組合作りの際にやるべきことをほぼ順番に並べて見ました。実際にはこれらのいくつかを並行しながら進めることになります。★印を付けたのは特に重要なことです。
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- 念のために言っておきますが、労働組合作りは秘密に行わなければなりません。仲間作りをする際には、仲間になってもらおうという相手を慎重に選びながら進めていかなければなりません。悪いことをしているわけではないのだから、堂々とやれば良いというわけには行かないのです。口では組合を歓迎するようなことを言っても、本当に組合を好きな経営者はいません。大企業・中小を問わずです。とにかく秘密保持には人一倍注意しましょう。
労働組合は組織ですから、一人ではできません。では、企業の規模が小さくて自分以外の社員は社長の親戚ばかりなどという会社では組合はできないのでしょうか。そうした場合は、つまり全印総連や出版労連などといった産別(産業別に組織された労働組合)か、全労連全国一般労組などのどんな産業で誰でも入れる一般労組などに個人加盟するという手があります。労組の先進国であるヨーロッパなどでは、こうした産業別・職種別の組合に労働者が加盟しているというのが一般的です。

- 組合作りの最初に、活動の核になる仲間をまず集めましょう。発起人というところです。最低1人、できれば2〜3人。飲み屋で会社の不満をぶつけ合う同僚や、あなたの失敗をかばってくれ意地悪な上司のいじめから守ってくれたことのある先輩。上司からにらまれても、正義感から発言する直言居士。親しい人でこういう人がいませんか。こうした人に慎重に声をかけて見ましょう。
いきなり、労働組合を作ろうと言うのは危険です。職場の不満を話してもらい、どうしたら解決できるだろうと振ってみましょう。どんな答えが返ってくるでしょうか。場合によっては、向うから「組合でも作るしかないだろう……」という答えが返って来たら、しめたものです。「僕もそう思う」と受け、組合を作って成功した例や、組合のある企業の高い労働条件を示して、「一緒にやろう」と誘いましょう。

- 中核になる仲間ができたら、組合作りへのスケジュールを立てましょう。どんな職場の問題点を解決したいのか、いつごろまでにつくるのか、何をしたらよいのか(このホームページを参考にしてくださいね)。大まかでよいですから、組合作りの計画を立てましょう。
これから、定期的に会議を開いていろいろと活動を進めて行くわけですが、必ず議案書を作りましょう。何を討議するのか議題を示し、必要な資料を用意します。決まったことを最後に確認し、できれば議事録のようなものに記録しましょう。仕事でもそうですが、このPLAN(計画)→DO(計画)→CHECK(検証)というサイクルをきちんと踏むことは重要です。
労組を作るのにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。どのくらいの時間をかければ良いのでしょうか。それは、あなた次第です。あまり、長すぎるとダレてしまい、その上に経営側に漏れる可能性も高まります。かといって短ければ、仲間を集め切れなかったり、知識不足で闘うことになってしまいます。企業が倒産しそうだなどという事態を迎えていれば、1〜2週間で作り上げなければならないでしょう。企業の規模や緊急性を考えて必要で十分な時間を取りましょう。ちなみに、我々は1年5か月ほどかけました。
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学習は決定的に重要です。上部団体まかせ、人まかせにしない自律的な運動を進めるためには、欠かせませんし、実際、組合を立ち上げて団交で経営側と自信を持って攻勢的に交渉するのにどれほど役に立つか計り知れません。
特に重要なのは労働基準法(労基法)と労働組合法(労組法)です。労基法は労働条件の最低基準を示したもので、経営者はこれを守らなければなりません。罰則も用意され、著しい違反には懲役などもあります。あなたの職場で労基法が守られていないのならば、いの一番に改善する要求の一つに組み入れなければなりません。そのためにも、この労基法を良く研究しなければなりません。
労働組合法は労働関係の法律がいろいろと用意している、「サービス」をうけるための労働組合とはどういうモノをいうのか、また、経営者が労組に対して行ってはならないこと(不当労働行為)はどういうことか、そういう攻撃をかけられた場合の法的な解決手段が示されています。これは、規約作りなどでも必要だし、不当労働行為を受けて労働委員会(労働組合がらみのトラブルを処理する行政機関)に訴えるときにも必要になってくる基礎知識です。
何か適当なテキストを選んで、読書会をやれば良いと思います。ただ、本を選ぶ時には注意が必要です。労働法の分野は立場の違いによって解釈は大きく違います。労働法学者や弁護士などの法実務家も労働者に近い人と経営者側に近い人といろいろとおります。書店に行けばわかりますが、経営者や総務の人が労務対策の必要から読む本もありますので、こうした本は避けるべきです。我々は松岡三郎・労働省労政局労働法規課ほか共著『口語六法全書
労働法』(自由国民社)をテキストにしました。ここのところ法の改定もありましたので、最新のもので勉強するようにしてください。労働省や労働基準局のホームページも参考になるでしょう。

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- 労働組合の力は、数の力です。仲間作りが準備の要です。しかし、仲間作りを始める前の準備があります。まず、部署別に労働者の氏名を役職順に並べた表を作りましょう。全部で何人いるでしょうか。このうち取締役を除いた過半数の人数がまず、仲間集めの目標の人数になります。この過半数というのが、労基法上はいろいろと重要な数字なのです。さて、社員なら全部が労組に入れるわけではありません。労組法2条に示されているような人、例えば経営側の利益を代表するような人は入れません。ただ、世に言うように、課長だから、部長だからダメということではありません。役職名ではなく職務内容や職務権限の実態から判断されるものです。とはいうものの、現実的には部長以上というのは難しいでしょう。部長未満の社員、つまり次長や副部長以下が対象になります。さっきの表のうちこの層を色でも付けてください。それが勧誘対象です。
もう一つ表をつくります。この色を付けた勧誘対象の人達をどういう順序で勧誘するかを書いた表です。順番を決めるために検討する要素は、経営者に対して不満を持っているか、改革への気概があるか、経営者との関係の強弱、正義感、組織活動への適性、口の固さ、勧誘するあなた方との関係などが挙げられるでしょう。これらの点で対象をいくつかのレベルに分けて勧誘する対象を並べてみて下さい。
実際にこの表に沿って勧誘を進めることになりますが、かなり裏切られることになるでしょう。我々の場合も、普段よく会社の悪口を吐いているから絶対大丈夫だと思ったら、意外に保守的でダメとか、人に従順な大人しい人でこれは無理だろうと思っていたら入ってくれたり、予想外の結果だったというのが正直な感想です。でも、これらの表を慎重に作ることをお勧めします。

- 学んだ労基法の知識を使って、職場の違法状態をチェックしてみましょう。日本の組合のない中小企業では驚くほどの違法状態がまかり通っています。罰則まである守らなければいけない最低基準すら守られないのです。要求にはぜひともこの違反部分を改善させることを含めるべきです。労基署の強制力も期待できますので、順法精神がある経営者ならば比較的早期に問題解決を図れます。
- いろいろと記録も取っておきましょう。例えば、時間外労働もいつ、何時から何時までやったということを記録しておきましょう。メモでも十分に証拠として採用されますし、2年間はさかのぼって支払わせることも可能です。また、有給取得を制限するような不当な発言などもメモしておきましょう。誰がいつ、どこでどう言ったか記録しておきましょう。場合によってはテープに取っておくのも良いでしょう。裁判になっても闘える証拠を押さえておくというのは大事なことです。公然化してからの闘いに活きてきます。
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- 給与実態を明らかにするのが、第一の仕事です。組合のない企業は賃金体系も不透明です。経営者の胸先三寸で決まっていたりします。合理的なものさしがない、ということがかなりあります。組合活動の主たる活動はなんといっても、賃上げです。そのためにも賃金実態を明らかにする必要があります。まず、組合作りに結集した仲間の賃金を公開し合いましょう。ちょっと抵抗があるかも知れませんが、絶対に必要な作業です。「お前は良くやってるから、少し余計に付けてあるからな……」と言われていたが、イザ蓋を開けてみると皆と横並び、こんな事はザラです。この調査結果に基づいて賃金要求を決めることができます。
その他、いろいろと調査することがあります。会社の法人登記簿や経営者の自宅の土地や建物の登記なども手に入れ、抵当権の設定状況などもきちんと調べておきましょう。登記簿の謄本は会社や家の所在地を管轄する法務局の出張所で誰でも料金を払えば簡単に手に入ります。

- 労組ができれば労働条件は良くなるのか。進んだ労使関係の企業では、どのくらいの労働条件が平均なのか。組合運動でもしないと案外と他社の労働条件にはうといもの。マスコミの報道や噂話は一面的です。行政機関の統計や産業別労働組合の発表している労働条件を調べてみましょう。自分のところがそれよりも遅れている場合は、水準の高い所を参考に要求化して取り組みましょう。他社の労働条件を調べれば、自分の置かれている現状がよりよく把握できるとともに、目指すべ目標も自ずと明らかになってきます。こうしたデータは仲間作りにも活かしていきます。組合を作る動機づけを与えます。作った後の具体的なビジョンを示すことができます。
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- これが、もっとも組合づくりの要です。また、もっとも難しい仕事です。勧誘の原則は★まず、経営にばれないことを最重要視して行う★最終的には、対象者全員に声をかける……などです。
勧誘順序表(別項)に従って勧誘します。まず、勧誘者のうちで親しいものがアポを取ります。理由は何でもいいのですが、もっともらしい口実を設けて呼び出しましょう。必ず相手は一人です。こちらは必ず複数です。相手を一人とするのは、二人以上ですといろいろと影響、それも悪影響を与え合うこともあるからです。一人が入りたいと思っても、もう一人が否定的では、入りたい人もいいだせないでしょう。
勧誘した際には相手が仲間になることを確約してくれない場合は、絶対に誰が入っているか、いま何人いるか、誰に声をかけたかということは話してはいけません。また、勧誘したが、断られた場合は、勧誘されたことや、組合を作ろうとしていることも含めて一切何も、誰にも話さないように丁寧にお願いしましょう。勧誘に乗ってくれなかったからと言って、態度を冷たくしてはいけません。それで、恨みをかいバラされても困るし、情勢が変わりいつ気を変えて入ると言ってくれかも知れないのです。
勧誘を行う場所ですが、これは会社の人が出入りしそうな場所は避けなければなりません。もし、万が一にも会社の人に出会ってしまった時の場合を考えて口実を用意して置きましょう。
勧誘時のセールストークですが、やはり最初は会社の不満をいろいろと自由に言ってもらうのがいいでしょう。そこで、「どうしたら解決できるんだろう……」と振ってみましょう。その時の反応を見て、「組合を作ろう」と訴えましょう。我々の場合このようにやったわけですが、組合に入ってはくれなかった人も、この問いかけには皆すべて真剣に対応してくれました。普段ならまじめな話を茶化し気味に応対しがちな人も、正面から答えてくれました。
公然化直前までに対象者全部に声をかけるのはなぜでしょう。これは、もし、そうせずに放っておかれたらどんな気持ちがするでしょうか。「何だ、俺のことを無視して、面白くない」となり、労組に対して協力は決してしてくれないでしょう。
加入の意思表示をしてくれた人には、念のために自分たちの要求や、目指すべき職場改善のビジョンや闘いの方針について概要でも良いから説明し、了解を得ておきましょう。その上で加入を再確認してもらいましょう。それからいま加入している仲間やこれまで誰を勧誘したかなどを話します。次回の勧誘対象については、全メンバーで検討します。
非公然で活動しているわけですから、なかなか全員集まることは難しいと思いますが、重要な問題については、全員で集まり検討してください。特に要求・規約・上部団体加盟については必ず一度は顔を合わせて討議するのが良いと思います。
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- 組合を運営するルールです。いわば組合の憲法です。基本的には自由ですが、労組法第5条(別項参照)に定められた内容を取り入れる必要があります。重要なのは組合の運営を民主的にすること(組合民主主義)と闘いの手を自ら縛ることないようにすることなどでしょうか。なるべく早めに作成することをお勧めします。当労組の規約(別項参照)を参考に掲げておきます。

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- 労働組合は要求で団結する、と言われます。皆が共感をもって、達成を真摯に願う要求があってこそ、気持ちを一つにして、運動をすることができます。そのために、これは仲間づくりと同じぐらい重要なものです。組合員は部署も違えば性別・年齢・社歴や職種といろいろと違いがあります。配偶者や子供がいる、いないでも要求は違います。一方にとっては良い要求でも、別の人には迷惑な要求かもしれません。組合内部で利害対立が生じる場合があるのです。このあたりは十分に調整してください。納得できるまで議論してください。一致して要求を掲げなければなりません。
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- これも難しい問題です。ここに言う上部団体というのは、産業別労働組合(産別)ということです。例えば専門紙などの場合は、全印総連や出版労連、新聞労連などにだいたいは入っています。これらの産業別労組はまた、全労連や連合)などの全国的な産別の集合組織(ナショナルセンター)に結集している場合もあります。もちろん、どこの傘下にも入らない組合、いわゆる中立組合というものもあります。そのメリット・デメリットはいろいろとありますが、単組で十分に論議しなければならない重要課題です。リーダーの独走で決めてはいけないことです。検討するにあたっての要素は次のようなものです。
自分たちと同じような組合は多いか、加入しているのはどんな単組(単位労組)があるか、会費はいくらか、政党支持の自由・思想信条の自由はどうなっているのか、運動方針や闘争についての指導や情報提供の力などです。別のページのリンクを活用して調べてみて下さい。
私たちの経験から言えば、上部団体に入っていて良かったというのが、率直な感想です。我々の上部団体には目標とするべき高い労働条件の労組が加盟しており、データも闘争の経験の蓄積もあり、比較的に経営側に厳しい対応をする闘う労働組合であったことが、組織を守り労働条件を向上させることにつながりました。

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- この判断がなかなか難しい。8割方組織できれば、あまり迷うこともないですが、対象人員の過半数に達しないようでは心配になります。作ってもつぶされる、または、影響力の小ささにあまりまともに対応してくれないのではないか。組織化が思うように進まなくても、やけくそになって公然化してはいけませんが、あまり中途半端な形で放置しておくと、もう、ほとぼりも冷めたのかと勧誘された人の中には、しゃべってしまう人もでないとも限りません。ある段階で公然化するのか、組合作りをやめるのか決断しなければなりません。労働者数と経営の体質にもよりますが、10人以上、二桁行けばなんとかやれるのではないでしょうか。それはあなたの意思と決断しだいなのです。
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一番の問題は人が集まるかということです。加入の意思表示をしていた人がちゃんと来るかということです。直前にバレて切り崩しに合う場合もあります。会場までの道に会社側の人間が監視に立つこともあります。会場は会社に近い方が集まりやすいでしょうが、経営側に気付かれないような場所でなければなりません。会場予約にも気を遣いましょう、労組名や会社の名前を使わないようにしましょう。出欠を十分に確認しておき、欠席の人には委任状をきちんととっておきましょう。
我々の場合、組合加入の意思固めをしてもらうために、結成大会前に開いた上部団体説明会の席で加入申込書に署名・捺印してもらいました。どこかの段階で腹を決めてもらう必要があります。だが、変な無理をしてはいけません。当人の本心からの理解と共感が大切で、もし、義理で入ってもらっても、長続きしませんし、気の入った闘いもできません。
議案書が必要ですが、会議次第・組合結成までの経緯・規約案・要求案・運動方針案などを掲載したものです(別項にモデルを示しました)。また、役員選挙もありますので、候補者の調整や役員候補者名を書いた表や、投票用紙なども必要になる場合もありましょう。もし、結成と同時に上部団体に入るなら、上部団体の皆さんに来賓になってもらい、挨拶などをいただきましょう。
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- いろいろな心配がありますが、主なこととして次のようなことが上げられると思います。
早い段階で組合作りを進めていることがバレて攻撃された場合
準備会に集まっていたメンバーの多くが結成大会前に脱落した場合。
発足後、解雇・配転の攻撃に出てきた場合。
分断・切り崩し工作に出てきた場合。
第二組合を発足させる策動で対抗して来た場合。
スパイを送り込んできた場合。
団交を拒否して来た場合。
就業態度・業績などで攻撃して来た場合。
私的なスキャンダルを攻撃して来た場合。
暴力団・右翼・労務屋(組合つぶしのプロ)などの暴力的勢力を利用し攻撃して来た場合。
公然化前と後の両方について挙げてあります。事情に通じていない人は、そんなことまであるのと恐れるかも知れませんが、そう不用意に恐れることもありません。ただ、ここに上げたことは現実に起きていることです。念には念を入れて、そのための対策を考えておく必要があります。そのためにも、上部団体に入り、長い間に培って来た闘争ノウハウと持っている力で支援してもらうのが圧倒的に有利です。
ここではこれらへの対処方法については記述しません。何しろ経営者もこれを読んでいるわけで、ここでそれを明らかにするわけにはいきません。

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- 会費は活動の重要な要素です。結成前から集めることをお勧めします。なにしろ、結成前だっていろいろとお金はかかるわけですから。それに、組織運営の練習にもなります。労働組合の会費は大体、月給の固定給部分の1〜2%と言われていますので、その辺りに設定すれば良いと思います。ボーナス時も徴収することは多いようです。上部団体会費もあるので、その辺りも良く確認しておく必要があるでしょう。会費の徴収と支出はくれぐれもいい加減にならないように。支出は領収証を残す、記録をきちんと付ける、会計担当者を決めるなどをしてください。

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- 結成大会後、あまり日を置かないで、経営者に結成を通告します。結成通告にはできるだけ上部団体の役員なども同席してもらいましょう。社長など経営の実質的な責任者に直接、通告しなければいけませんので、時間や日を良く検討して、通告を行いましょう。経営者は上部団体との面会を拒否することもありますが、ここで粘りましょう。この時の態度を良く見定めておきましょう。それが、その後の経営者の労組に対する姿勢を占うものだからです。組合結成を突きつけられて経営者はその実相を明らかにします。通告の際には結成通告書や要求書、団交申入書などを提出します。「誰が組合員なんだ、組合員名簿を提出しろ」と言って来ることが多いですが、提出する必要はありません。
全組合員を公然化するか、しないかという問題もあります。8割、9割の組織率がある場合は最初から全員公然化が良いと思いますが、過半数に満たない少数組合の場合は、選択の余地があります。我々は通告当初からしばらくは執行委員と会計監査だけを公然化し、その他の組合員を秘匿しました。ただ、この方法が良いかどうかは、労組の構成員の意識や経営者のタイプによって決めることで、最初から全員明らかにして行くのも一つの方法です。経営からの攻勢が厳しく、それを見ていた秘匿していた組合員はビビッてしまい、組合をやめてしまうなどということになる可能性もあります。公然化して腹を固めさせるという手もあるわけです。非公然組合員を残しておくと情報収集には有利になる面もあります。普通は組合員を全員明らかにしないと、一人ひとり呼び出して確認したりするものですが、我が社の経営はそうした不当なことはまったくして来ませんでした。不当な組合つぶしに備える組合員の秘匿だったのですが、その心配は幸いにも杞憂に終わったのでした。
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- 結成に漕ぎ着けるまでが大仕事で、他のことまで手が回らないというのが普通でしょうが、ぜひ、発足後の戦略・戦術も事前に検討しておいてください。労組は作れば終わりというわけではありません。むしろ、作ってからが勝負です。要求を実現する手立てを真剣に考えることが重要です。私たちもどう要求を飲ますか、いろいろと作戦を立てていましたが、最初は作戦はすべて机上の空論になり、苦戦を強いられましたが、徐々に勝利する局面もあり、戦術の立てがいのある闘いができるようになりました。当初の最大の目標であった、時間外割増賃金を正規に支払わせる問題については、実に8か月の長きにわたりましたが、いまでは、ほぼ法定通りに払っています。明らかに違法状態であるのに、違法ではないと言い張るのを、論理的に説得したり、「自主出勤簿闘争」や「時間外労働拒否闘争」それに「ストライキ」などを通じてようやく勝ち取りました。闘争は相手しだいです。組合を作ればすべてバラ色というわけにはまいりません。しかし、あなたが常に主体的に解決の努力をすれば必ず道は開けます。そのためには、戦術をきちんと立てる、そういう計画的で理知的な闘い方が求められるのです。

- 我が社はタクシー関係の専門紙を発行する40人ほどの企業。ワンマン社長にイエスマン役員とモノ言わぬ社員、1万円に満たない手当でサービス残業は青天井、有給が自由にとれない、社内に真の言論の自由はない。組合ができる前はそんなよくある中小企業であった。
休日出勤の一方的な代休への振り替えやリストラ問題で不満が高まっていた1994年5月、居酒屋で「会社を良くするには労働組合を作るほかはない」と、私と現書記長は意気投合した。それが組合結成への第一歩だった。
以前に買った中森謹重・後藤耕三著『労働組合づくりの基礎知識』(学習の友社、学習文庫23)をマニュアルに大まかな労組結成計画を立て、まずは二人で松岡三郎・労働省労政局労働法規課ほか共著『口語六法全書
労働法』(自由国民社)をテキストに労働法の勉強会を始めた。2か月後、現副委員長を仲間に迎えた。3人で大雑把にではあるが労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)を学んだ。この学習が、後の団交での交渉やストなどの各種行動でどれだけ役に立ったかわからない。
基礎知識を得て、本格的な仲間作りに入った。勧誘対象は一応課長までとした。所属部署別役職表を作り、発起人や経営陣との人間関係の強弱、好き嫌い、会社に対する不満や変革への意欲、組織活動への適性、そして口の堅さなどを考慮して勧誘順序表を作成しアプローチを開始した。このリストは役には立ったが、予想はかなり裏切られた。入社年次が若い人はあまり可能性は高くないだろうと後にしたが、現実にはこの層が多く入ってくれたり、会社批判をめったに口にしないおとなしい人が入ってきたりする一方でその逆のこともあった。人は見かけによらない。「労組加入」という重大決断を迫られ、その人間の実相を見せたというところである。
勧誘はこちらは複数で、相手は一人が原則。加入を承諾するまでこちらのメンバーや誰に声をかけたか、今後の計画などは一切教えなかった。次に勧誘する対象については新しく入った仲間も含めて全員一致で決める。とにかく秘密保持には人一倍気を遣った。
要求や規約作成も仲間作りと並行して行ったが、規約は『労働組合づくりの基礎知識』のモデル規約に少しだけ手を加えて作成した。
上部団体との接触は1995年の5月から始めた。当初から発起人たちは、ワンマン経営者ということもあり、解雇といった厳しい組合つぶしの攻撃を受けた時に頼りになる、闘う強い上部団体を選ぶことを指向していたので、自然な流れで全労連傘下の全印総連を選択することになった。結成と同時に全印総連加入という方針を仲間作りの途中で全員一致で決定したが、その際も「頼りになる闘う組合」がその理由となった。
公然化のタイミングには相当悩んだ。仲間が7人に達していた1995年7月11日に全メンバーが集まり、今後は勧誘の対象が広がるので、経営に嗅ぎ付けられることも覚悟して勧誘を加速することを決定、急な公然化にも備えた。結成大会前までに対象者すべてに声をかけたが、幸運にも通告まで経営側に漏れないで済んだ。
8月29日に結成大会、翌30日に全印総連のオルグの皆さんと経営者へ結成通告を行った。9月14日に初団交を迎えた。通告時には組織防衛上、5人の役員だけ公然化し残りを秘匿したが、組合つぶしの攻撃はほとんどなく運の良いスタートを切った。当社の経営者が体面を重んじ、比較的順法精神に富み、少数派労組にも真っ正面から取り組んで来てくれたおかげもあり、1年ほどの間に当初要求項目の8割方を達成することになり、冒頭の労働条件と労使関係は一変したのである。
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最終更新日 : 2008/01/06 |