ISBN4-938740-56-7 三好企画発行
オールカラー版A5判・並製本 定価1,800円(本体1,714円)
佐藤 一郎 監訳
ダニエル・バーニー・トンプソン 著
「トンプソン教授のテンペラ画の実技」について
テンペラ画は、油以外の媒剤(主に卵黄)と顔料を混合して使う技法である
が、人類に知られている画法の最古のものである。ジオット、リッピ、ボテイチ
ェリ、ラファエロ、テイツイアーノ、テイントレット、その他の多くの名匠達の
描いた数々の絵画と同様に、古代エジプトやバビロンの壁画はテンペラである。
しかし、歴史が証明する卓越したこの技法は、明らかに油彩画をしのぐ多くの
優位性をもちながら、現代の画家達からはその価値にふさわしい注目を受けて
いない。
この軽視の一因として、確かなことは、テンペラ画の材料や手順に関する十
分な情報がないということがある。実際、完全に信頼できて権威のある、手順
をひとつひとつ詳細に扱った本は、本書が唯一のものである。D・V・トンプソ
ン・ジュニアは、大英博物館や各地で、長年にわたり膨大な中世やルネサンスの
文献を徹底的に研究した後にこの本を書いた。疑いの余地なくテンペラの材料
や手順に関する世界でも屈指の権威である。
著者は、テンペラ画の技法とその適応範囲の紹介をはじめ、木板(パネル)
の選択、さまざまな木材の特性、箔貼りをするための木板(パネル)の準備、
ジェッソ地の作り方、ジェッソの塗り方、テンペラの素描の仕方、着色紙の使
用、木板(パネル)への金属の箔置き、箔貼りの道具、金箔の扱い方と置き方、
金箔と銀箔の組み合わせ、顔料と筆、パレットの選択、テンペラ媒材の調合、
顔料の練り合わせ方と扱い方、実際の描画の基本、モルダント金箔処方、テン
ペラ画の耐久性、ワニス塗布、人工乳濁液による絵画などにわたる内容を網羅
している。日本語版は東京芸術大学大学院のご協力により、材料や技法を詳細
に説明する写真や図解が豊富であり、監訳者・佐藤一郎先生のテンペラ画研究
20年の成果が内容を非常にわかりやすいものにしている。
この古くからの技法に関して、現代でも使える多くの方法を含む正統なテン
ペラ画の入念な解説書は、本書に並ぶものはない。真剣にテンペラ画を研究し
ようとするものにとって、これは必携の書である。
* 原書は イタリア・フィレンツェのウフィッツィ美術館のミュージアムショップでも販売されています。
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2005/11/20 更新