ATMの見やすさを考える
東京理科大学 三宅洋信

私たちは日常生活のなかでATMを利用します。ATMにも銀行、郵便局、クレジットカードなどさまざまですが、一番よく利用するのは銀行のATMだと思います。最近では、コンビニエンスストアなどにもATMが設置され、引き出しや振込などができるようになりました。
ATMを利用するときは、たいていの場合1人です。ロービジョンが利用するとき、「係員呼び出しボタン」などで援助をお願いすることもできます。しかし、仮にそれが銀行員であっても暗証番号や残高などプライバシーゆえに援助をお願いを躊躇(ちゅうちょ)するロービジョンも少なくないでしょう。できることなら1人で使えればと思う人もいるのです。ここでは、ロービジョン自身で利用しやすいATM環境について考えてみたいと思います。
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<ATMの「見やすさ」のポイント> ・ATMコーナーのレイアウト |
第1 ATMの操作を開始するまで
ATMコーナーには、ATMが1台しかない出張所と複数台が並んでいる支店があります。1台のATMにたどり着くのは、そう難しくはありません。しかし、複数台ATMが設置されている場所には、整列用のロープなどが設置されていたりします。大勢が並んでいるときは、その列の後ろにつき順番待ちをしますが、列がない(すいている)ときは、障害物競走のネットくぐりのようにロープをかき分け、ATMに到達しなければならないことがあります。それは、ロープは腰くらいの位置にあり、比較的細いものが多いためか、ロープに気づかず直進しようとするからです。しかも、そのロープたちは移動可能なものですから、ぶつかるとポールが倒れるなど2時災害へとつながることもあります。
このようなATMコーナーの中での行動の「しやすさ」は、ATMコーナーの「明るさ」も関係しています。ロービジョンには、まぶしいのを嫌う眼疾の者と、逆に暗いのを嫌う眼疾の者とがいます。それぞれ、まぶしすぎたら見えない、暗すぎたら見えないというものですが、それぞれが相反する意見です。これらを考慮すると極端に明るい、または、極端に暗のは不便を感じるといえます。また、「明るさの変化」単に照明の個数だけが関係するのではなく、壁や床の色でもずいぶん見え方が変化します。
第2 ATMの画面の「見やすさ」
ATMの画面は、画面の材質やレイアウトなど銀行によってさまざまです。それぞれ次のようになっていました。
(ATMの画面の「見やすさ」比較)
第3 ATMの操作性
画面の「見やすさ」の議論の次に操作性について考えたいと思います。操作性についても、銀行によって異なるため、残高照会を例にとり、次のような結果が得られました。
(ATM操作性比較)
第4 おわりに
はじめにも述べたとおり、日常生活の中でATMは、障害の有無を問わず、だれもがかなりの頻度で利用する時代になってきました。それ故に、だれもが利用しやすいATMの登場が期待されていると思います。ロービジョンは、「見えにくい」部分を記憶やカンで補うことをします。そうすることによって合理的に活動ができるからです。ATMについても自分のよく使う銀行のATMの操作方法はある程度、把握しています。最近では、どこの銀行のATM(一部を除く)であっても利用できるようになってきています。これは、わざわざ自分の取引銀行のATMを探す手間を省くことができます。町中で建物や物体を見つけるのが苦手なロービジョンには非常に魅力的なサービスです。けれども、第3で見たようにATMの表示方法・操作方法は銀行によって異なることがあります。そうすると、記憶とカンは使うことが難しくなります。今後、より一層進歩するであろう金融ネットワークをロービジョンをも利用しやすくするには、画面を見やすくする、具体的にはコントラストの高い画面デザインが重要です。また、それと平行してインターフェース(操作方法)の同一化、ないし、類似化が求められていると考えます。一方で、ATMが設置されている環境、すなわち、照明やレイアウト等へのちょっとした配慮がユーザーにはさしいATMコーナーをつくりあげるのではないかと思います。
