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文学作品集: 詩と歌 II |
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Poems and Songs 文学作品集: 詩と歌 II ![]()
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『MIRANDA耽美和歌集 II』
【Poema Pulchra】 [TOP]
「星風銀天想秋孤雁」![]()
― 王朝幻歌・壱 ―
御息所逝きし後、寂れに寂れし
六條邸に迷ひ雁なる皇女の殘り
妾心虚ろにして、秋風彷徨へば
何時か邸に亡き人が思ひ出語り
語り語りつ、妾が裳濡れそぼち
此の年月の淋しかるべき秋想ふ
星風銀天想秋孤雁
薄雲の漂よふ邊り妾ひとり 迷ひ雁とて冬迎へつゝ
七彩の雲耀きて仰ぐ空 憧れ逝きぬ妾が戀遠く
星風に銀砂の天を彷徨へば 虫の聲にぞ魂の消えなむ
六條の皇女訪ね秋の夜に 還らぬ人を語りつ濡れし
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1024:1440
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| 星風 | ほしかぜ | |
| 皇女 | ひめみこ |
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「冬空花散」![]()
― 王朝幻歌・弐 ―
妾生まれ出で、惠みと幸を願へども
春過ぎし、夏秋冬と四季わたりつゝ
冬の枯野に姿見し雁の飛び立つ幻か
想ひいずるは光滿つ、春の野邊にて
香り撒く、花の季節を夢にも見てど
哀れ枯れ逝く此現身に名残ぞあらむ
冬空花散
人故に戀しかるべき人なれば 此の身は秋の雁とも逝かむ
薄曇る冬空よりは花の散り 頬に触れては涙なるかも
夕空に舞ふ乙女らの翼鳴る 唐衣捨てゝ飛び立ちまほし
憂つし世を何に譬ふがあはれなる 雲居の雁の濡れにし羽に
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1024:1510
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| 現身 | うつしみ |
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「銀花迎金陽光」![]()
― 王朝幻歌・參 ―
六條皇女御母逝去後、姉なる齋院
しばし邸を訪ね来て、慰めむとて
和琴なる古雅の響きに相過ごしぬ
院は儚く、白雪夢に身罷りたまふ
銀花迎金陽光
風吹きて御格子越に妾を呼ぶ 亡き皇女に逢ひし朝に
君が前樂合わせつゝ燃えし胸 夢の白雪光りに溶けつ
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1024:1535
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| 朝 | あした |
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「夢幻花散」![]()
― 王朝幻歌・四 ―
六條齋院皇女薨去せし前、幾首か
古の歌詠み遺しけり、夢なる夢に
永遠の夢齋院詠みて花の散りぬる
夢幻花散
花と散る妾が身凍えて氷なる 夢も現つも幻なるか
春の野に妾が母宮の微笑みを 夢に知る日ぞ妾が琴絶えぬ
絶えるなら絶えよ命よ妾とはに 夢にて君と琴音合はさむ
妾が戀は春雪に似て空しきか 夢の浮き橋渡りつ見れば
夢夢と妾が姉宮の涙手蹟に 妾が琴歎き初音も絶えぬ
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1024:1605
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| 皇女 | ひめみこ | |
| 古 | いにしえ | |
| 永遠 | とは | |
| 手蹟 | て |
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「幻秋奏琴色空雁歌」![]()
秋過ぎて、幻ぞとて思ひぬるは、妾が徒し
命の日日か、古里の橘いまぞ、懐かしきと
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幻秋奏琴色空雁歌
橘の里ぞいにしへ懐かしく 覺ゆる朝は霧こそ深き
妾独り而已にあらねど現世は 生くるも死すも雁の歌なる
玉響に聞きし汝が聲幻か つま弾く琴の秋の月夜に
現し世に春の花とて求めども いま妾一人琴音に散らむ
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1120:2145
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| 徒し | あだし | |
| 現世 | うつしよ | |
| 汝 | な |
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「氷月懐旧青陽昔日」![]()
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此の日日に季は冬へと移りけむ
ふと、覺ゆれば、妾が世も移り
いま冬月の雁なき霄に琴奏でむ
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氷月懐旧青陽昔日
春待てど老いし此の眼に霧かゝり 菫を摘みし野邊今いづこ
朝朗け光滿ち行く東雲に 夢見し昔いまは懐かし
朝霧の流るゝ水の冷たさに 冬ぞ迎えし此の頃と知る
月翳も氷に霞む霄なかに 琴を弾きつゝ古偲ぶ
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1203:1850
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| 霄 | そら | |
| 朝朗け | あさぼらけ | |
| 東雲 | しのゝめ |
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「紫霞翔翼夢幻去行」![]()
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妾生まれ来て春日なる稚なき日々ぞ
今いづことて、尋ぬる聲の秘やかに
夢幻か、紫馨る野を翔け去りまほし
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紫霞翔翼夢幻去行
春日なる美酒三輪の山想ひ 紫霞む野を行き行きぬ
東雲に啼く椋鳥は何傳ふ 夢の野を行きまた夢を見む
明日香なる紫草の匂ふ君 何のゆかりと夢にも問はむ
翼翔くそらみつ大和春日山 羽搏き去りつ行方も知らず
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1203:1920
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| 美酒 | うまざけ | |
| 翔く | ゆく |
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「上宮色空晨星飛鳥」![]()
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上宮に古知られし皇子のあり
其の尊きぞ晨星にも比すらる
いまに遺るは紫雲英の花のみ
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上宮色空晨星飛鳥
晦瞑の現し此の世は幻か 春菫とて南無観世音
暗暗と生まれ暗暗生死なる 紫草に御佛宿り
晨星の光も鳥も色なるか 琴奏でつゝ五蘊皆空
紫雲英摘む飛鳥の野には光滿ち 上つ宮とて名而已遺れり
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1203:2005
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| 晨星 | しんせい・あさぼし | |
| 生死 | しょうじ | |
| 紫草 | むらさきぐさ | |
| 紫雲英 | れんげ | |
| 而已 | のみ |
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「紫香相聞壬申壱傳」![]()
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皇太弟大海人秘かに歌を贈りけるに
十市皇女母王、君こそ虎にありしと
紫香る歌にて答へけりと壱傳にあり
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紫香相聞壬申壱傳
橘の香り懐かし君なれば 人妻とても戀ひ慕ふなり
返歌![]()
紫の色とて妾を呼ぶ君は 野守ぞ知らね虎にしあれば
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1203:2040
【Poema Pulchra】 [TOP]
「空行く雁に」![]()
王朝の悲歌は秘歌にてあるならば
戀の言の葉とても、はた相聞とて
空行く雁や春の花而已此を知れり
空行く雁に
紫の匂へる君を慕へども 空行く雁に心託さむ
返歌![]()
春の花香る季こそ短けれ 忘れられまし籠の鳥なら
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1030:2300
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| 而已 | のみ | |
| 季 | とき |
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「悲色花霧謎則現世」![]()
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此の世には、狂氣と謎のあまたあらば
我らぞいかで異邦にありて、主に信義
抱く事のあるべきや、生きるも死ぬも
風も嵐も、森はた優雅な白鳥とても、
なべて悲運の涙にあらば、我が現世に
花霧の色闇闇と、すべて謎なる謎の謎
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悲色花霧謎則現世
悲しみを何の色にて染めけむや 流れる水の冷たさなるか
碧落に光る救ひの神ありと 祈るロザリオこゝろ涙す
アヴェマリス星なる乙女憐れみに 此の地上をぞ波にて覆ふ
風の吹き嵐の怒りぞ悲しみか 森は泣き伏し白鳥逝くと
果てしなき此の世の謎を誰知るか 無量の星辰ぞ静寂に光る
幾億の涙の溜まり湖となり 白鳥舞へる滅びの碧か
銀漢に尊き神のゐませりと 祈るロザリオ紫散らむ
返歌![]()
悲しみを染める色とて空なるか 花ぞ夢見る霧に溶けつゝ
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1209:1725
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| 白鳥 | しらとり | |
| 現世 | うつしよ | |
| 花霧 | はなぎり・ふぁむ | |
| 碧落 | へきらく | |
| 星辰 | ほし | |
| 静寂 | しじま | |
| 湖 | うみ | |
| 碧 | あを |
【Poema Pulchra】 [TOP]
「霧中花邑幻想」![]()
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そのかみ、十七世紀のイングランド
不死の邑の傳説ありと語られにけり
霧の彼方の森の奧に、とはにひそみ
彼の邑眠りしと、いまは昔の譚而已
― ジェイン・ド・シャルロン ―
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霧中花邑幻想
霧霞む森の奧処に迷ひ込み 花咲く村に憂ひ忘れむ
薔薇の咲く秘かな土地に悲しみを 消しまほしとて叶はぬ定め
妾らみな人と生まれて老ゆる身に 死なき命ぞ畏怖あらずや
霧の夢森彷徨ふに出邂へども 現し身こそと鶯歌ふ
Miranda ☆☆☆☆ 2050:1025:1225
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| 邑 | むら | |
| 譚 | はなし | |
| 而已 | のみ | |
| 奧処 | おくが | |
| 畏怖 | おそれ |
【Poema Pulchra】 [TOP]
『アクティウム悲歌』![]()
― Elegia Actii ―
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時に、ローマ将軍マルクス・アントニウス、
アイギュプトス女王クレオパトラ七世クリノ
ンと聯合し、ローマ執政官オクタウィアヌス
とアクティウムにて海戰交へ破らるゝ、将軍
アントニウス自刃し、クレオパトラ七世クリ
ノン虜囚の辱め避けはた自決せり、アイギュ
プトス・プトレマイオス王朝滅び、帝國ロー
マの榮誉地中海世界にありて、燦然耀きたり ― アレクサンドラ・ウェスタ II 世 ― ( Aleksandra Vesta Secunda ) ==================================== |
アクティウム悲歌
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Miranda ☆☆☆☆ 2050:1204:1110
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| アイギュプトス | Aigyptos, Αιγυπτος (希)エジプト | |
| レウコイオン | leuko-ion, λευκοιον (希)白菫 | |
| クリノン | krinon, κρινον (希)百合 | |
| (クレオパトラ七世の愛称・個人名) |
| 展げ | ひろげ | ||
| 戰 | いくさ | ||
| 冀はく | ねがはく | ||
| 彼の道 | かのみち | ||
| 倶に | ともに | ||
| 傳こそ | でんこそ | ||
| 発たむ | たたむ | ||
| 答ふ | いらふ |
[*] 西暦紀元前參拾壱年。ローマ将軍マルクス・アントニウス、エジプト女王ク
レオパトラ七世との聯合軍にて、ローマ執政官オクタウィアヌス・カエサルとギ
リシア西北岸アクティウムにて雌雄を決せり。アントニウス・クレオパトラ七世
聯合軍破れ、オクタウィアヌス、ローマの覇權を掌握す。翌年、エジプトに進軍
せるに、アントニウス自刃し、此れを追ひて、クレオパトラ七世はた自決せり。
かくして、アレクサンドロス帝國來のエジプト・プトレマイオス王朝滅び、榮光
燦然たる帝國ローマの属州へと編入さるゝ。
− Aleksandra Vesta Secunda − ![]() |
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Miranda ☆☆☆☆ 2050:1024:1605 |
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