Chapeau

 照明は上からか下からか両方か、一番不気味に見えるものを試してまで・・・。「絶対的に下からだけですっ!!!」
 服じゃない、この実写版芳一を見てよ、この画像探すの大変だったんだから。型出しより本気だったんだから、そんな気持ちで掲示。
 耳越しに写真を何枚か撮ってみる。もちろんピントは「耳」に合せることを忘れない。
 切り口がガタガタで妙に使用感のあるシワがあせっていた心境そのものの掲示物。実際ディオールと「耳」は何の関係もない・・・。

Miminashi Hoichi

 19年度の展示発表も無事終わりました。年間を通して展示発表した作品以外にも多くのことに取り組んできましたが、私の計画性の甘さから展示間際は怒涛の追い込みでした。それはまるで卒業出来ないかもしれない学生の最後のあがきにも似た状況でした。もう最後に望んだことはたった一つだけ、「どこでもいいから横になりたい」という睡眠への欲求でした。それでもなんとか今日の日を迎えられたのは多くの方々に助け支えて頂いたおかげです。プリントデータの作成でアドバイスを頂いた内田優先生、デジタルプリントでの布地制作にご尽力下さった飯塚有葉先生、度重なる押しかけ作業に快く対応して下さった太田るみ子先生、文献調査で常にお世話になっている図書館の皆さん、困った時に貴重な意見を下さる中道友子先生、真摯な姿勢とテンポよい返しで楽しい研究を支えてくれた深澤由起美先生に深く感謝申し上げます。
 

 今年度は帽子を研究対象として2名の先生が参加して下さいましたので、その作品を紹介します。

【平成19年度 年度末合同展示】



 「何これ、耳なし芳一じゃん」と言って馬鹿にしきって笑ったのが5月、「芳一の全身像が見つかった」とこれまた笑って喜んだのが6月、「やっぱりやるしかないか」と制作を決めたのが10月、プリントデータを作り始めたのが12月、そのくせトワルを組み始めたのが展示の10日前、布地が上がったのが展示の4日前という、温めてきた企画な割に勢いだけで仕上げたあらゆる意味で思い出深いこのスーツは巨匠クリスチャン・ディオールの作品です。借りてきたネックレスは西郷どんか織田無道・・・、妙にマッチしたからまた笑える。オチばかりに気を使ったのに、「素敵ね」と言われると喜んでいいのか悔しいのか複雑な気持ちです。
しかも、この作品を作った私に対し「何を考えているのか、趣味を疑うわ」というコメントを頂いたこともあるのですが、私は真似をしただけです。疑うならばディオールを疑って下さいっ!!!

Christian Dior

Lanvin

 発色のいいピンクとリボンが印象的な変わりベレーと、染色から施して作成した小花を散りばめたヘアバンドがどちらも女性らしくかわいい帽子は、収集した資料を分類でまとめたレポートとともに展示して頂きました。またディオール作品にかぶせた帽子も先生が制作しました。

Lanvin

Balenciaga


 こいつのおかげでB館とF館を行ったり来たりさせられて、常に「あーしてこーしてこうなって」とブツブツブツブツ独り言を言わされる羽目に陥ったそんなコートは、写真を見る限りではあっさりさっぱりシンプルでかわいいランバンの作品です。しかも、仕上げの終盤で気付いた大きすぎる失敗に打撃を受けるところでしたが、あまりに展示間際であまりに疲労困憊であまりにもごまかせない失敗で、つまり追い込まれ過ぎていて、失敗に落ち込む余裕がなかったので怒涛の勢いでやり直し出来て逆に助かった・・・。仕上がって着たら笑わずにはいられない根本的な失敗に、立体での型出しだけでは服がわからないんだなぁと痛感させられた作品です。

Akane M.

 やわらかに上質そうなウールが波打つ動きがひどく素敵なケープ風コートはランバンの作品です。後ろにまわった肩線上に消すことの出来ないダーツが出現して型出しに悩まされたことが印象深く、展示発表間際になって眠くて仕方ない中まつった裏地の裾や、やらなくてもばれないからもうやりたくないと思った糸ループも、とどめに着て動いてみて初めてわかったコートの構造上の問題も、作った人にしかわからない笑ってしまう失敗を抱えているくせに、妙に素敵に仕上がったように見えるからマヌカンは恐ろしいと思いました。次の冬には実際に着用する予定です。

 ストローで作られた帽子のカーブが美しく、雰囲気のあるリボンが印象深い作品と、型から制作してかなり試行錯誤されたとのことで写真の通りの上がりが素敵なフェルトの作品は、それぞれ材料とともに展示して頂きました。

Michiyo M.

COAT

 肩部の切り替えがかわいくないね、サイボーグみたいなんだもんと好き勝手にけなしていたショートジャケットが一瞬素敵なスーツはバレンシアガの作品です。妙に高価だった布地は歪みが半端なく、柄を合わせて裁断したら寸法がひどく違う物体が揃ったから大変でした。あんな地直しなんかしたことがないし、やっていいのかもわからないので詳細は伏せるとしても・・・。衿や肩部は考えた末の布目だったにも関わらず、実際に縫製してみて初めてわかった己の失敗にがっかりしつつも、マヌカンに着せたら意外に素敵。

 簡単に作れる円裁ちのスカーフを1/2で制作したものや、購入した当時の雑誌、ホームページの紹介、資料のスライド上映など、細かなものも展示しました。

 当初雑誌に掲載されていた記事の通りにグレーのオットマンで制作するつもりで購入していた布が、裁断という時になってあからさまに足りないことにショックを受けていまいした。しかし、その先日13階のゴミ箱の中から拾ったウールがいいんじゃないかと気を取り直して縫い上げたスーツは、前がフィットで後ろがルーズな素敵にかわいらしいバレンシアガの作品です。くせとりが利く表地と利かない裏地はパターンを変えて作りました。着た時にシルエットが崩れないように仕立てにちょこっとした細工も施しました。

Others

 前期に演習課題として取り組んだブラウスです。これはこれでいろいろと試行錯誤を繰り返して制作したものばかりです。立体の勉強をやりはじめて感じた制作へのアプローチに対する疑問や、基本に返って原型を組んだりしたことが懐かしく思い返されます。

SUIT

 19年度は、1951年に的を絞り資料収集や制作を行いました。制作した作品などの一部を展示発表という形で公開しました。その模様や作品を紹介します。




Blouse

Balenciaga