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        ☆★☆  食 物 連 鎖   ☆★☆

                         作 本家 YASU (^^;)

          第1章 たべられちゃった (;_;)

「海原遺伝子研究所」

 この、いかにも難しそうな名前が僕の勤め先である。代表者の博士は海原真
 之介と言う遺伝子学界では世界でも指折りの超有名人、天才ってやつだ。

 「天才と何とかとは紙一重」と言うけれど、凡人の僕には時々博士の行動がわ
 からなくなってしまうことがある。

 その一つは「金魚だぁい好き」だ。博士は昔から一匹の金魚を飼っているの
 だが、なんと毎朝のように金魚鉢に入れて散歩につれていく。そして、近所の
 池に行くとその中に金魚を放して自由に遊ばせた後、飼い犬よろしく笛を吹い
 て金魚を連れ帰るのである。

 先日も「君ぃ、フンは持ち帰らんといけんの?」と真顔で質問されたときに
は閉口した。

 もちろん、万事こんなかんじだから、風呂も寝る時も一緒である。当然、風
呂は水、布団はウオーターベットと徹底している。一度なんか、お風呂を沸か
 してカンカンに怒られたこともあるし、ウオーターベットの下を泳ぐ金魚と昼
 寝をしたこともある。

 :::::::::::::::::::::::::::::::::::

 まあ、そんな博士と金魚の不思議な生活が続いていたが、事件はある朝、突
 然に始まる。

「Y君、大変だぁぁぁ」

 研究所のドアがバンと開けられたかと思うと、全身ずぶぬれになり、髪を振
り乱し、眼鏡を半分ずり落とさせた博士が血相を変えて研究所に飛び込んでき
 た。その異様な格好にギョッとして思わずボーとして見つめていると、

「アカちゃんが、、アカちゃんが・・・・」

 と言うなり泣き崩れてしまった。やっとの事で口を開き「金魚がどうかしたん
 ですか?」と訪ねると、

「な、な、なんだと、金魚だと!!」

 と、いつもの博士の文句が出てきた。あまりのショックに、僕は思わず金魚
と言ってしまったのだが、普段ならば、博士はアカちゃんを魚扱いすると非常
に怒る。でも、今は怒るどこの騒ぎじゃないらしい。

「おお、それよりも、アカちゃんが・・・」

 博士はガックリと肩を落とし泣きじゃくりながら悲鳴と嗚咽ともつかない声
 で説明を始めた。

「アカちゃんが、何かに食べられたよう。いきなり、魚みたいなものがガバッ
  と襲ってきて一口でアカちゃんを飲んじゃった。ああ、可哀想なアカちゃん、
  なんて可哀想、、う、うわーん、うわーん、おーん、おーん、ひぃぃぃぃ」

「えっ?食べられたって?あ、あの池でですか?」

「そうじゃ、いつもアカちゃんを散歩させてるあの池じゃ、うわーん、おーん、
 ひーーー」

 僕は泣きわめく博士を見ながら、昨日の帰宅途中の出来事を思い出していた。
 ルアーの釣り竿を持った子供達が数人でワイワイ騒ぎながら、あの池に何かを
 放していたを目撃したのだ。

  博士の金魚が食べられたという事は、たぶんどこかの池で釣ってきたブラッ
 クバスか何かを池に放流したのだろうな、と僕は思った。

「ブラックでしょうか?」
「なんじゃ?そのブラックというのは」

 金魚以外に興味を示さない博士がグチャグチャの顔をこちらに向けながら言
った。

「はい、外来種の小魚を食べる魚で、ルアーで手軽に釣れるものですから、各
地に広がってしまっています。あの組織的な分布を見ますと水鳥が卵を運んだ
なんて釣具屋は言ってますが、どうも道具を売りたい釣具屋がゲリラ的に放流
した、なんて言われてる噂の方を信じたくなります」

「何をチミは言ってるんだ。まるで読者か何かに説明しとるようで、何がなん
  だか、さっぱりわからん。ブラックとはライギョみたいなものか?」

「いえ、たしか、サン?なんとか?科の仲間で淡水に住む口の大きな魚だった
 と思います」

 うらおぼえに話す僕の顔を、一瞬泣きやみ、やぶにらみの目で、ギョロリと
見ながら何事か考えていた博士は、一直進にトイレに向かうとドアを乱暴にガ
 チャッと開けた。

「もおいい!!ボカァ、トイレにこもる、アカちゃん、、ひぃぃぃぃぃ ぃ」

 そういいながら、博士は泥だらけのズボンを下げて便器に座り鼻をチーンと
 かむと膝の上の手にアゴをのせて黙ってしまった。

 一般の人には理解しがたいだろうが、何か考え事をするときは決まってトイ
レに入るのが博士の癖だ。「トイレに入ればすべての生活を集約できる。誰に
 も邪魔されないから、精神集中には最高の場所である」が博士の持論で、一度
 はいると1日でも2日でもトイレから出てこない。

 しかも、この研究所のトイレはなんでもそろっている。テレビ、ラジオ、電
子レンジ、コンピューター、跳ね上げ式の机、プレーボーイの本とティッシュ
 等々、数え上げたらきりがないほどだ。博士の言うとおり、何年だって居続け
 れるだろうし、その気なら「トイレ長期滞在記録」としてギネスブックに挑戦
 できるかも知れない。

  それ故に一度トイレにこもったら、助手の僕はトイレの小窓から新聞やら食
 べ物やらを中に差し入れなければならない。まるで天照大神の岩戸がくれ状態
 なのだが、根本的には籠もってくれた方が僕は楽なのだ。

「Y君、その魚の事が書いてある本を買ってきてくれたまえ」

ゴボゴボゴボ、ジャァァーー、
 水洗の音よりも大きな声で博士が中から叫んだ。

ブッ!!(これは博士のおならの音である)

「それとトーストにアカちゃんの餌をたっぷりと振りかけてもってきてくれ、
あ、アカちゃ〜ん、おーん、おーん、ひぃぃぃ」

 食べられた金魚のことを思い出したらしく博士は再び泣きわめき始めた。や
 れやれ、トイレに籠もってくれて助かった、と思いながら僕は朝食の準備を始
 めた。

                   第1章 たべられちゃった(;_;) 完

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       ☆★☆ 第2章 設計図出来ちゃった ☆★☆

                             作 本家 YASU

 博士のトイレごもりも3日めに突入した。一人でのんびりとした朝食を取っ
 ていると何かトイレの方が騒がしい。どうやら博士が扉の前でゴチャゴチャや
 っているらしい。気になったのでドアの方に近づいていくと、耳に鉛筆を2本
 差し、トイレットペーパーを両手に持った博士が仁王立ちしている。

「がははは、できたぞ」

 そういいながら博士はズボンもあげずにチンチンを上下させ大声で笑ってい
 る。よく見るとトイレットペーパーにビッシリと遺伝子の設計図が書かれてい
 る。(なにもあんな物に書かなくても、トイレの中には最高級のパソコンだっ
 て入っているのに)と思いながらも

「何が出来たんですか?」

 と聞くやいなや

「アカちゃんの敵を討つ!!あれを喰う魚をつくるんじゃ。ふん、ふん」

 と鼻息の荒い、訳のわからない答えが返ってきた。どうやら、池で食べられ
た金魚の復讐をしようと言うことらしい。それならば、池を干してつかまえる
とか、網を打つとかした方が簡単だと思うのだが、遺伝子組み替えで新しい魚
を作ろうとは、さすがに遺伝子分野の最高峰だけある。

 ここで山崎君と福島君のために少しだけ遺伝子組み替えの説明をしておこう。
 遺伝子操作の理論はいたって簡単で、適当な生物のDNA(遺伝子情報を持っ
 たデオキシリボ核酸)の断片を別の標的になるDNA分子に結合させるだけだ。

 基本的に生物のDNAは2本のポリヌクレオチド鎖が塩基間の水素結合で並
列し、互いにねじれあって二重のらせん構造をしている。二重らせん構造の直
径は2ナノメートルで、人の場合、一つの細胞には1.8メートルぐらいの長
さのDNAが折りたたまれて入っている。

 組み替えはこの遺伝子情報の鎖を適当な制限酵素で切断してやり、その中に
挿入したいDNAの断片をこれまたDNAリカーゼによって張り付けてやるの
だ。あとはそれを卵の中や細胞の中にもどしてやると勝手に増殖する。神の領
域に入る分、大変危険な技術なのだ。(未知の遺伝子情報が入り込む可能性も
 あるし、もしそれを食べたとしたらどんな影響が体に現れるかは誰も想像つか
 ない)

「は、博士、それってどんな生命体なのですか?」
「ぬわははは、あのいまわしいブラックバスのみを捕食する魚よ」
「ピラニヤかなんかですか?」
「馬鹿者、淡水にそんなもの放したら人間まで食われてしまうわ」

 博士はトイレットペーパーの端の方を確認するように見ながら言った。

「成長が早く、性格のおとなしいヘラブナとか言う魚の遺伝子をいじった新し
 いブラブナを作ったのじゃ」
「ブ?ブラブナですか?」
「そうじゃ、ヘラブナとブラックバスじゃから、ブラブナじゃ」
「えっ?」

 ブラブナとは、いつもながら博士のセンスには失望させられる。

 先日も、化粧の匂いをプンプンさせた日本愛犬協会のオバサン連中から依頼
があって、かわいい「ポメラニアン」と小さな「チン」の遺伝子を組みあわせ
て、新しい愛玩犬を作った際にも、さっさと新動物を「チンポ」と命名して情
報特許を取ったものだから、受け取った協会のオバサン連中の当惑と言ったら
目も当てられなかった。

 まあ、ともあれ遺伝子の組立設計図はこれで出来たわけである。ブラブナと
はいったいどんな生命体なのだろう?

         ☆★☆ 第2章 設計図出来ちゃった ☆★☆ 完

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( 5) 97/04/06 07:58

         ☆★☆ 第3章 驚異のブラブナ ☆★☆

                           作 本家 YASU

 博士からブラブナの稚魚を10匹渡されて1週間たった。最初は1センチに
も満たない頼りない奴らだったのだが、もうすでに10センチにも成長してい
る。さすがに、成長がはやく環境に適用するように改良されたヘラブナをさら
に遺伝子操作しただけあって、このぶんだと1ヶ月ぐらいで相当な大きさに成
長するだろう。

 遺伝子操作の天才が遺恨を込めて作り上げただけあってブラブナは素晴らし
い生態を持っているようだった。ブラックバスを捕食し尽くしても大丈夫なよ
うに彼らはプランクトンのみでも十分成長できるようだった。

「Yくん、ブラブナの成長は順調かね?」
「はい、毎日元気で水槽を泳ぎ回ってます」

 「そうか、明日からブラックバスの稚魚を餌にやるといい。最初は捕食しやす
  いように少し弱らせてからやるか、背ビレか尾ビレをハサミで切ってやると
  いいぞ」

 「は、はい」
 (いつのまにそんな知識を?)

 遺伝子操作を終えた博士はその生命体にものすごく詳しくなっている。まる
で、組み替え時の遺伝子情報を瞬時のうちに全て読みとっているかのようだ。
もともと、遺伝子は何千年、何百年もかかって種が得た貴重な情報が詰まって
いるから、その情報を映像化できたならその種の目に映った太古の世界をも覗
き見ることができるだろう。

 生き餌(ブラックバス)をやってからのブラブナの成長は目を見張るものが
あった。博士の言うとおり彼らは1ヶ月で50センチ以上に成長して、水槽の
中を悠々と泳ぎ回っている。銀色の美しく堅い鱗を持ち、トロンとしたクルク
ルと大きな目が印象的な大人しそうな魚の誕生だ。これが、40〜50センチ
ものブラックバスでも捕食できる生き物とは想像もつかなかった。

「Y君、明日、全部をあの忌まわしい池に放したまえ」
「えっ?全部ですか?」
「そうじゃ、全部じゃ。あのアカちゃんを喰ったブラックバスを間違いなくポ
  アするんじゃ」
「ポ?ポ?なんですか?」

 博士は自分で言って恥ずかしくなったらしく、「ともかく放して来るんじゃ」
と言い放つとまたトイレに籠城してしまった。

 翌朝、まだ暗い内に僕はブラブナを持ってあの池に行った。池に行くと池の
周りが騒々しい。何事かと思って見ていると、「日建、○灸」とかかれた旗が
立っている。どうやら池にヘラブナを放流しているらしかった。なにか一人で
やると気が滅入るが、みんなやってるもので、これ幸いとドサクサに紛れてブ
ラブナを放流した。

 いつもながら、遺伝子操作をした動物を自然界に戻す時は変に後ろめたい気
持ちになる。研究室の中だけならば何か異変があっても対処出来るのだが、自
然にもどった瞬間、彼らはまた新しい情報収集をし、新しい進化を遂げようと
するから、ある意味では想像のつかない行動をする可能性もある。

 ともかく、博士の命令通り、ブラブナは池に放流された。間違いなく、あと
1週間もすれば池のブラックバスは全て捕食され、博士の仇を討った後はブラ
 ブナはヘラブナとして一生を終えるだろう。

  すくなくとも、この瞬間までは僕はそう思っていたのだ。

              ☆★☆ 第3章 驚異のブラブナ ☆★☆ 完

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( 5) 97/04/06 07:58 コメント数:1

       ☆★☆ 第4章 スーパージャンボ ☆★☆

                           作 本家 YASU

 ブラブナを放してから半年が過ぎた。仕事の行き帰りにあの池を通るのだが、
あれ以来、平日休日を問わず池は超満員のようだった。

「なにが釣れるんですか?」

僕は素知らぬ顔をして釣っている人に尋ねた。

「ああ、ここじゃ、でっかいヘラブナが釣れる。みんな、スーパージャンボ狙
 いよ。しかも、ここのジャンボは不思議なことにルアーでも釣れるんだと、
  この池はジャンボ狙いのルアーとヘラ師といつも場所取り合戦になるよ」

男はそう言って周りを指さした。確かに、池の周りはルアーを持った子供達が
釣台のよこっちょから、水面を狙おうとフラフラ歩き回っている。子供達の竿
の先にはブラックバスによく似たルアーが光っている。

「じゃまなんだよな」

  男が言った瞬間ウキがツンと入った。魚はかなり大きいらしく、なかなか竿
 をたてられない。それどころかギュンギュン糸鳴りをさせているばかりで、な
 かなか上がってこない。釣り人は「きた、きた」と叫びながら竿をたててこら
 えている。

  釣り師は太りすぎてベストが張り裂けそうな後ろ姿で数分やりとりをしたあ
 とで、タモに手をかけると、水面が盛り上がり黒くて大きな物体が上がってき
 た。

 間違いなくブラブナだった。ブラブナは今やブラックバスを捕食し終えてヘ
ラブナに戻っているらしかった。ところが、畜生の浅ましさか、ブラックバス
の味が忘れられないのか、時々ブラックバスに似たルアーに反応して釣れるら
しい。それがこの池の繁盛の理由とのことだった。

(そうか、ブラブナは釣っても面白いのか)もともと食用に改良されたのに、
その釣りの趣の面白さから釣るために養殖されるようになったヘラブナ。その
ジャンボ版がブラブナって事か。

「いい型だろう。50センチはこしてるな」
「大きいですね。でも、それってヘラなんですか?」
「ああ、りっぱなヘラブナだよう。これが釣りたかったら、今はグルテンがい
  いぞ」
「ほんとに、ヘラブナと同じですか?」
「あんちゃん、何言ってるんだ。ほら、正真正銘のヘラブナだよ」

 釣り人達はブラブナを純粋なヘラブナだと勘違いしているらしかった。フラ
シに入れたブラブナを見せながら釣り師は満足そうにこちらを向いて話し出し
た。

「まあ、この混雑もすぐにおさまっぺよ」
「おさまるとは?どうゆうことですか?」
「ああ、このごろ仲間内でここのジャンボを釣ってはあちこちに放してるかん
  な」
「えっ?ゲリラ放流ですか?」
「何をいってるんだ。ヘラブナは害にならないから放流してもいいっぺ」
「でも、それは・・・」
「それに、このジャンボを放すとブラックが嫌がるらしくてどこかにいっちま
 うらしいな」

(それは喰われてるんだ)
  喉まで出かかった言葉を飲み込むと

「いったい、どのくらいでしょうか?」
「ああ、日建の連中で100匹くらいは他に放したらしいな。ブラックがいな
 かった昔に釣り場が戻ってジャミもでてくるらしいがよ」

「そうなんですか」

 僕はこの釣り師の話に足がガクガク震えるのを感じた。この勢いでは日本か
らブラックバスがいなくなる日は近いだろう。思ったよりもブラブナの成長と
食欲はすごいらしい。

  ブラックバスのように小魚やザリガニなどは食べないけれど、こんな大きな
 ブラブナがウヨウヨする池になって日本の生態系はだいじょうぶなのかしら?
 と思いながらも(ブラブナの事は誰にもいえない)と密かに心に誓った。

それから1年、ブラブナを放したときの僕の憂鬱がこれだったんだと思う事件
が勃発した。

      ☆★☆ 第5章 なんで海におるねん? ☆★☆

 8月になると海原遺伝子研究所は俄然暇になる。なんてことはない、博士が
いつも夏休みを取るからだが、研究員の僕はその間研究所の留守番になる。

  まあ、留守番といっても研究所の留守番はいたって気楽だ。ソファーに横に
 なって高校野球を見ながらビールでも飲んで暇を潰せばいいからだ。

 その日もソファーに横になってテレビを見ていたときだった。僕はそのニュ
ースにビールを吹き出してしまった。

 テレビは夏の砂浜でヘラ竿を振っているヘラ師のインタビューから始まって
いた。ピチピチの水着ギャルが戯れている横で、暑苦しい「おっさん」達がラ
ンニング姿でパラソルを立てて(もっとも、違うところを立てている人もいる
 ようだが・・・)一心不乱に21尺のヘラ竿を振っているのだ。

  しかも、驚いたことに、そのインタビュー中に確かにブラブナが釣れている
 のだ。しかも、丸々と肥った超50センチクラスが面白いように釣れているで
 はないか。

 MHK「これはなんですか?」
 釣り人「フナだっぺ、フナ、見てわかんねか?」
 MHK「でも、フナって淡水の魚ですよね?なんで海で釣れるんですか?」
 釣り人「俺にはわかんね、でも釣れてるからいいっぺ」
 MHK「・・・・」

 なんだって?ブラブナが海で見つかったって?なんで、淡水魚のブラブナが
海にいるんだ?僕の頭は大混乱、考えられることは「遺伝子操作は完璧ではな
かった」ってことだろうか?

 それだけなら良いけれど、ブラブナがあんなに丸々と肥っていたって事は、
海に何か食べ物があるのだろうか?僕はいそいで、辞典を開いて「あっ!!!」
と叫んでしまった。

(これだ、このスズキって魚はブラックバスそっくりじゃないか。生態から食
餌のしかたまで)

 そう思った瞬間、僕は受話器を取っていた。

「は、博士、大変です」
「なんだね、騒々しい。ワシは夏休みをとってるの」

 電話の向こうから涼しげなのんびりとした声で博士が言った。

「それが・・・博士、ブラブナが海にいました」
「それがどうしたって言うんじゃ?」
「博士、海にはブラブナの餌になるスズキがいます。世界中の海からスズキが
  いなくなってしまいます」

 焦っている僕の声を聞きながら、受話器の向こうから博士の高笑いが聞こえ
た。

「それでいいんじゃよ、Y君、僕の恨みは海よりも深いんじゃ。ブラブナのや
つもスズキを食べながらアメリカ本土に上陸し、アカちゃんの恨みを晴らして
くれるだろうって。そしてヘラブナ釣りの歴史の無いアメリカでブラブナもブ
 ラックバスを駆逐した後で生命を全うするんっじゃ」

 そう言って博士は一方的に電話を切った。さすが、博士、そこまで考えてい
 たとは・・・な〜るほど、と感心した後で僕は真っ青になってしまった。

 ブラックバスやスズキ科の魚を食べ尽くしたら、ブラブナは死ぬんだろうか?
いや、そんなことはないはずだ。

                              敬 田 !!
 もともと、ヘラブナってプランクトン・イーターのはずだ。 馬 共 !!

 海には生命の食物連鎖の基本にいるプランクトンがたくさんいる。プランクト
 ンを小魚や小生物が食べて、それを中型の魚が食べて・・・ってのが食物連鎖だ
 けど。

  異常な食欲(最適密度を無視した遺伝子組み替え)のブラブナが次に食べ尽く
 すのが彼らだとしたら・・・・

                 糸冬

                    作 本家  ☆★☆ YASU ☆★☆

97/04/06(日) 07:54 YASU(HFD03224)