斜頚症状を示すウサギに
ドロンタ−ルプラスとST合剤を処方して症状改善した1例
〒462-0844 名古屋市北区清水3-18-16
さかい動物病院 酒井直治(獣医師)
月曜〜土曜 AM9:00〜12:00 PM5:00〜8:00
日曜・祭日 休診
TEL 052-916-7530

品種 雑種
年令 2001年12/6生
生別 オス
初診 2002年 3/18
体側に対してほぼ直角に右側斜頚。水平眼振もあり容易に身体が回転してしまう。
レントゲン検査で鼓室胞には異常無。
自力採食が困難なため入院治療とする。
初診時体重1kg。
乳酸リンゲル液の皮下補液。
コカルボキシラーゼ25mg、プレドニゾロン1mg/kg、エンロフロキサシン10mg/kgをSC
sid。
食餌はCritical Careを強制給餌。
3/19
乳酸リンゲル液を皮下補液。コカルボキシラーゼ25mg、エンロフロキサシン10mg/kgをSC
sid。
眼振は依然あるが、斜頚角度が少し改善。入院舎内の牧草にも興味がでてきた。
3/20
乳酸リンゲル液の皮下補液とコカルボキシラーゼ25mg、エンロフロキサシン10mg/kgをSC
sid。
眼振が消失、斜頚角度が更に改善、自力採食が可能になったので、薬を内服として退院。
オクトチアミン10mg/kg、エンロフロキサシン10mg/kg
PO sidに乳酸菌製剤も加え、内服薬とした。
4/12
内服薬を持続的に処方して自宅療養を続けていたが、斜頚症状が戻ってしまって来院。
プレドニゾロン1mg/kg、エンロフロキサシン10mg/kgをSC
。
その後1週間以前の内服で様子見るが症状の改善が無い。
4/19
飼主に説明、同意のもと、抗生剤をST合剤30mg/kg PO bid(*1)、ドロンタ−ルプラス1錠を7分割 PO sid(*2)として内服。
4週間投与計画とする。
投与3日目あたりから症状が改善。元気食欲も異常ない。
4/26
体重1.25kg。
来院時は興奮のためか僅かに斜頚しているが、家で落ち着いている時は症状が消失しているときもあり。
5/2
体重1.3kg。
前回と同じ。
5/10
体重1.35kg。
前回と同じ。最後の1週間分の内服を処方。
5/17
体重1.45kg。
投薬終了。斜頚は、ほぼ消失。他の神経症状も無し。元気食欲あり。
以後は経過観察とする。
血液データ
| 項目 | 参考値 | 4/19 | 5/2 | 5/17 |
| WBC | 5000〜10000/mm^3 | 7100 | 7350 | 7750 |
| Ht | 36〜48% | 42 | 44 | 46 |
| TP | 5.4〜8.3g/dl | 6.7 | 6.1 | 7.0 |
| ALB | 2.4〜4.6g/dl | 4.1 | 3.8 | 4.4 |
| GOT | 14〜113U/l | 17 | 13 | 33 |
| GPT | 48〜80U/l | 20 | 14 | 23 |
| ALP | 8〜48U/l | 483 | 475 | 495 |
| Cre | 0.5〜2.5mg/dl | 1.1 | 1.2 | 1.4 |
| BUN | 13〜29mg/dl | 21 | 17 | 21 |
| Glu | 75〜155mg/dl | 136 | 128 | 110 |
| T-cho | 10〜80md/dl | 38 | 34 | 30 |
| Na | 131〜155mEq/l | 144 | 143 | 147 |
| K | 3.6〜6.9mEq/l | 4.7 | 4.5 | 6.0 |
| Cl | 92〜112mEq/l | 99 | 100 | 97 |
| Ca | 11.5〜15.3mg/dl | 14.5 | 15.0 | 14.9 |
| P | 4.0〜6.9mg/dl | 4.4 | 4.0 | 7.1 |
| T-bil | 0.0〜0.7mg/dl | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
※参考値 フェレット、ウサギ、げっ歯類-内科と外科の臨床-、うさぎ学入門 より
*ALPの基準値は12ヶ月齢以上の数値を表示しています。幼若ウサギは高値を示すそうです。(酒井先生より。この行のみ松田記す。)
*1 ST合剤について
毒性試験
ラット 60mg/kg/dayおよび200mg/kg/dayの3ヶ月間投与で異常無し。
600mg/kg/day3ヶ月間投与で脳下垂体と甲状腺が肥厚。
LD50 ラット メス 2725mg/kg オス 2475mg/kg。
国内の動物用医薬品販売元の共立薬品の情報による。
*2 ドロンタ−ルプラスについて
犬用総合駆虫薬(犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫、瓜実条虫を駆除)。
1錠660mg中 プラジクアンテル50mg パモ酸ピランテル144mg
フェバンテル(*3)150mg含有。
*3 フェバンテルについて
フェンベンダゾールのプロドラッグ(誘導体で吸収性がよく、体内に吸収されてから
代謝されて活性物質に変るよう設計された薬物。体内移行性が良く、駆虫スペクトルも広い)