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義務づけ訴訟・被告答弁書

第1 本案前の答弁

1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

第2 本案前の答弁の理由

1 原告は、原告の母である故溝口チエがした公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法(昭和44年法律第90号。以下「旧法」という。)3条1項に基づく認定申請(以下「本件申請」という。)を熊本県知事が棄却する旨の処分(以下「本件処分」という。)をしたことにつき、同処分の取消しを求める訴え(熊本地方裁判所平成13年(行ウ)第18号水俣病認定申請棄却処分取消請求事件。以下「本件取消訴訟」という。)を提起しているところ、本件は、同原告が本件申請に基づく認定処分の義務付けを求めたものである。
 旧法3条1項は、「指定地域の全部又は一部を管轄する都道府県知事は、当該指定地域につき前条第2項の規定により定められた疾病にかかっている者について、その者の申請に基づき、公害被害者認定審査会の意見をきいて、その者の当該疾病が当該指定地域に係る大気の汚染又は水質の汚濁の影響によるものである旨の認定を行う。」と規定し、一定の者につき認定申請を行うことを認めているから、本件訴えは、行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項2号の「行政庁に対し一定の処分又は決裁を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」において、「行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟」(同条項柱書、以下「申請型義務付け訴訟」という。)に該当する。

2 申請型義務付け訴訟のうち、「申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がなされた場合」の類型については、当該処分又は裁決が「取り消されるべきもの」であるときに限り、提起することができるとされていることから(行訴法37条の3第1項2号)、本件訴えに併合される処分の取消請求が認容されることが訴訟要件となるものと解される。
 したがって、当該処分又は裁決の取消請求訴訟が認容されない場合は、当該処分又は裁決が「取り消されるべきもの」に該当せず、申請型義務付け訴訟は、前記の訴訟要件を欠くものとして却下されるべきである(市村陽典(行政事件訴訟法の改正と訴訟実務」法律のひろば2004年10月号23ページ以下。特に同27ページ中段)。

3 本件申請を棄却した本件処分は、現在係続中の本件取消訴訟における被告の主張のとおり適法であるから、本件処分が取り消されるべきものに当たらないことは明らかである。
 したがって、本件訴えは、前記の訴訟要件を欠き不適法である。

第3 結語

 以上のとおり、本件訴えは、不適法であり却下されるべきである。

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