謹賀新年
ウサギ
ウサギ
玉兎と蒲と嫦娥

月に兎が住むという信仰から、月と兎を同一のものとして見る考え方が
生まれました。玉兎とは月の兎のことであると同時に、月の異称のことでも
あります。
右の写真は日本の戦国時代の名将・上杉謙信が着けたと言われる
兎の耳型兜。(銀箔押兎耳形兜 千葉の国立歴史民俗博物館所蔵)
ここでは兎は弱いイメージではなく、天に輝き夜を司る月(月夜見尊)の
イメージで、その力を借りて戦に勝利しようとしたのでしょう。

卯年特集

数年ぶりに描いたイラスト。
やはりと言うか当然と言うか
下手になっているのは仕方ないとして、
ショックだったのは老眼が出てきて
細かい線が見えにくくなり、目の
微妙な線が描けなかったこと!
いやあ、年は取っていくものなんですねえ。
ちなみに正月にあった中学時代の同窓会では
老眼の話題で皆盛り上がっていました。

うーむ・・・情けないっ!!

銀箔押兎耳形兜

2011年
平成23年

日本神話で兎と言えば、有名なのが
因幡の白兎。
古事記に記載してあるのは、“稲羽之素菟”で、
裸兎の意味。
和邇(大きな鮫)を並べてその上を通って
海を渡ろうとした兎がペテンがばれた為に
毛をむしられて赤裸となり、泣いているところへ
大国主命が通りかかり、兎に治療法を教えると
いうものです。
その治療法とは真水で傷を洗った後、蒲の花粉を
取ってその上で寝るというもの。
この蒲の花粉は漢方では“蒲黄(ほおう)”と言い、
止血薬としてよく使います。

蒲の穂
月・桂・薬・兎
蝦蟇と不死の薬を搗く兎
蒲黄
月

中国や日本では兎は月ですが、東北アジア・ベーリング海や北極海近くに住む
チュクチ族には、兎が太陽を悪鬼から取り戻す話があります。
荻原眞子 著 「東北アジアの神話・伝説」には次のように書いてあります。
ケレ(悪霊・鬼・人食い)が太陽を盗んでしまったため、地上は暗くなった。
野兎は太陽を取り戻すべくケレの天幕を覗いたが、見つかって食べられそうになった。
天井の穴から太陽と共に逃げ出した野兎はワシのところに逃げていった。
ワシは野兎を匿い、ケレを騙して空高く連れて行き、そこからケレを地上に落とした。
ケレは頭から地面にめりこんでしまい、ただ足だけが地上に出た。
野兎は石槌でその足を打ち、土の中に押し込んでしまった。
以来、ケレは土の中で動き続けている。

日本では、月にはウサギがいて餅をついていると信じられてきましたが、
この原型はもちろん中国。月の中の影をウサギと見る伝承は、すでに楚辞に
書いてあるそうです。(楚辞とは戦国時代の楚に起こった韻文を集めた歌謡集で
前漢時代に編集されました。)
中国では月には1本の桂が生えており、そこでウサギが不死の薬を臼と杵で搗いて
いることになっています。この月には不死の薬を一人で飲んで月に上った嫦娥という
女神が住んでいます。ほかにも1匹蝦蟇ガエルがおり、これは嫦娥が変化したとも、
もともと嫦娥とは別にいたものとも言われていますが、ウサギと蝦蟇ガエルは神話で
セットになっているようで、漢代の画像石にも、西王母の前に薬を搗いているウサギと
蝦蟇ガエルが描いてあり、他にも太陽を表す3本脚のカラスと九尾の狐が並んで
います。

ここでは兎は太陽を運んだ上、
搗くのは餅や薬ではなく、
悪鬼の足になっています。
(^.^)/

蒲黄

青木朋の絵より

蒲の穂