冷蔵庫の暗がりに大蒜の白根ののびる芽の尖るまで
浅蜊ののびて砂吐く管をあちこち向けて泡をつけり
山鳩も北の緑に身を隠し太くふるわす空気のひびき
水やりもほのか香を誘うかな素焼の鉢のバジルバジリコ
ひとつふくれた桃の実のほとりと落ちて六月は過ぎ
山葡萄摘んで一粒持ち帰る手提げの染みも焦たころ
削げ落ちたもののあとにしなやかな曲をめぐらせ米のひと粒
するすると逃げる言葉を追いかけて口のとがりをつまんではみた
芒の穂月の出でくる夕暮れに刈る人影に風送る
蓑虫のとがりの揺れたとおい空わすれてゆくか青にとけ