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Jean Patou 1954-7



 立夏の候、皆様におかれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 この度、私設のホームページを開設致しました。日頃の研究の経過や作品等を公開するホームページです。お忙しいとは存じますが、是非ご覧頂いてご意見・ご感想等頂ければ幸いです。

 今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
                        
                           2007年6月19日
  伊藤

 この研究は1950年代のファッションを立体裁断により型出しし、デザイン・シルエット・縫製の関係を学ぶものとし、研究を始めてから5年が過ぎました。

 私が50年代のファッションに興味を持つきっかけとなる一枚の写真があります。右のJEAN PATOUのウールジャージーのワンピースドレスです。当時立体裁断が好きでどんなものでも立体から起こすことが楽しくて、そして出来なくて試行錯誤することも楽しかった時期、ある先生が「ねぇ、この型出しを立体でしてみたら?」とこの写真を見せてくれました。それは雑誌のカラーコピーで、裏面に【French Vogue 1954年】と書いてありました。「原本を見れば切り替え線などの構造がもっとよくわかるに違いない」と思ったことがきっかけで図書館へ行ったのが50年代のファッションとの出会いでした。

 求めるFeench Vogue 1954年7月号という雑誌がどこに配架されているのかも、実際に所蔵しているのかも知りませんでした。レファレンスのカウンターでそのコピーを見せて、「この原本を探しています」と相談し、雑誌閲覧請求書に記入して数分後、French Vogue 1954年発行分全10冊が合本された状態で2冊、目の前に置かれました。忘れもしない、装丁は緑でした。原本を探すためにめくっていったページの中には、教科書に出てくる著名なデザイナーの有名な作品と並んで、初めて見る名前とため息の出るような作品やイラストがあふれていました。私はあの時の古い雑誌の紙の匂いや目的さえも忘れて見入ったこと、欠損ページに腹を立てたり、インクで汚れた自分の指先のことなんかを昨日のことのように思い返してしまいます。あの日がこの研究の原点です。ものすごく単純に、“心躍った”瞬間だったのです。

 当時、調べる雑誌はVogueしかないと思っていた愚かさや、デジタルカメラの普及してなかった時代にカラーコピーばかりしてやたらと浪費したり、所在を明記せずに原本を探すのに何日もかかったりと、随分頭の悪さを発揮していました。今、あの頃より幾らかは調査・研究することにも慣れ、自分なりのスタイルというものを確立しつつありますが、土曜日の図書館で朝一番に書庫から出してもらった雑誌をめくる時、やはりあの日の自分と同じで胸が躍ります。書類を書いてハンコを押して、幾つもの段階をパスして閲覧を許可された貴重書を見る時には、どうしたってまず拝んでしまいます。

 私は、センスが悪いので有名なんだからと教え子に言われてしまうタイプですが、洋服が好きだし、作ることも好きです。そして立体裁断はその中でも特に好きで、同じ様に特別に好きになった50年代のファッションと合わせて、学生への還元を目的に研究しています。勉強には終りがなく、常に発見と反省の連続ですが、多くの人に支えられて好きなことが出来る毎日に感謝して精進してまいりますので、今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。