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◆切り絵の魅力

 切り絵の魅力は、なんといっても誰でもが「これだったら私にもできるかな」「ちょっとやってみたいな…」と感じることができることでしょう。

 じっさい、切り絵は、紙とカッターさえあればすぐにでも始められる気軽な技法です。また、日本画や油彩 画、水彩画などと違って、単純な白と黒のバランスだけで成り立ち、それでいて強烈なインパクトを持っている絵画です。

 普通に描くとつまらない題材でも切り絵にすると、不思議と魅力的で迫力のある白と黒の構図に大変身することがことが多いのです。そして自分でも二度と作ることのできない大切な作品が誕生することになるのです。

 絵が上手かどうかということに関係なくすばらしい作品をつくることができる可能性をもっているのが切り絵です。とにかく一点作品を仕上げてみてください。きっとすぐに病みつきになってしまいますよ。

 私は、長男の誕生案内のはがきを切り絵でつくったことがきっかけで、以来切り絵のとりこになってしまいました。最初は好きな鳥たちをモチーフに、そして、今では仕事の童画も切り絵で制作しています。カッターで切った紙のラインは、自分で意図した以上の何かをいつも私にプレゼントしてくれるのです。そんな切り絵に今後もますますのめり込んでいくことになりそうです。

 このページを開いていただいたみなさんにも、表現することの楽しさ、黒い、ただの紙から自分だけの作品を誕生させることの歓びを感じていただけたらと願っています。

◆切り絵はピアノソロ

 ところであなた、絵は好きですか。
 「嫌いじゃないけど下手で…」と言う人は多いのですが、実はみんなもともと絵は大好きなのです。よく思い出してみてください。子どもの頃から歌を歌ったり話したりするのと同じレベルで、誰でもがりがりと無心に絵を描いていたはずなのです。

 上手に描かなければという強迫観念に迫られたり、絵が分かるとか分からないとか、お勉強と同じような発想で接したりしているうちに次第に前述のような答えを用意するようになっただけではないでしょうか。

 でもやっぱり、絵の上手、下手はあります。切り絵を始める場合も絵は上手な方がいいのでしょうか。いえ、そういうことと関係なく楽しめるのが実は切り絵なのです。むしろ今まであまり絵を描いてこなかった人の方がユニークな表現を発見する可能性をもっているとさえいえるのです。

 切り絵は単純です。世間にあふれている大量の情報や色が重厚なオーケストラだとすれば、切り絵は軽快なピアノソロといった性格でしょうか。一人で自由に、レベルに会わせて楽しめます。だからといって最高の芸術を表現することができるのです。白と黒だけの単純で、しかし奥の深い切り絵を、あなたも楽しんでみませんか。

 ここに、これから切り絵を始めようかと考えている人に、私が大好きな画家であるクレーの言葉をプレゼントしたいと思います。

 「モチーフに何を選ぶかは、作家の主張とは関係ない。モチーフは身近にあり親しんでいるものであれば何でも良い。配置にこそ私の主張がある」

 これは何を意味するのでしょうか。私は「絵の配置にこそ作者のセンス、考え方があらわれる」と解釈しています。つまり、配置にこそ絵の価値があると主張しているのです。切り絵は、その配置の効果 を最大限に表現できる芸術です。

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