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長持ちさせる工夫を施した人工股関節


一般的な人工股関節では金属の外枠とボールの間にポリエチレンが入っています
クロスリンク
   ポリエチレン
すり減りにくいポリエチレン
メタル・オン・メタル
金属のカップと金属のボールの組み合わせ
セラミック・オン・セラミック(セラ・セラ)
つるつるのセラミック同士の組み合わせ


クロスリンクポリエチレン
人工関節を長持ちさせるために様々な工夫が行われています。代表的な人工股関節は左上の写真のように金属のボールとポリエチレンのカップで関節を作ります。このポリエチレン自体の材質を改良してすり減りにくくしたのがクロスリンクポリエチレンです。従来のポリエチレンに比べてすり減りにくいのでポリエチレンの厚さを薄くすることが可能になり、ボールも大きいものが使えるようになったので、その分人工関節設置後の脱臼などの危険が減少し、また股関節の動き(可動域)も小さいボールを使ったときよりも大きくなりますので日常生活上有利です。まだ本格的に使われるようになってからは数年の歴史しかないので、30年、40年という長い間使用できるかどうかは結論が出ていません。ポリエチレンは50年以上の使用実績のある材質であり術後成績も安定していますから、入れ替え手術(再置換術)の可能性が低い高齢の患者さんの場合には好んで用いられます。

メタル・オン・メタル
金属のカップと金属のボールでできたメタル・オン・メタルは非常にすり減りにくい上に丈夫で壊れにくく、また大きいボールを使いやすいので股関節の動く可動域が大きくなります。すり減りに強いので長持ちしそうだという期待感があり、次第に使用頻度も増加していますが、わずかとは言えすり減りますから、血液中の金属イオン濃度が上昇します。この期間は術後およそ1年ほどで落ち着いてくる、とは言われていますが、数十年使用したときの影響については十分な数の使用経験が報告されていないのでわかりません。腎臓に障害があると金属イオンの排出が悪くなるので高齢の方では悪影響が出るかもしれません。このような理由で、ポリエチレンを使ったのではいずれ入れ替え手術をしなければならなくなる可能性が高い若い人に使用するのが良いのではないかと一般的には考えられています。また、金属アレルギーがある人などはもちろん使用を避けた方が無難です。

セラミック・オン・セラミック
つるつるで非常にすべりの良いセラミック同士で関節を作る人工股関節です。すり減りにくいのはもちろんの事、メタル・オン・メタルのように金属イオンの心配をする必要が無いので腎臓が悪くなりやすい高齢の患者さんでも大丈夫なのですが、頻度は低いものの金属などと異なり破損を生じる場合があります。若い人では日常生活での使い方が激しいので破損の問題をどう考えるか、という問題が残ります。

オキシニウム
金属の表面を高温で熱する事によってセラミックに変えてしまい、セラミック・オン・セラミックのすり減りにくさを保ったままメタル・オン・メタルの丈夫さを実現しようというもので、理論的には非常に魅力のある材料です。ただ、2008年4月の時点ではまだ日本には輸入されておらず使用不可能である事と、また新しい材料なのでしばらく使用してみないと何か問題が生じるかどうかがわからない、という面を持っています。ちなみに人工膝関節では2008年の夏からポリエチレンの関節面との組み合わせで使用可能になる予定です。

その他の工夫
最もよく使われるポリエチレンの人工股関節を長持ちさせる工夫としてポリエチレンにビタミンEを混ぜたものもあります。まだ製品化はされていませんがほとんどすり減らないポリエチレンを作る試みなども行われています。またこのコーナーでは関節面の話だけを取り上げましたが、人工関節と骨を固定する部分での工夫としても人工関節の表面の凸凹に骨が入りやすくする工夫や、人工関節を骨と固定する接着剤である骨セメント使用の際の工夫など、色々な事がおこなわれています。その他には、人工関節の入れ替え手術は仕方が無いものと考え、入れ替え手術のときに次の手術がやりやすくなるように骨を切除する量が少ない人工股関節などもすでに使われています。

機種の選択について
このように人工股関節を長持ちさせる工夫は色々と使われています。どの機種を使用するのが良いか、という事は患者さんの状態によりすべて異なります。一つの機種だけで全ての患者さんの手術を行うのは不可能ですし、またどの機種も全てにおいてベスト、というものは無く、それぞれ長所と短所を持っています。このページを読んでご自分の人工関節について色々と考える方もおられるとは思いますが、機種の選択については主治医の先生にお任せしておくのが一番だと思います。ちなみに、色々書いていますが、ポリエチレンが一番やわらかくて感触が良い、という意見もあるようですので長持ちだけの点ではなく使用感、といものも考えてよいかもしれません。また、長持ちが期待できる機種でも比較的早い時期に入れ替え手術が必要になる場合も稀ですが存在しています。



    


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