Title:MilkAge

煙草
日本に帰って来ると、悠澄の歩きにはますます磨きがかかっていた。どこ へなりとも歩いていこうとする。但し、距離はもたなくて、すぐに抱っこ をせがむが。

歩き出すと同時に、何かを拾うという動作に凝ってくる。そこで、外を歩 かせて辟易するのが、煙草のポイ捨てである。いやはや、よくもこんなに 捨てる族(やから)が居るものだと感心する。1mも歩かせれば、2〜3本は 目に留まる。

何が危ないのかというと、赤子にとって拾ったものは、殆ど瞬時にして 「口に入れるもの」と変化する点である。石でも、小枝でも、なんだって 構わない。勿論、煙草だけを特別視するメカニズムは持っていない。

私は、煙草を吸わないし、大嫌いでもあるが、吸うこと自体を追放しよう とは思わない。正しく吸ってくれればいいのだ。自分の勝手だろうと他人 に迷惑をかけながら吸う姿は、情けないことに気付いて欲しい。そう言え ば、日本は国会でさえ禁煙ではない。

新居探し
転勤の通達は、出張中にされていた。1部隊揃っての転勤なので、心の準 備は出来ていたが、家探しの出遅れはかなり心配した。おかげで出張(帰 国)後の週末は殆ど全てが家探しにあてられた。

とりあえずどんな所か見に行くところから始めて、どこに住むかをあれこ れと考えた。海老名ですら、さして都会的な地ではなかったが、「これ以 上田舎に行く」ことに何故か抵抗があった。

日頃、「東京的」なものとは、非人間的なことを指しているのに、何故か 東京圏内に留まりたいという意識があった。自分達はそうそう都心に行く ことはないと経験的に知っているのに、都心までの時間も気にしていた。 心のどこかに、「東京」を一種のステータス・シンボルと思っている馬鹿

らしい心が、残っているのかもしれない。一局集中に異義を唱えているく せに、我が身のこととなると、違ったことを考える。情けない。

しかし、新居の第一の条件は、子供にとっての環境であった。

そんなことを考えながら探した。羽村市は、地元の人には失礼かもしれな いがかなり田舎的である。妻の郷里から友人が来た時も、「ここは東京じ ゃないよ」というのが第一声だった。地図を広げれば市内の公園の数に驚 かされ、住んでみれば近所の人々の親しさに驚かされる。義姉が訪ねてく れた時など、帰り道に雨に遭い、その水知らずの義姉に近所の人が傘を貸 そうかと言ってくれたそうだ。そんなのは、もうお伽話か昔話にしか出て 来ないと思っていた。

1ヶ月、多摩を放浪して、羽村に決めた。住んでみての不満は、時々耐え 難くうるさくなる米軍機と、100メートル圏内に高圧線[1]が走っているこ とくらいだろうか。

[1] 科学的/医学的に因果関係は証明されていないが、高圧線下の住民の
数々の健康上良くない事例が報告されている。

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