30分で分かる「新しい日本語能力試験」
昨年12月6日に第27回目の日本語能力試験が実施されました。タイでは16,747人が受験し、これは世界でもベスト4に入る多さです。なので、みなさんの中にも受験された人も多いと思います。1級の試験では、聴解試験の最後の問題で、ラジオドラマと称して日本のアニメを思わせる題材が取り上げられるなど、話題になりました。日本語能力試験が始まって26年、1級から4級の認定方式でずっと行われてきましたが、この27回目が従来の形で実施される最後の試験となりました。
今年の日本語能力試験は7月(バンコクとチェンマイ会場のみ)と12月の2回行われる予定ですが、試験そのものが大きく変わることは、ご存知の方も多いと思います。東京の国際交流基金日本語試験センターではこの新しくなる日本語能力試験を世界中のみなさんに少しでも理解していただくために、「新しい「日本語能力試験」ガイドブック」と「新しい「日本語能力試験」問題例集」を作成し、日本語能力試験のサイトhttp://www.jlpt.jp/j/about/new-jlpt.htmlで公開しています。また国際交流基金バンコク日本文化センターでも、昨年10月発行の「タワン49号」で、新しい試験の概要についてお伝えしました。でも実際に試験の実施が近づいてくると、「何が違うの」、「試験準備はどうしたらいいの」と不安な気持ちになる人も多いと思います。そこで今回は、実際に試験を受ける人、それから試験を受ける人を教えている人を頭に描きながら、ほんとに大切な改定のポイントを分かりやすく説明したいと思います。
1.どのレベルを受けますか
新しい日本語能力試験(以下新試験)では今までの1級〜4級に替わってN1〜N5という呼び方になります。今までは4段階だったのですが、これからは5段階になるわけです。また「認定の目安」というものもあって、従来の試験(以下旧試験)ではたとえば1級は「高度の文法・漢字(2,000字程度)・語彙(10,000語程度)を習得し、社会生活をする上で必要な、総合的な日本語能力(日本語を900時間程度学習したレベル)」といったかなり具体的なものでした。新試験でも「読む」「書く」という言語行動で表された目安を作成していますが、以前のものに比べて多少抽象的な表現になるので、実際にどんな準備をすればいいのかが分かりにくくなっています。ですから、受験レベルを決めるときは図-1で示したように、旧試験の4級とN5、3級とN4、3級と2級の間がN3、2級がN2で1級がN1という風に考えてかまいません。それからいままで発行されていた「日本語能力試験出題基準」や過去の試験問題を掲載した「日本語能力試験・試験問題と正解」は出版されなくなります。でも新試験も今までの級別基準とあまり変わらないと考えれば、試験の準備をするときにも今までに出版されたものを参考にして勉強することもできますよね。ただしN1だけは、合格ラインは旧試験の1級とほとんど変わらないけれども、今の1級よりももっと上のレベルまで測れるようになります。つまりN1の試験で満点の人はいままでの1級の試験で満点だった人よりも少しレベルが上である、ということができるということです。
2.試験科目と試験時間は少し注意が必要です
旧試験での試験科目は「文字・語彙」、「聴解」、「読解・文法」の3科目でした。これら3つの科目がそれぞれの試験時間に実施され、得点も科目ごとに何点と知らされるので分かりやすかったと思います。新試験では、この科目の設定と実際の試験時間、それから得点表示が少しややこしくなるので注意が必要です。図-2の右半分を見ていただくと分かるように、新試験ではレベルによって得点の表示の仕方が違います。N1〜N3では「言語知識(文字・語彙・文法)」、「読解」、「聴解」、がそれぞれ60点ずつ、合計180点で表されます。これがN4とN5では「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」がひとつの科目として120点満点で表示されます。それに「聴解」の60点を加えて全体が180満点となります。このレベルでは「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」の得点を「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」に分けることはできません。
次に試験時間ですが、図-2の左半分を見てみると、これもレベルによって違っていることが分かります。N1とN2では「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」の試験時間と「聴解」の二つの時間があることが分かります。これに対してN3、N4、N5では「言語知識(文字・語彙)」、「言語知識(文法)・読解」、「聴解」の3つの試験時間に分かれています。N3以下のレベルでは、「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」をひとつの試験時間で実施すると、問題の中にほかの問題のヒントが含まれる可能性があるためにひとつにできないということだそうです。
これによって何が起こるかというと、図-2の左半分と右半分を比べて見てください。それぞれのレベルで左の試験時間と右の得点表示にずれが生じることになります。たとえばN3では、最初の試験時間「言語知識(文字・語彙)」の得点に、次の試験時間「言語知識(文法)・読解」の「言語知識(文法)」の部分の得点のみを加えた得点が、「言語知識(文字・語彙・文法)」の得点として60点満点で表示されます。自分が受けた試験時間の出来ばえの感触と実際の得点に違いが出る可能性があるので、先生方はこの点をよく理解して学習者に伝えておく必要があるように思います。
3.この試験で自分の日本語能力のどんなことが分かるのでしょうか
図-3を見てください。これはN4、N5の試験結果を受験生に知らせる通知の一部です。前にN4、N5のレベルでは「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」の得点を「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」に分けることはできないと書きました。ただしこの通知では各科目の得点とは別に参考情報があって、「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」のなかの「文字・語彙」、「文法」、「読解」について、だいたいどのぐらいできたかが、A〜Cの3段階で分かるようになっています。自分の日本語の中でどの部分が良くできたか、あるいは良くできなかったかを知ることができるわけです。
新試験の改定のポイントのひとつに「課題遂行のための言語コミュニケーション能力の測定」があげられています。要するに日本語をつかって日常的にいろいろ行動するためのコミュニケーション能力を測るということです。これを測定するために旧試験に比べて「読解」と「聴解」の比重が高くなっています。特に「聴解」は以前は400点中100点だったのが新試験では180点中60点と、3分の1になりました。「聴解」を苦手とするタイの学習者にとっては大変なことかもしれませんね。この「コミュニケーション能力」については、これから発表される「日本語能力試験Can-doリスト」によって、各レベルの合格者が日本語を使用して実際にどのようなことが出来ると考えているかの情報を提供することになっています。リストの記述例は図-4に示しますが、このような言語行動の例を手がかりに試験の結果がより具体的に理解できるようになればと願っています。
それから新試験では「得点等化」ということが行われます。これは何かというと、たとえば新試験N1で100点の日本語能力がある人は去年の試験でも今年の試験でも、さらには来年の試験をうけても100点になるということです。これは逆にいえば、毎回試験を受けてその時々の得点を比べれば、自分の日本語能力のレベルがどのように変化していったかがわかります。同じレベルを受験して前回は100点で今回120点だった人は、確実に日本語の能力が伸びていることが分かります。
4.合否の判定について
旧試験では合否の判定は総合得点で行ってきました。1級が70%以上、それ以外は60%以上で合格というとてもシンプルなものでした。新試験ではこの合否判定基準が変わって、総合得点と各科目の基準点の二つで合否判定を行うことになります。今までのように総合得点で合格点を越えていても、各科目のひとつでも基準点に達していない科目があった場合、不合格になります。総合得点がいくら高くても「聴解」が0点ならば合格しないという判定の仕方です。「課題遂行のためのコミュニケーション能力」はいろいろな技能をバランスよく必要とするため、このような基準点が設けられたのだと思います。総合得点の合格ラインと各科目の基準点はまだ決まっていません。これから発表される予定です。
5.新しいタイプの問題もあります
新試験の問題は旧試験でも出題された形式のものがほとんどです。でもなかにはこれまでには見られなかった形式の問題もあります。やはり「課題遂行のための言語コミュニケーション能力の測定」のために新たに考えられたものです。新しい日本語能力試験ガイドブックの41ページから、新形式の問題について詳しい内容が載っていますのでそちらをご参照ください。また前号の「タワン49号」では特に「読解」と「聴解」の新しい形式の問題について解説しています。
試験が新しくなると聞くと、「えっ、どんな風に変わるんだろう」と思いますよね。日本語能力試験の場合は、レベルの数が4から5になるというとても大きい変更に加えて、上で述べてきたようなさまざまな変更点があります。でも、みなさん心配しなくても大丈夫です。試験が変わったからといって日本語が変わるわけではありません。試験が変わったからといってみなさんが学習する内容が変わるわけではありません。新しい試験では今までよりももっと正確に、みなさんの日本語能力を記述してくれるようになると思います。新しい試験で、みなさんの日本語力がもっと客観的に、ほかの人が見ても今までよりずっとよくわかるようになる、そういうことだと思います。試験は変わりましたがみなさんが変わるわけではありません。今までと同じように、楽しく日本語を学んでくださることを祈っています。
|
N1 |
合格ラインは旧試験1級とほぼ同じレベルだが、旧試験1級よりやや高めのレベルまで測ることができる。 เกณฑ์การสอบผ่านจะเทียบเท่ากับข้อสอบวัดระดับ
1 แบบเก่า แต่จะสามารถวัดได้ตั้งแต่ระดับ 1
ของข้อสอบแบบเก่าจนถึงระดับที่ค่อนข้างสูงขึ้นไปอีก |
|
N2 |
旧試験2級とだいたい同じレベル ระดับเทียบเท่ากับระดับ 2
ของข้อสอบแบบเก่า |
|
N3 |
旧試験2級と3級のあいだのレベル (新設) ระดับระหว่างระดับ 2 และระดับ3
ของข้อสอบแบบเก่า (ระดับใหม่) |
|
N4 |
旧試験3級とだいたい同じレベル ระดับเทียบเท่ากับระดับ 3
ของข้อสอบแบบเก่า |
|
N5 |
旧試験4級とだいたい同じレベル ระดับเทียบเท่ากับระดับ 4
ของข้อสอบแบบเก่า |
図-1 新試験と旧試験のレベルの関係
ตารางที่
1
แสดงความสัมพันธ์ของระดับระหว่างข้อสอบแบบใหม่กับแบบเก่า
|
レベル ระดับ |
試験時間の分け方 การแบ่งคาบสอบ |
|
得点区分 สัดส่วนคะแนนสอบ |
得点คะแนนสอบ |
|
N1 N2 |
言語知識(文字・語彙・文法) ความรู้ตัวภาษา
(ตัวอักษร +คำศัพท์+ไวยากรณ์) ・読解การอ่าน |
言語知識 ความรู้ตัวภาษา |
0~60 |
|
|
読解 การอ่าน |
0~60 |
|||
|
聴解 การฟัง |
聴解 การฟัง |
0~60 |
||
|
N3 |
言語知識(文字・語彙) ความรู้ตัวภาษา(ตัวอักษร+คำศัพท์) |
言語知識 ความรู้ตัวภาษา |
0~60 |
|
|
言語知識(文法) ・読解การอ่าน ความรู้ตัวภาษา(ไวยากรณ์) |
読解การอ่าน |
0~60 |
||
|
聴解การฟัง |
聴解การฟัง |
0~60 |
||
|
N4 N5 |
言語知識(文字・語彙) ความรู้ตัวภาษา(ตัวอักษร+คำศัพท์) |
言語知識・読解 ความรู้ตัวภาษากับการอ่าน |
0~120 |
|
|
言語知識(文法)・読解 ความรู้ตัวภาษา(ไวยากรณ์) กับการอ่าน |
||||
|
聴解 การฟัง |
聴解การฟัง |
0~60 |
図-2 試験時間の分け方と得点の関係
ตารางที่
2
ความสัมพันธ์การแบ่งคาบสอบและคะแนนสอบ
|
@ 得点区分別得点 คะแนนสอบแบ่งตามสัดส่วน |
A総合得点 คะแนนสอบรวม |
|
|
言語知識・読解 ความรู้ตัวภาษากับการอ่าน |
聴解การฟัง |
|
|
80 |
|
120 |
![]()
|
B参考情報รายละเอียด |
||
|
文字・語彙 ตัวอักษร+คำศัพท์ |
文法 ไวยากรณ์ |
読解 การอ่าน |
|
A |
C |
B |
A:67%以上 ตั้งแต่ 67 % เป็นต้นไป
B:34%以上67%未満 ตั้งแต่ 34 % เป็นต้นไป แต่ไม่ถึง 67
C:34%未満 ไม่ถึง 34 %
図-3 試験結果の通知例
ตารางที่
3 ตัวอย่างใบแจ้งผลสอบ
|
聞く การฟัง |
学校や職場、公共の場所でのアナウンスを聞いて、大まかな内容が理解できる。 ฟังการประกาศในโรงเรียน ในที่ทำงาน ในสถานที่สาธารณะ แล้วเข้าใจเนื้อหาคร่าวๆได้ |
|
話す การพูด |
アルバイトや仕事の面接などで、希望や経験を詳しく述べることができる。 สามารถบอกความประสงค์และประสบการณ์ในตอนสัมภาษณ์งานพิเศษหรืองานได้อย่างละเอียด |
|
読む การอ่าน |
関心のある話題に関する新聞や雑誌の記事を読んで、内容が理解できる。 อ่านบทความในหนังสือพิมพ์หรือนิตยสารเกี่ยวกับหัวข้อที่สนใจแล้วสามารถเข้าใจเนื้อหาได้ |
|
書く การเขียน |
感謝や謝罪、感情を伝える手紙やメールが書ける。 สามารถเขียนจดหมายหรืออีเมลเพื่อแสดงความรู้สึกขอบคุณหรือขอโทษได้ |
図-4 日本語能力試験Can-doリスト(仮称)の記述例
ตารางที่
4 ตัวอย่างรายละเอียดของ Can-do List (ชื่ออย่างไม่เป็นทางการ) ของข้อสอบวัดระดับความรู้ภาษาญี่ปุ่น