へらぶな釣りの道具は、伝統的に竹や木を用いたものが多い。
フィッシングパラソルなどの近代的(^^;;な道具類は別にして、へら屋は総体的に血の通った木と竹の道具を好む。
特に竿受けは、グラスやカーボンのような化学竿を使っている人でも竹製を好んで使っている。
価格やメンテナンスのたやすさから言えば遥かにカーボン製に軍配があがるけれど、そこはやはりへら師のメンタルな部分が現れているに違いないと思う。そういう事から、竹の竿受けを使う人に欠かせないのは弓と枕と万力である。
ちょっとした釣具店ならば黒檀や紫檀のような硬い木で作られた万力が置いてあるが、これがなかな
かもので竿受けや玉の柄と合わせるとかなり高価なものになる。しかも、デザイン面では満足のできるものはいくらでもあるが、残念ながらそれらの殆どのものは管理池をテーマにした、いわゆる短竿用の小振りのものばかりで、私のように環境の厳しい野釣りでしかもやたら重い竹竿を乗せるにはいずれも貧弱なものばかりである。つまり、、、使えるものがない。(^^;;
そんな時、パソコン通信仲間で月間へらでおなじみの樋口正博さんが、波紋会議室のビッグイベントである「巨べらくらべ」の賞品として手製万力を提供してくださった。悪運の強い私は三方湖で釣り上げた45.1Cmで見事優勝し、その万力をGETした。
頂いた万力と弓と枕のセットは、今風のスマートな作りでしかも堅牢なものである。
仕上がりも見事で、市販品以上にきっちりと作ってある。材質はわからなかったけれど見た目以上にしっかりとしていて、長竿専門に使っている「忘我」銘の竿受けに使用したが未だにびくともしていない。竿受けが跳ねる事も無いし、よほどの強風でなければ横にぶれることも無い。
しかし、、、野釣り専門に使うには、大丈夫だとは解かっていてもやはり安心感が無い。少し強い風で押されれば、すぐに万力にひびが入っていないだろうかと心配になったりする。実際、今まで使っていた万力は突風に煽られて見事にひびが入ったこともある。釣友の丸子氏などは、買ったばかりなのに風に煽られてぽっきんと弓の根元の部分がぶっ飛んだ。
9月に滋賀県の多賀釣池で再び樋口正博さんにお会いしたときに、たまたま万力の話題になった。もうちょっとしっかりとしたものがあれば、、、という私の希望に樋口さんは「じゃ、頼んであげるよ」と、すかさずメモ帳を裂いて希望する寸法を書き込んでくださった。
そして、届いたのが左のものである。材質は「房総カリン」と書かれていて、今まで20年近く使っていた黒檀製のものよりも一回り大きくて分厚くて重い。カリンは相当硬い木だそうで、やすりや彫刻刀を使って加工するのも至難である。
見るからに武骨だ。しかし、それでいて、細かいところまでほんとうに丁寧に作られていて、これがほんとうに趣味で作ったものかと見ているだけでため息が出てしまう作りだ。
それにしてもでかい。ふつうのへら師がみれば大きすぎて見栄えの悪いものになるかもしれないけれど、求めていたものに出会えなかった私にとってはまさにBIGなプレゼントとなった。
まだ受け取ったばかりなので玉口を合わせていないけれど、私の一番のお気に入りである芸舟銘の竿受けに合わせてみようと思う。早く使ってみたい。(^_^)
この万力の為に樋口さんは、木場まで材料を買いに走ってくださったことが嬉しい。
● 写真はいずれも樋口正博さんの釣友、まだお会いした事もない木幡新一氏の手作り万力。この場を借りてお礼申し上げます。