第二十三話 塔の初戦 - Re.Team battle -
ピッカマン 「それにしても、暗いな」
クリス 「赤外線カメラにしてるから良いものの、確かに、もっと明るくてもいいよな」
と、愚痴る間にドアへ到達。
ごつん。鈍い音が響き、ピッカマンの頭に鈍い衝撃が響く。
ピッカマン 「んぁいっ、だ!?」
クリス 「ドアだよ」
ピッカマン 「あぁもう!」
キレてドアを蹴り飛ばす。
当然の如く、ドアの事実上の反撃を食らう。
ピッカマン 「っくぁ!」
クリス 「バカかお前・・・・・・」
そして、ドアを開けた向こうは白銀の世界な訳でもなく、鉄くずが所々山積みにされ、人が縦に三人隠れられる程の高さを持ったでかい岩がある戦闘用フィールドだった。
ピッカマン 「はぁ、やっと敵の陣地らしいのが出てきたよ・・・・・・中身はどうなってるのか知らないけど」
謎の声 「ふひひひひ、良く来たな!」
ピッチマン 「気味悪い笑い方・・・・・・」
ピッカマン 「で、何?今回の課題は」
謎の声 「三人一組で戦ってもらう」
ピッカマン 「課題の中身も敵の陣地らしい・・・・・・」
謎の声 「なんだ?不満か」
ピッカマン 「むしろ喜び」
謎の声 「変な奴だな。まぁいい。ルールは簡単。殺さない限り何をやっても自由。詳しく言えば、武器の使用も許可。二人もしくは三人で一人を徹底的に叩いても良い。敵を一人倒すごとに一ポイント入る。三点先取で勝ちだ。ポイントを持った状態で二人倒されると一ポイント減点だ」
ピッカマン 「マジで『殺さない限り何をやっても自由』だな」
謎の声 「ちなみに、チーム内で意図的に叩きあったと見なされた場合は一ポイント減点される。ポイント制の部分で察しはついていると思うが、ベンチメンバーを用意しておけ。さもなくばやられたときに残りのメンバーだけでやらなきゃならなくなるからな」
ピッカマン 「四人、やられたとしても一人が限界か」
謎の声 「そっちのメンバーは前に出ろ。一人あまるから、ベンチメンバーは後ろ右側のドアから上に登れ」
ピッカマン 「じゃ、オレとクリス、セリファで行くけど、いいか?」
クリス 「了解した」
セリファ 「分かりました」
謎の声 「決まったか。――では、そのメンバーに登場していただこう」
反対側のドアが開き、暗がりから人影が三つ――正確には、人影二つに小さいの一つ――現れた。
ピッカマン 「な!?」
クリス 「へぇ。どうしてだろうね」
セリファ 「・・・・・・とりあえず、魔力は互角ってところですか」
謎の人(一)「どうも。私の名はセニル」
謎の何か 「・・・・・・ライチマンだ」
謎の人(二)「こんにちは。リスネです」
クリス 「ライチマン、か」
ピッカマン 「ライチマン、お前一体ここで何してる!?」
ライチマン 「そんなことはお前が知ったことではない」
ピッカマン 「知ったことではないって・・・・・・」
ライチマン 「俺はここで生まれ故郷の王の護衛をしているだけだ」
ピッカマン 「生まれ故郷だって?」
ライチマン 「そうだ、俺の生まれた場所はデザグドだ・・・・・・さぁ、無駄話はここらでやめにしようか。別に死ぬわけではあるまい」
クリス 「メリアと同じ型だな。お前、サーフェスを使ったか?」
クリスは対峙した女性型ロボットに話しかける。
ちなみに、サーフェスとは外見部分のこと。一応取り替えることが可能だが、途中で他のサーフェスに変えることは出来ない。サーフェス一体型と、分離型がある。
セニル 「いえ、私は元からこの形をしています」
クリス 「なるほど、全く同じ個体か、上位個体か・・・・・・どちらにせよ、性能的に考えて油断は許されないということか」
リスネ 「あら、あなたも魔法使いなんですか?」
セリファ 「えぇ、まぁ」
リスネ 「属性は何ですか?」
セリファ 「(別に、すぐ勝負すれば分かること。ここで隠す理由は無いか・・・・・・)水・氷です」
リスネ 「そうなんですか。僕は炎・雷なんですよ」
セリファ 「(両方とも相反属性か。それにしても、近似属性ではない属性を身につけてるとは・・・・・・)」
謎の声 「心理戦は終わったかな?じゃ、そろそろ始めようか・・・・・・よーい」
「はじめ」
ピッチマン 「よーいとはじめの間が短いような」
謎の声の主 「まぁ、毎回こんな感じだから気にするな」
ピッチマン 「え、あ!いつの間に!?」
謎の声の主 「あ、俺アセイルね。よろしく」
ピッチマン 「え、えぇあ、よろしく・・・・・・」
アセイル 「へぇ、何か激しいねぇ」
ピッチマン 「(敵の陣地で上の方にいる人と『よろしく』ってなんだかなぁ)」
妙な会話はさておいて、実際戦闘はといいますと
ピッカマン 「四ビットアライン!」
幅四十センチほどの光が跡を残しつつ敵に向かって走る。
ライチマン 「いつの間にか弱くなったか?」
が、あっさりと回避される。さっきからこれを何度も繰り返している。
光が地面にぶつかり、反射する。次は幅を六十センチほどに広くして戻っていく。
技発動の反動で後ろへの回転を続けていたが、突如
ピッカマン 「ピッカマンビームの二分の一!」
と叫んで天井へ向かって放つ。
その反動が回転速度と進行方向を変えた。
回転速度が少し下がり、上を向くような状態で下へすっ飛んでいる。
徐々に地面に近づくにつれてピッカマンの視界に地面が入る様になってきた。
そして、
ピッカマン 「敵は、一人だけじゃあ、ない!」
叫びに気付いて上を向いた一人が、真上に見える、その鬼の形相に顔を蒼くしていた。
セリファ 「まずいっ、『ディナピクス・ノイティクエレフェル・ディレフィ!』」<展開 反射フィールド>
リスネ 「それは無駄ですよ。『カエレブ・ルラ・ディレフィ』」<破壊 全てのフィールド>
爆発したかのような閃光が三度部屋全体を気付かない内に包み、いつの間にか光の破片が舞う。
リスネ 「やっぱり、水と氷の増幅フィールドを同時展開していましたか。その上、魔力消費量が最も多い反射フィールドをあんな広範囲に。それは、疲れますよね。まだ始まって五分しか経っていないのに・・・・・・」
静かな口調で、開始からずっと、セリファが今までやってきたことを全て言う。
その通り、セリファは息が切れていた。
セリファ 「ば、ばれましたか。さすが、ですね」
リスネ 「それはどうも」
セリファ 「『セピュラ・ウォーラ・イーティフィフ カエレブ・イメーネ・レウォーピス!』」<氷の矢五十本、敵の魔力を砕け(特殊能力付加・魔力減少)>
リスネ 「それぐら・・・・・!?」
一瞬にして防壁を無詠唱で展開するが、その防壁はかなり押されていた。
リスネ 「その状況下でこれだけの威力が出るはずが、ぐっ」
寿命を終えて消えて行く矢もあるが、五十本の矢の内、ほんの数本が消えた程度で防壁相殺が出来るほど威力は弱まらない。
フィールドは徐々に小さく、光は弱々しくなる。
リスネ 「くそ、どうして。どうしてこれぐらい防げないんだ!?」
リスネの魔力は徐々に奪われつつある。
リスネは食いしばる、しかし、押されているため、防壁ごと――防壁の方が移動距離が多いわけだが――下がっていた。
そして、そこに、魔力を節約するために開けていた、上の穴から、意外な侵入者が現れた。
セリファ 「でも、」
リスネ 「?」
セリファ 「目の前の、ことだけ、見ていても、だめ、なんですよ」
リスネ 「え?」
一瞬意味が分からなかったが、その意味はすぐに分かることとなった。
ピッカマン 「敵は、一人だけじゃあ、ない!」
叫びつつもの凄い勢いと形相で突っ込んでくるピッカマンに対して、リスネはさっきの言葉の意味を理解する前に顔を蒼くした。
リスネ 「な・・・・・・」
激突の瞬間、ピッカマンはビームをリスネから距離数ミリで放った。
少し前方から打ち込まれたビームは、リスネを後ろへと吹っ飛ばした。地面と壁にぶつかって跳ねる姿は人より操り人形に近かった。
最後に、理解不能な声と共に、滑っていた体は止まった。
審判が近づき、息があることを確認して、丸は一つ黒丸となった。黒丸は今、一つ。
さて、そのころ
クリス 「なかなか素早いじゃないか」
セニル 「あなたも、結構動きが速い。製造年月日はいつなんですか?」
クリス 「五年前」
セニル 「当時は、オーバーテクノロジーだったでしょうね」
クリス 「・・・・・・まぁな」
普通に会話しているようだが、実際には手やら足やらが二人の間をブンブン飛んでいる。
まず最初。そこではクリスが前進する力を用いて通常より早い動きで右足を前にすっ飛ばしている。が、きれいに捕まれてそのまま右方向へ回されるものの、左手を拳に変え、甲でぶん殴る。それもかわされる。
お次にセニルがバク転から蹴り上げようとするもクリスが足を掴み、自分まで回転して、てっぺんで勢いよく突き放す。バランスを崩しかけるが後ろから迫るハイキックはしゃがんでかわし、後ろへ残る推進力は方向転換し、前への推進力に変換して勢いのある右ストレートを放つ。簡単に掴まれて手をひねられる。
クリス 「意外と、量産型ベースの基本改造しかしていないみたいだな」
セニル 「それは、どうでしょうか」
クリス 「・・・・・・」
つかんだ右手が肩から腕ごと外れた。クリスが呆気にとられる。
左手がどこからか右腕を引っ張り出した。クリスはその腕を放り出して至近距離から足のローラーを用いた突進を行う。
腕を取り付けた瞬間に、セニルはクリスに抱きつかれる形となった。
セニル 「何を、する気ですか?」
クリス 「『殺さなければ何をしても良い』だったよな。ここのルールは」
セニル 「それは、そうですが」
クリス 「ロボットにとって『殺される』・・・・・・つまり、『死んだ』とは何か知ってるか?」
セニル 「行動不能に陥る・・・・・・例えば、基本部品を強奪・破壊されたり、スイッチを切られたり」
クリス 「あぁ、そうだ。だがな、スイッチを切られるというのは死んだに入らない。何故なら、」
「入れれば、生き返るからな」
クリスは頭部に付けられた人工知能スイッチと、胸に付けられた本体スイッチをほぼ同時に押した。
セニルはその瞬間から言葉を喋らなくなり、後ろへ垂れる。
クリス 「おい、審判!一人、っていうか一機倒したぞ。何でポイントが入らないんだ」
審判 「それは死んだ・・・・・・つまり、あなたが殺したということになりますので・・・・・・」
クリス 「はぁ。ロボットを試合に出す割に知らないのかい?あんたさん」
審判 「へ?」
クリスはセニルを抱きかかえたまま審判がいる端っこに移動する。
クリス 「いいか、ロボットが『完全に死んだ』と言えるのは基礎部品の破損・紛失が発生し、それらが復旧できない状態に陥った時だ。今回の場合、スイッチを切っただけであって、確かにロボットとして『死んではいる』が、スイッチを入れればすぐに戻る。言うなれば意識不明の重体と同じ事だ」
審判 「なるほど」
クリス 「と、いうわけで俺はコイツを殺した訳ではないという事を主張するけど、反論はあるか?審判さんよ」
審判 「全くない。が、とりあえずその理論の証明としてスイッチを入れて欲しい」
クリス 「あいよ」
まずは胸のスイッチ、次に頭のスイッチを押す。
クリス 「一分もすれば起動も終わって、元通りでしょうよ」
待つこと一分。
セニル 「ん・・・・・・?」
クリス 「と、いうわけだ」
審判 「分かった。ピッカマンチームに一ポイント追加する!」
叫ぶと壁に描かれた三つの丸の内、一つが塗りつぶされ、黒丸になった。黒丸は今二つである。王手だ。
クリス 「はぁ」
セニル 「あの・・・・・・」
下を向きながら言う
セニル 「放してください」
クリス 「え?あ、あぁ。すまなかった」
セニル 「いえ・・・・・・」
セニルはその場を去った。一向に顔を上げる気配は無かったし、実際ドアを開けるまで無かった。と、クリスは証言する。
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「ライチマン・・・・・・お前、いくら生まれ故郷の王の護衛って、何で引き受けた」
「引き受けた訳じゃない。自ら買って出た」
「何で?」
「やりたかった」
「は?」
「やりたかった。それだけのことだ」
「なるほ」
ピッカマンが「ど」を言う前に、乾いた音が部屋を満たす。
次回、第二十四話 〜取り替え - Change for me〜
-作者、サイフブレイク-
どうも、作(略)のM3A3です。
今回で二十三話です。いえ、言ってみただけです。別にキリがいい訳ではありません。強いて言うなら母が年齢詐称を行う場合の年齢です。実年齢の差を書くと、見られたときに非常にまずいので書きませんが、少なくとも二十歳以上はあります。あ、言っちゃいましたね。てへ。(気持ち悪い)
今回のテーマは「三人で一人をボコすまでの経緯のハズ」です。いえ、今回は嘘をついていません。いや、本気と書いてマジと読むけど実はマジの由来は「まじめ」の略で。もうこれで書くことは無くなりましたね。
最近あったことといえば、今日(正確には昨日)の、複合機の購入でしょうか。エプソンのPM-A890です。あれです。オートフォトファイン!EXを搭載したアレ。人物の顔を自動認識して自動補正してくれるってアレ。今書いている時点では最新モデルの一つです。一つ上が確かホーム向けで最上位機種だと思いますが、四万円はさすがにきついとの親の反論でこれです。不満はありません。では、ブログのタイトルにもこれがあります。「サイフ」が漢字ですが。
漢字といえばこれを書いている日(正確には昨日)にピッカマンV氏は漢字検定二級を受けたそうで。私は毎日パソコン入力コンクール(毎パソ)で二級をめざすところですが。ちなみにピッカマンV氏も毎パソに参加しております。漢字では遙かに劣りますが、入力で劣るつもりは一切ありませんよ?
というわけで次回は「漢字検定二級を受けるも失敗。罰として一週間外出禁止令を出されるが、抜け出す。追われる『い』君、ここまでの経験を生かして携帯を用いて戦場からアドバイスを贈るピッカマン達。果して『い』君は親という名の脅威から逃れられるのか!?」です。(嘘)
では、また。
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