博多弁よくある質問

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博多弁についてのよくある質問に答えてみました。


【問1】 バリ・チカッパは博多弁か?!

【答え】 「ばり」「ちかっぱ」は、方言というよりも、まだ若者語というべきものではないかと考えています。

博多で使われ始めたのは主に10年くらい前からでしょうか。ただし用語そのものは1984年北九州市域での「中学生ことばの調査」で確認されています(岡野信子:ことば風土記:葦書房)。また全国的には「現代用語の基礎知識:自由国民社)の1990年版に、いわゆる「超〜」「チョ〜」「めっちゃ〜」「むちゃ〜」「ぶり〜」「ごっつ〜」などと一緒に、過激さをあらわす若者語としてとりあげられています。現在の主な使用言語圏(大げさ(^^;)としては、博多だけでなく、福岡県・長崎県・大分県と山口県の一部(井上史雄:新方言辞典:http://triaez.kaisei.org/~yari/Newdialect/)となかなか広い範囲のようです。例えば試しに長崎での「バリ」使用語例をネット検索をかけてみるとその勢力圏が簡単に確認できるでしょう。

こうして「バリ・チカッパ」は若者を中心に使われ始めた流行語・過激語の一種ですが、現在の博多での主な使用年齢層はせいぜい30才以下、まだ仲間語以上の広がりはなく、むろん目上の人との会話やあらたまった席で使える言葉ではないようです。
ところが、口慣れた言葉・しゃべりやすい言葉・お行儀の悪い言葉ほど市民権を得やすい傾向があるのも確かで、これがあと10年から20年を経て、使用者の年代が上がるとともに、使用年齢層が広がって普通の日常語・方言として定着する可能性もあるでしょうね。
たとえばの話、長浜ラーメン屋台街あたりではすでに「バリ堅・ばり柔」という注文用語が頻繁に飛び交っていますし、カップ麺のマルチャン「バリうまごぼ天うどん」も売り出されています。またマツモトキヨシの九州進出第一号店のTVコマーシャルに、ノーテンキ娘(演出)の「チカッパ」しゃべりが出てきたり、現実に福岡地下鉄の中でごく普通の女子高生の「バリむか〜、こいつ。チカッパ腹立つ」なんて会話を聞いていると「こりゃぁ近い将来博多弁になってしまうちゃろな〜」と(絶望的(^^;な気分になるのと同時に)思ってしまいます。
ただし一時期全国的に猛威を振るった「超〜」「チョー〜」という言葉が最近聞かれなくなったように、過激語はやはり流行り廃りがあるのも事実で、このように「バリ・チカッパ」が方言として定着するか否かは、いずれにしても流行語・新方言としての段階を経た後の、まだまだ先の話ではないでしょうか。

【おまけ】
バリ・チカッパの語源。
チカッパは当然「力いっぱい」「力のはいった」でしょう。

さて「バリ」の語源はどげんかというと、「web博多んもん」管理人は
1:パチンコ屋さんの「じゃんじゃんばりばり」
2:おろしたてのスーツを「バリッと」着こなす
3:肩で風切って歩く勢いのある様子「ブリブリいわす」の転化
4:バイク漫画「バリバリ伝説」 などという名推理を働かしとります。語源どげんね〜。

なお未確認情報ですばってん、「バリ」はKBCのパーソナリティ沢田幸二の番組からという説もどっかで読んだ(聞いた?)ことありますばい。


【問2】 博多弁はどうしてできたの?

自由研究か宿題かしらんばってん、小・中学生がちょいちょい「方言とは何ですか」「博多弁はどうしてできたの」とか聞きにくるとです。学校の先生でもなかし、方言の研究者でもなかとやけん「そげなこたぁ知らん」て言いたかちゃばってん、そうもいかんめえしで、アテッポスながら下の【答え】に書いとるごたることば返事しよります。まあ、しかし、子供たちに宿題を出しよる先生方はどげな答えば持っとんしゃるとか、ちーと教わりたか気もしとります。

あのくさ、答えはくさ、小・中学生からのメールに返事したとばそのまま載せとるけん、なんかおかしか感じかも知らんばってん、そのへんはカンベンしとっちゃり〜ね。

【答え】 あなたたちは福岡市の志賀島で発掘された[漢委奴国王(かんのなのわのこくおう)]と刻された金印のことは知ってるかな。この金印が教えてくれるように、奴国=博多は卑弥呼(ひみこ)の時代からたくさんの人々が住む有力な「くに・むら=集落」だったわけです。こういう時代に、隣の「くに」との往来はどうだったかといえば、山あり谷あり川あり海ありの厳しい地形を歩きで乗り越えるしかないのですから、それこそ魏志倭人伝(ぎしわじんでん)にも書いてあるように「水行十日陸行一月(船で十日歩いて一月)」というくらいに難しかったのかもしれません。こうした状況では、どうしても「くに」のなかだけでしか通用しない言葉が増え、これが[くに]の普通の言葉=方言になってしまいます。そうして、「くに」の言葉は古代から江戸時代の終わりまでそのまま使われ続けます。ただ、奈良・平安という時代になってくると、日本という国が統一されて中央政府が出来てきます。そうすると、政府のお役人をはじめとする人々の行き来が盛んになるとともに、その時代の首都の文化や物資とともに、都言葉が全国に伝わっていきます。これは「太宰府」という地方の重要な政府機関があった博多ではなおさらです。そしてその結果、博多弁には当時の都の言葉であった「古語がたくさん残った新しい方言」として根づいてきたわけです。


【問3】 博多弁はいくつあるんですか?

これもむずかしか質問たいね。ほんなごと、こげな質問に答えらる〜くらいなら、ガッコのセンセになれとるとにね・・・。ようわからんとばってん、とりあえずお返事をば。

【答え】 博多弁は何個あるかと聞かれたら「日本語の数だけ」と答えるしかないかもしれません。それはなぜかというと、博多弁の代表選手みたいな「くさ」「ばい」「げな」「すいとう」「しろしか」などはもちろん方言だけど、全国のどの地方でも通じる共通語でも(例えば「こんにちは」「おはよう」とか)、地元の人がしゃべればその発音の高低や強弱の違いで「方言」としかいいようのない場合が多いわけです。こうして博多弁というのは単語だけじゃなくて、発音やアクセントや文法なども全部ひっくるめたものと考えると「博多弁の数」というのはあまり意味のないことになりますね。


【問4】 じゃ「単純明解博多弁事典」に入っている言葉はいくつ?

・・・と、つっこまれたら【問3】で博多弁は数えられんて答えとるけん、困ってしまうっちゃばってん

【答え】 「単純明解博多弁事典」「消滅寸前博多弁事典」はね、アクセントとか発音などの要素をとりのぞいた単語だけを集めた事典と考えてください。言い訳かな(^^;。
「単純明解博多弁事典」には約880語。「消滅寸前博多弁事典」には約550語くらい入っています。この「web博多んもん」のホームページで集めた博多弁はこれだけですが、これ以外にも明治時代から大正昭和とかけて古い方言を集めた本や資料集がいっぱいあります。そのなかには現在まったく使用されていない博多弁(死語とか消滅語とかいいます)もずいぶん記録されています。今みんなが使っている博多弁と、消えていった博多弁とでは同じ数くらいあるような感じですよ。