短歌−蓑虫の揺れ
 

 

 

人らは声を

 
 
 
 

線をたどれば人となるバイオリンひくかたちして

ブラウスの上半身をすくませてふくらむ肩のなかの風

しずかなる時の消えてうねうねと人の目玉がぽつんとあいた

化粧の顔の隙間から皮膚みえてとろりまなこの支える瞳

手のひらを握りしめたやわらかさすくみごしに目が二つ

あいた口あいた鼻穴あいた目を押し込んで曲線ながれ

トルコ帽子ひとつから人間の湧き出してくる輪郭のある

すいとすくませればブラウスの肩に丸き膨らみができ

赤い空に向かってバイオリンひく少年の音の流れは弦の先から

地の緑へ腰をおろして口をあけ人らは声を出すかたち

 

 
 
*初出:「個性」(2002年11月号)
 
 
 
 
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© Mizuho TAKAHASHI  http://homepage3.nifty.com/mino-mushi/
短歌−蓑虫の揺れ