機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
(バンダイ、プレイステーション版)

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バンダイからたくさん(^^;)発売されているガンダムゲームのひとつ。 同名映画の3Dシューティングゲーム化で、 同ゲームではモビルスーツ(以下MS)による 宇宙空間戦闘だけをフィーチャーしている。 ザコこそ出てくるものの、基本的にはサシの勝負と考えてよい。 なお、画面分割による、2プレイヤー対戦機能もある。

このゲームでピックアップしたいのは「BNS(バトル・ナビゲーション・システム)」と呼ぶ「空間の把握法」がすごい点である。

言葉で説明すると非常にややこしいのだが、
「敵キャラを中心とした同心球の球面上に自機が居る」
「敵キャラとの相対位置を基準に操作する」
といった要素が画期的で、かつ操作を非常に小気味良いものにしている。

従来の宇宙モノ3Dシューティングゲームでは 自分の座標と方向を把握する必要があった。
自分が中心で、回りに敵が居る、という天動説的な空間把握である。

自機が戦闘機型で、常に前進しているような場合には、それがなお一層顕著だ。 フライトシミュレータの操作をそのまま宇宙に持ち込んでも、 かえって混乱を招くばかりと言える。 まず重力による上下が無い。大気による揚力もない。 水平線も無いので、常にバーティゴ状態みたいなもんである。 一度ロールしたが最後、「ここはどこ?」になってしまうゲームも多い。 実際にはロールは必要なく、ヨーとピッチだけで事足りるのだが。 レーダーも、自機の水平方向に準じた2次元平面を表示するため、 めまぐるしく変化し、敵機との位置関係などは把握し辛い。

※バーティゴ=「めまい」。飛行機で航空中、スピードや乱気流、気圧変化など によって、三半規管等が狂い、自分の位置・姿勢などを見失うこと。
※ロール=機体を左右に傾けること。その角度。背面飛行は180度。
※ヨー=機首の左右方向への旋回(?)。その角度。
※ピッチ=機首の前後の傾き。仰角。垂直上昇は90度。
宇宙3Dシューティングって、その辺、キチっと計算すると ワケわかんなくなるので、実は結構内部ではえーかげんに 処理しているのではなかろーか(^^;)。 まぁ、えーかげんなお蔭で成功しているゲームもたくさんあるし、 重力などに縛られない、ワケわからん感じが 宇宙3Dシューティングの醍醐味でもあるのでそれはそれで評価してる。

昔の「スタークルーザー」(アルシスソフト)という国産フルポリゴン宇宙3Dシューティングゲーム では、惑星公転軌道を基準にした「絶対平面」とでも呼ぶべきものがあり、 これを基準に自機の仰角、ロールなどが計器(アイコン)で表示されていた。 レーダーも絶対平面に準じている。
コクピット視点なのだが、戦闘と巡航にモード等の区別はなく、 自分自身が戦闘モードだと思えば、画面に集中し、ロールや仰角は無視して 縦横無尽に敵機を追いかけ回せばよろしい。 潮時だと思えば、ロール・仰角を水平に戻し、 レーダーを見ながらすたこらさっさとトンズラかませばよろしい。 「水平」に戻すのもテンキーの5を押し続けるだけで自動で戻せる。
あたかも地上を飛ぶかのように、宇宙を旅することができたのだ。

次に、地上戦モノロボットシューティングを考えてみる。
電脳戦機バーチャロン」(セガ)「ガングリフォン」(ゲームアーツ)「機動戦士ガンダム外伝」(バンダイ)など、秀作が多く、 独自の操作性を活かしている。 だが、コレをそのまま宇宙に持ち込むことは出来ない。
まず、地上には「地形」というものがあり、これを利用することが勝利のために必要で、その駆け引きもゲームの楽しみの大きな要素となる。 この場合は、絶対座標の2次元MAPと天動説的な操作方法が必要だ。

また、地上戦ゲームでも3次元的な戦闘が可能な場合もあるが、 平面上の動きに上へのジャンプが加わる程度。 「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」では最終ボス「タングラム」戦において、 従来のバーチャロイド操作系が無重力空間では苦戦させられることを 実感させられる。

さて、MSはロボットである。
常に前進しているわけではなく、通常は静止している。
「AMBAC機動」により、静止したまま どの方向でも自由に向くことが出来、 バーニアにより前後左右上下に推進することが出来る。

※AMBAC機動=Active Mass Balance Auto Control(能動的質量移動)。四肢の重心移動や反動(作用反作用の法則)により、体の向きを変える姿勢制御機動。MSではこれが可能なために 姿勢制御用バーニア(アポジモーター)などを必要とせず、 低燃費で無重力機動が行なえる、とされている。
この場合、絶対平面によるレーダーは致命的だ。 例えば天頂方向軸に敵機が存在した場合、自機と重なり、距離感が把握できない。 つまり、MS戦闘では自機の水平面を基準にした2次元レーダーが 最適と言うことになる。 しかし、これも敵機が3次元的な機動を行なっている場合、 敵機捕捉は困難となる。

そこで、「逆襲のシャア」では「敵機捕捉」自体をオミットしてしまう。
「ロックオン」というまことに都合の良い(^^;)方法で、 常に自機の正面に敵機を捉えてしまうのである。なにせアムロとシャアというニュータイプ同士の宿命の闘いをフィーチャーしているのだから、常に「私にも敵が見える!」(声:池田秀一)のである。たぶん(^^;)。

文章ではまことに伝わりにくいのだが、概念を説明する。

マニュアルより無断借用逆襲のシャア」では、ロックオンした敵機(以下、ターゲット)を中心とした同心球を仮想する。 ターゲットと自機との間に直線を一本引き、つまり、この長さがターゲットとの距離である。 この長さを半径とした球面上に自機は存在するわけだ。 自機は常に球の中心を向いている。

次に中心線に沿って、自機の水平面でこの球を切る。 ターゲットを中心とし、自機との距離を半径とする円ができる。
この円周上に自機が存在するわけだ。

同ゲームの空間把握はこれが全てだ。 操作もこれを活かして、直感的に自機を動かせる。 上ボタンは前進。ターゲットに接近する。つまり、半径が小さくなる。 右ボタンは右推進。円周に沿って右移動。半径は変わらない。 L1ボタンは上昇。球面に沿って上移動。半径は変わらない。 あとはこの組み合せ次第である。

自分がどこを向いているかはどうでも良い。この小気味よさ!
自分の正面には常にターゲットがある。この緊迫感!

この表現法は「地形に左右されない」「重力に縛られない宇宙空間戦闘」 であることが必要であり、「敵機の位置が常に把握できる」ことが前提である。 そのため、「宇宙空間でのサシの戦い」という「逆襲のシャア」だからこそ可能で、かつ活きる戦闘系システムなのだ。

ここで「360度全方向シューティング」をうたう、ロボットもの3D シューティング「オメガブースト」(SCE)にも触れておかなければなるまい。 「SCANモード」システムにより、同ゲームでも「逆襲のシャア」と同様の 機動を取ることができる。 L1ボタンを押すと全方位索敵を行ない、最も近い目標を自機の正面に 捉える。L1ボタンを押し続けていれば、自動で追尾する。
「ターゲットを中心とする同心球」という捉え方は同じだが、移動法が若干異なる。 「逆襲のシャア」はスティックが前後左右に対応したのに対して、 「オメガブースト」では球の表面をなめるように上下左右に移動するのだ。

ここにもゲームデザインに由来するこだわりがみられる。
オメガブースト」では、ターゲットとの距離はさほど意味を持たない。 強力な追尾性能を持つロックオンミサイルが攻撃の主体にあるからだ。 また、ボスキャラとの距離を一定に保ち、周囲をぐるぐると回り込むという 機動が重要だからだ。
逆襲のシャア」では、ターゲットとの距離は重要である。 様々な武器を同時に扱うことの出来るMSの特徴を活かし、 接近戦/近距離/中距離/遠距離によって、 武器を使い分けることがこのゲームの勝利の鍵であり、面白さなのである。

初期のガンダムゲームから数々の死屍の山を築きながら、遂にバンダイは「逆襲のシャア」を色々と良いゲームとして洗練昇華させたのである。えらい。

とまぁいろいろ言ってきたが、要は 「超時空要塞マクロス デジタルミッションVF−X」(バンダイビジュアル)の操作系がタコなだけだと言いたいのである(^^;)。 とりあえず宇宙に東西南北がある(^^;)という時点でこのゲームは失格である。

同ゲームではバルキリー、ガウォーク、バトロイドのそれぞれで 操作系が劇的に変わる。 バトロイド、ガウォークを操作した感覚を元にするならば、 おそらくMAPは絶対平面を利用している。 おそらくと言うのは、この情報が公開されていないから。 ガウォーク、バトロイドはこの絶対平面に基づいているからまだ良い。 バルキリーが問題で、ロールもすれば上昇・下降もしやがるのである。

地上戦ステージならば、おおむねなんとかなるのだが、宇宙戦ステージは メロメロである。 宇宙の癖に「地形」がありやがるのである。MAPの定位置にボスキャラが 鎮座してたりするのである。このMAPが天動説的に動きやがるものだから、 一旦コースを外れるとボスを発見するのは極めて困難となる。
せめて絶対平面の全体MAPを表示する機能くらい付けやがれ! 3面をクリアするのにどんなに手間が掛かったか!こんちくしょー!

ちなみにこの疑惑が抜けてないので、「同VF−X2」は買ってない(^^;)。

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