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人工股関節


人工股関節は実用化されてからおよそ半世紀が過ぎました。色々なデザインのものがありますが、基本的には股関節の動きを再現するためにボールとそれを受けるカップで出来ており、ソケットの中でボールが動く事により股関節の動きを再現します。関節面は金属とポリエチレンが一番多いのですが、それ以外に金属同士のものやセラミックなども使われています。


人工股関節を入れるとどんなことができるのか
痛くて歩けなかった人が、痛み無く歩くことができるようになります。歩き方も良くなりますし、左右の足の長さに差があっても手術の時に調整ができます。

痛みのために我慢していたショッピングや旅行などにも行けるようになり生活の質が向上します。ご高齢の方の場合は遠くにいるお子さんやお孫さんに会いに行けるようにもなります。

マラソンなどの激しいスポーツはあまりお勧めできませんが、ゴルフなどは可能です。



MIS人工股関節置換術
MIS人工股関節手術では10cm程度、あるいはそれ以下の小さい傷で手術を行います。傷が小さいことも術後の痛みを少なくしてくれますが、それ以上に重要なのは従来の手術に比べれば筋肉の損傷が非常に少なくなることです。手術後のリハビリテーションに際して筋力が保たれていれば早期から訓練が行えます。

      

          術後2週を過ぎると早歩きもできるようになります。


人工股関節の寿命
人工股関節として現在最も多く使用されている金属のボールとポリエチレンのソケットを使用した機種では手術を行ってから15年~20年ほどした時点で8割から9割の患者さんがまだ入れ替えなどの手術をせずにすごしていると言われています。

人工股関節が駄目になってしまう原因はいくつかありますが、最も重要な原因はソケットが磨り減ってしまうことによります。ソケットが磨り減らないようにするには人工関節を正しい位置に入れることが最も重要ですから、その為にナビゲーションや手術ロボットなども開発されています。また、人工関節の材質を変えることでソケットなどの部品が磨り減らないようにする工夫もすでに開発され、使用されています。

人工股関節の合併症
人工股関節では金属などの異物を体の中に入れるわけですから、運悪く細菌感染などを生じるとその表面についた細菌を殺す事が出来ません。なぜなら、人工物は血液が流れていないため、細菌を殺す免疫担当細胞や抗生物質などがたどり着く事が出来ないからです。その為、人工関節が感染を起こすと抗生物質などのお薬だけで治すことは難しく、多くの場合手術が必要です。しかし、最近ではこの手術自体も関節鏡を使用するなどMISでのアプローチが使われるようになってきました。人工股関節の場合でも股関節鏡が使用可能です。しかし、そもそも感染を起こさない事が一番大事ですから人工股関節の手術はバイオクリーンルームと言われる非常に細菌の数が少ない部屋で行い、また術者も宇宙服のようなヘルメットをかぶって手術を行います。このような工夫により、感染を生じる割合は非常に低く抑えられています。

血管の中で血液が固まって血栓というものを作る事がありますが、これの大きいものが出来ると肺の大きな血管を詰まらせてしまい、最悪の場合死亡してしまう事もあります。このような状態をエコノミークラス症候群と呼び、飛行機などで長距離を同じ姿勢でいると発生しやすくなります。この合併症を防ぐために血液が固まりにくくなるお薬を使用したり、下肢にマッサージ機を取り付けて大きい血栓が出来ないように注意しています。

人工股関節は関節の袋を破って手術を行うわけですから、手術後早期には脱臼しやすい状態になります。また、設置した人工関節のソケットとステムが当たることによって脱臼する場合もあります。そこで脱臼を防ぐために大きな骨頭を使用したり、脱臼しにくくなる手術方法を採用したりと様々な工夫がされています。



   



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