被告第10準備書面
被告は、本書面において、第14回口頭弁論における裁判長からの求釈明に対し説明する。なお、略称等は従前の例による。
本件は、救済法に基づく水俣病の認定申請に対する不認定処分の取消訴訟であり、その争点は、本件申請者が水俣病であったか否かに尽きるというべきである。
本件各書証は、その本件申請者の水俣病の該当性判断に何ら関係するものではない。しかしながら、被告は、永野義之氏の証人尋間が採用されたことも踏まえ、本件申請者の本件処分に関する事実関係を可能な限り明らかにし、適正・公平な審理実現のため、平成16年12月、本件申請者に関する書類等(乙第111ないし121号証)を提出しているところ、更に同様の文書の有無を精査した精果、本件各書証を確認するに至ったことから、前同と同様の趣旨で提出することとしたものである。
したがって、本件各書証の立証趣旨は、飽くまで平成17年6月27目付け証拠説明書に記載したとおり「本件申請者の医療機関調査に関する資料」であって、被告は、本件各書証の提出によって、前々回期日(平成17年4月15日)で確認された今後の審理内容の変更を求めるものではなく、また、本件各書証が、その審理計画に支障を及ぼすものではないと考えている。
本件各書証に基づいて、現実に調査を実施した結果を記載した報告書等は存在せず、被告は、本件各書証に基づいて、現実に調査を実施したことを立証しようとするものではない。
すなわち、乙第122号証は、昭和59年8月24日に決裁された「水俣病認定申請者に係る医療機関の調査について(伺)」に関する書面であるが、これに添付された「病院調査計画表」には、「病院診療所名」を「水俣市立病院」、「調査予定日」を「59.8.28」、「申請患者番号氏名」を本件申請者である「溝ロチエ」とする記載があり、昭和59年当時、本件申請者に関して水俣市立病院に対する医療機関調査が計画されていた。しかしながら、上記医療機関調査が実際に実施されたことを示す復命書や調査票等の資料は存在していないため、昭和59年ころに、本件申請者に関する上記医療機関調査を実施したか否かについては、証拠上不明といわざるを得ない。
したがって、被告は、乙第122号証によって、従前の主張(被告第1準備書面20、21ページ、乙第25、26号証)を変更するものではない。
1 乙第20号証ないし23号証は、本件申請に基づき本件申請者について実施されたいわゆる公的検診の結果を記載した資料である。
いずれの資料も、被告が、本件申請者が死亡した昭和52年7月1日までに、本件申請者の公的検診を実施した際に作成して所持していたものである(平成14年6月3目付け証拠説明書参照)。
2 一方、本件各書証は、本件申請者を含む未検診死亡者等についての医療機関調査に関する資料である。
すなわち、医療機関調査は、死亡するまでの間に公的検診が完了していない申請者について、その死後における処分のため、生前に受診した医療機関を調査し医学的判断の資料とする趣旨で行われることとなったものであり、昭和49年ないし平成7年における水俣病認定申請処分手続及び本件処分までの経緯等は、被告第1準備書面(11ないし22ぺ一ジ)で明らかにしたとおりである。
本件申請者については、死亡するまでの間に、眼科及び耳鼻咽喉科の公的検診は行われたが、神経内科及び精神科の公的検診は未了であったため、平成6年、水俣市立病院(調査時の名称は「国保水俣市立総合医療センター」)、S医院及びI医院に対して医療機関調査を行うこととし、このうち、水俣市立病院への文書照会とその回答が乙第25及び26号証である(S医院及びI医院についてはいずれも廃院となっていたため、本件申請者についての資料は得られていない。)。
3 なお、乙第24号証は、本件申請者の死亡直後に実施された疫学調査の結果を記載した疫学調査記録である。