Title:MilkAge

再会−出張後の横浜駅にて−
5ヶ月の悠澄と1ヶ月ぶりに再会した。1ヶ月の出張のために、妻子を実 家の青森に送っていたのだ。大きくなっていた...これが私の第1印象。 待ち合わせの場所に着いた時は眠っていたが、妻は買い物をするといっ て、そそくさと悠澄を私に渡して姿を消した。久しぶりの抱っこである。

やはり、随分と重くなったなぁ...などと思っていると、目をぱっと開け た。ジロッと私を見つめ、誰だろうかと考えている。少し表情が硬くな る、思い出せないのか...。薄情者と思いながらも、泣き出されては一大 事と、こちらも身構える。

結局、泣きはしなかったものの、私は「どっかのおじさん」に成り下がっ たようであった。緊張の5分間の睨めっこは、早めに切り上げてきた妻の 登場で中断した。しかし、結局夜中も私が抱っこしては眠ってくれず、親 子関係の再構築が始まることとなった。

右利き左利き
赤ん坊は、殆ど生まれたての頃から、手に触れたものを掴もうとする。も ちろん、未だうまく手をコントロールできないことをありありと表しなが ら。

抱きながら、指を掴ませたり、オモチャを握らせたり、色々とやらせる。 手を少し伸ばさないと届かない所に誘うのが面白い。標的を動かすのも、 息子がだんだんとムキになって来る分楽しめる。

こういった遊びをする時に、私はかならず右手をターゲットにしている。 別に右利き左利きで差別をする訳ではない。個人的には、左で字を書く人 と出会うと、軽薄にも格好良いなぁと思わなくもない。けれど、私はかな らず右手をターゲットにしている。

世の中、右利きの人が多いので、右利き用の道具が多いと思っている事も ある。あるいは、私は将来息子に絵を教えたいので、その時に手を取って 教えにくい事を意識しているのかもしれない。いや、あるいは、差別かも しれない。

とにかく、悠澄は右手を先に出すことを身に付けている。

抱き癖−夫婦喧嘩−
結婚してから、いままでの自分の生活リズムが変わってしまったり、いま まで無かった拘束を受けるようになる。小さな夫婦喧嘩は、そうしたこと から始まる。

けれど、悠澄の深夜の号泣や抱っこの執拗な要求は、今までにない険悪な ムードをもたらした。

肉体的な疲労と、イライラは、伴侶にあたるしかない。真の犯人は息子な のだが、いかんせんコミュニケーションが取れないのだから仕方がない。

「すぐに抱っこをするから、抱っこされなきゃ済まなくなった」とか、 「なんでも言うことをきくから、ワガママになった」とか、そんな殆ど言 いがかりじみた発想から、険悪さは深くなる。

狭い家の中で、隣人に気を遣いながら、赤子と過ごすには抱かざるを得な いのだ。泣き続ける息子を放っておける程、耳は遠くはないし、心も冷徹 ではいられない。そんなことは、百も承知だが、イライラは収まらない。

そんな時は、決まって夫婦の会話が激減する。しかし、2〜3日もすれ ば、息子のことで話さざるを得なくなってくる。そして、険悪ムードは自 然消滅する。

後で思えば、赤子が外界を学びだした時期に、親は「忍耐」とかを学んで いくのである。この時期に学ばされた「忍耐」は、その後も(イヤイヤ)大 きく育てられることになる。考えてみれば、この時期程人間と正面から取 り組んだことなど、そうそうはない。やはり、親も学ばなければならない のである。

最初の嫉妬−「このオッパイは僕のだ!」−
Image オッパイを飲むのも、慣れてくると遊びだすようになる。しっかりと飲ん でくれない。

そういう時には、私がチョッカイを出す。人には見せられないが、私がオ ッパイに吸い付こうとする。すると悠澄は、猛然と敵意をあらわにする。

「このオッパイは僕のだ!」と言わんばかりに、手を振って私を退け、自 分が吸い付く。吸い付くと、横目で私を睨む。この仕草がかわいい。

明らかに独占欲があるのだろう、こんなにチッコイくせに。色んな感覚が 生まれて来る。見ていて飽きない。

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