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義務づけ訴訟・訴状

請求の趣旨

1、被告は、故溝口チエの疾病が水俣病であり、かつ水俣市及び芦北郡の地域に係る水質の汚濁の影響によるものであることを、(旧)公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法(昭和44年法律第90号)第3条1項の規定により認定せよ。

2、訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

請求の原因

1、行政事件訴訟法の改正による義務付け訴訟規定の新設
 2004年6月に改正され2005年4月1日から施行された行政事件訴訟法は、行政がその処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟、いわゆる義務付け訴訟を新設した(同法第3条6項、同37条の2及び3)。
 本件訴訟は、この新設規定に基づき、裁判所が被告に対して一定の行政処分をなすべき旨を命じることを求めるものである。

2、被告
 被告は、(旧)公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法(昭和44年法律第90号)第3条1項の規定により、水俣病による公害患者を水俣病であると認定する権限を有する熊本県知事の属する地方自治体である。
 改正された行政事件訴訟法第11条は、被告適格に関して旧法に変更を加えている。即ち、改正前では当該処分をした行政庁を被告としていたが、改正後は、原則として、当該処分をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合、その所属する国又は公共団体を被告とすべきこととなった。
 従って、本件では水俣病申請につき棄却処分を為したのは、熊本県知事であるが、熊本県知事の属する熊本県が被告ということになる。

3、原告(認定申請棄却処分及び同処分の取消訴訟提起の経緯)

1974年 8月 1日 原告の母である故溝口チエ(以下、故チエという)が、熊本県知事に対して水俣病認定を申請。
1977年 7月 1日 故チエ死亡。
1977年 7月 1日 故チエの次男である原告が、同申請に関する全ての権利・義務を相続し、同手続を継承した。
1995年 8月18日 申請に対して棄却処分。
1995年10月13日 原告が行政不服審査請求申立。
2001年10月29日 環境省大臣は審査請求人たる原告の請求を棄却。
2001年12月18日 熊本地方裁判所に水俣病認定申請棄却処分の取消を求めて提訴。

 現在、熊本地方裁判所民事第2部に平成13年(行ウ)第18号、水俣病認定申請棄却処分取消請求事件として係属中。

4、2号義務付け訴訟
 本件義務付け訴訟は、熊本県知事により申請が棄却された場合であり、原告がこれに対して当該申請に添った処分を求めるものであるから、行政事件訴訟法第3条6項2号の場合にあたり(いわゆる「2号義務付け訴訟」)、その要件は同法第37条の3が規定している。

3、 第37条の3の要件

ア)義務付け訴訟の提起の要件(同条第1項及び第3項)
 本件は、もともと、法令に基づく申請を棄却する旨の処分がされた場合において、当該処分が取り消されるべきものとして、既に、取消訴訟が提起されているものであるから、本件は「2号義務付け訴訟」のうち、同法37条条第1項2号の場合に該当する。
 その場合、本件義務付け訴訟は、取消訴訟を併合して提起しなければならないとされるが(同条第3項)、棄却処分に対する取消訴訟を提起したあとに、義務付け訴訟を追加的に併合提起することも可能である(同法第19条1項、同法38条1項)から、現在、熊本地方裁判所民事第2部に平成13年(行ウ)第18号、水俣病認定申請棄却処分取消請求事件と併合を求めるものである。
 なお、本件義務付け訴訟と前記取消訴訟では、行政事件訴訟法の改正により、形式上被告を異にすることになるので、追加的主観的併合の形態となるが、このような場合にも「関連請求にかかる訴え(同法第19条1項、同法38条1項)」として、併合が許容されていると思料する。

イ)原告適格(第37条の3第2項)
 原告は、申請者の相続人であり、かつ、審査請求人であるので原告適格に問題はない。

ウ)実体要件(同条第5項)
 処分の義務付け命令を出すための要件は以下の通りである。

@、取消訴訟の訴えに係る請求に理由があると認められること。

A、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められること。

B、又は、行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められること。

 これらの要件は、取消訴訟の中で、縷々主張立証してきたところであり、本件がこれらの要件を満たすものであることは明らかである。

以上

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