東海道中膝栗毛のコーナー

お馴染み弥次さんと喜多さんの話です(弥二、北となっている箇所もあります)。この二人の会話は、江戸っ子のべらんめぇ口調な上に、原文で読むと、旧仮名遣いが妙にユーモラスで笑えます。ワープロ等に貼り付けて、縦書きで読むと更にオツです。


東海道中膝栗毛六編 下編

(方廣寺大佛殿の柱に空いた穴を弥次郎兵衛くぐろうとして)

北八「ヲヤどふした。ぬけられねへか
弥次「コレ、手を引ツぱつてくりや
弥次「アイタヽヽヽヽ
北八「よはへ男だ。ちつと辛抱すればいゝ
弥次「あとのほうからあしを引てくれろ
北八「しやうち/\
弥次「あいた/\
北八「ちつとこらへなせへ。よつぽど出かけたよふだ
弥次「腰骨がおれるよふだ。コリヤ、やつぱり前のほうから引出してくれ
北八「ヤアゑんさア/\
弥次「コリヤたまらぬ。初手のよふに、又あとへひきもどしてくれ
北八「ヱヽいろ/\なことをいふ
弥次「まて/\。コリヤどふでも、まへのほうから引イてもらおふ
北八「ヱヽそんなに前へまわつたり、うしろへまわつたり、いつまでもはてしがねへ。コリヤいゝさんだんがある

(そばに見ていたりし、さんけいの人をたのみて)

北八「モシどふぞ、こつちからおめへひつぱつて下さいませ。わしがあつちへまわつて、あしをひきずり出しますから
弥次「ばかアいふな。兩方からひつぱつては出る瀬がねへ
北八「出るせがなくても、兩方からひつぱると、前へまわつたり、うしろへまわつたりするせはがなくていゝわな
さんけいの人「こうさんせ。どこぞへいて槌借てきさんして、つむりをあとのほうへ、打ちこまんしたがよいわいの
北八「なるほど、こいつがはやい理屈だ。
しかしそれではいのちがあるめへ

(ねえよ)


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