短歌−蓑虫の揺れ
 

 

 

つまんではみた

 
 
 
 

冷蔵庫の暗がりに大蒜の白根ののびる芽の尖るまで

浅蜊ののびて砂吐く管をあちこち向けて泡をつけり

山鳩も北の緑に身を隠し太くふるわす空気のひびき

水やりもほのか香を誘うかな素焼の鉢のバジルバジリコ

ひとつふくれた桃の実のほとりと落ちて六月は過ぎ

山葡萄摘んで一粒持ち帰る手提げの染みも焦たころ

削げ落ちたもののあとにしなやかな曲をめぐらせ米のひと粒

するすると逃げる言葉を追いかけて口のとがりをつまんではみた

芒の穂月の出でくる夕暮れに刈る人影に風送る

蓑虫のとがりの揺れたとおい空わすれてゆくか青にとけ

 

 
 
*初出:「個性」(2001年1月号)
 
 
 
 
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© Mizuho TAKAHASHI  http://homepage3.nifty.com/mino-mushi/
短歌−蓑虫の揺れ