短歌−蓑虫の揺れ
 

 

 

売る草緑

 
 
 
 

高くたかく地上にまわる観覧車吊られながら降りてきた

ねこじゃらし風のゆくえを見送りており細き毛にのこる玉

霧のあけてひろがる港の街に岸辺のとがり海のとがり

地上はるか と 確かさなど見えぬあたり

あれは蔦のはいゆく倉壁の包まれて 時のありぬ

赤レンガ倉庫の上の避雷針風の流れのとがる位置

店々が売る五月の草緑ガラスコップの光につめた

ビルの立つ土の深さビルを支える穴があいてる

石畳すき間にのびる草々のみどりの息もふちどりとして

残された丘の緑をすこしずつ遠ざけめぐる観覧車

 

 
 
*初出:「個性」(2002年8月号)
 
 
 
 
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© Mizuho TAKAHASHI  http://homepage3.nifty.com/mino-mushi/
短歌−蓑虫の揺れ