ええと、かなりたいそうなタイトルを付けてしまいましたが、手持ちの竿のデータをまとめてみました。
下の表の数値は、それぞれの竿のコミ位置にある最も太い部分の数値であります。で、なにをしてみたかったかといいますと、それぞれの竿のオチ(テーパー=勾配)による調子の関係と、個々の竿の太さとテーパーに対する比較です。
なんのためにそんな邪魔くさい事をしたかといいますと、たとえば「芸舟 12.3 尺」の調子が私は一番好きなので、次は14尺で同じような調子の竿を買いたいと思った場合、どの程度のオチのある竿がもっとも好みの調子に近いかということが、物理的に知れたらいいなと思ったからであります。
もっとも和竿ってものは組み合わされている生地によって大きく性格が異なってくるわけで、1000分の1を計測できるマイクロメータで測ってみたところで同じ調子のものは確定できないのであります。それに、竿ってやつは実際に手にとってみて、その感触と張りから自分のイメージを膨らませて選ぶのが正しいに決まってます。だいたい、数値なんぞではとてもその感覚は表せないものですよね。
が、まぁ、こいつはひとつの目安として、わずかでも参考になればいいなということであります。おっと、もっともこいつは私自身のためにやっていることでして、これをみてくださっている皆さんは、「暇なことやってまんなぁ(--;)」と笑ってやってくださいまし。
それと、手持ちの中で同じ尺数の竿でも、大きく調子が違うのはどこに原因があるのかということも知りたかったのですが、これもよく考えてみれば、節の取り方とか節数とかの生地それぞれの個性の影響や火の入れ方による違いが一番大きいわけで、数値では表すことが出来ない部分が多いですよね。しかし、下の表の12番と13番、14番と15番、24番と25番は同じような作りで、節数もオチの出し方も非常によく似ています。偶然かもしれませんが、使った感触も非常に近いものがありまして、こんなくだらない分析が生み出す結果でも、ちょっとくらい参考程度にはできるのではないかと思っています。
まっ、そんなわけで、手持ちの竿のデータをLotus123にて引っ掻き回しているのですが、今回は先のタイトルにありますように、竿全体のオチに関するリストを作ってみました。正直言って、一本一本の生地のオチも出してみたのですが、結果的にそれぞれに大きな差は出なかったのです。考えてみればそうですよね。(^^;;
細かい考察はそれぞれみなさんにお任せするとして、適当に遊んでやってくださいまし。(^^;;
*図中の青文字は、私の感覚で標準的な調子のもです。(mm)
ID 銘 穂先 穂持 三番 四番 五番 元上 元 竿長さに対するオチ(%) 1 芸舟 8.2 5.1 7.2 9.0 3.622 2 芸舟 9.3 3.6 5.4 6.1 2.164 3 水連 9.3 2 5 6.8 8.8 3.122 4 芸舟 10.2 3.9 7.5 10.1 13.2 4.271 5 芸舟 10.2 4.3 5.4 7.1 9.8 3.17 6 壮志 10.2 3 4.8 7.2 8.6 2.782 7 竿春 11.0 3 4.8 6.6 7.4 2.220 8 芸舟 11.5 3.5 6 7.5 2.152 9 芸舟 12.3 4.1 6.2 8.1 9.3 2.495 10 旭峰 13.0 3.3 6 8.5 10 13.4 3.401 11 水連 13.5 4.2 6.8 9.3 12.4 3.031 12 東峰 14.1 4 6.2 8.9 11.1 2.598 13 芸舟 14.2 3.7 6.4 9.2 10.6 2.464 14 夢坊 15.1 3.2 5.2 8.1 10 12.4 2.710 15 水連 15.1 3.1 5.6 7.4 10 12.2 2.666 16 芸舟 15.3 4.4 7.1 9.6 12 2.588 17 一文字 15.3 3 5.5 8.2 10.7 13.8 2.976 18 水連 16.2 4.1 6.9 9.4 11.9 15.8 3.218 19 芸舟 16.3 4 6.3 9.2 11.3 14.1 2.854 20 水連 16.3 3.3 5.1 6.3 8.1 11.2 2.267 21 芸舟 17.5 3.9 7 9.1 11 12.3 2.319 22 心道 17.5 4 5.8 8.3 10.2 12.6 15.4 2.904 23 寿るすみ 17.65 3 5.2 7 9.8 12.9 14.8 2.767 24 魚集 18.11 4.1 5.3 8.2 10 12.4 14.1 2.569 25 若影 18.2 2.9 6.8 8.9 11 13.7 2.484 26 石水 18.2 4.4 7.2 9.8 11.8 15.2 2.756 27 芸舟 18.4 3.3 6.4 9.2 11.8 13.4 2.403 28 寿るすみ 18 .3 3.1 5.2 7.9 10.2 13.1 16.3 2.939 29 心道 18.4 4 5.8 8.2 10.1 13 15.4 2.762 30 忘我 19.3 3.1 6.3 9.1 12.2 14.3 16.5 2.821 31 夢坊 20.0 3 5.5 8.3 10.7 13 15.2 18.4 3.036
上のグラフから見れば、私の感覚ではオチが2.8から3.0あたりの竿が標準的な調子を出しているのではないかと思っていますが、みなさんはいかが考えますか?。暇な人、お持ちの竿を分析してみてくださいまし。(^^;;
* テーパー比による調子の差を見てみる
ひとつの例として、3本の16尺について穂先から元までの径を対比させるためグラフ化してみると、それぞれの竿についてのオチの違いと竿の性格がはっきりと現れてくる。
左のグラフではX軸に継ぎ数、Y軸にそれぞれの径を割り当てて描画したものである。つまりグラフが水平に近づくほどオチの少ない竿を表すわけだ。
私が標準的な作りだとしている芸舟 16.3 尺に対して、硬調の水連 16.2 尺と総高野竹の水連 16.3 尺のグラフの傾きを比較してみるだけで、私の持っている調子の感覚と一致する。
つまり、標準的と思われる芸舟 16.3 尺に対して、水連 16.2 尺のグラフの傾きは4番から先については殆ど同じテーパーがついているが、水連 16.2 尺に対して使ってみた感触から受る印象は「硬調」ということになる。
これは、元のオチが強いために感じる竿そのものの重量感が大きいということと、元から先のオチが芸舟 16.3 尺と大差ない作りであるために、持ち重り感が芸舟 16.3 尺に対して少なく、シャンとした先の軽い調子に感じるということだと言える。
一方、総高野竹の水連 16.3 尺は他の二本に比べてあきらかにグラフの傾きは緩やかである。「高野竹」という素材を用いることによってオチの少ない作りを実現することができ、竿のバランスが中心(3番)に近ずけることによって、深く柔らかい調子を生み出すことが出来る。しかも、粘りの強い「高野竹」という素材を使う事によって、その調子を更に奥深いものにし、へらさんの引きを存分に楽しめる「遊び竿」を作り出すことが出来るわけだ。しかし、オチを少なくすればするほどその調子は深くなるが、逆に、鈎がかりしたときの主導権をへらさんに握られることにもなりかねない。「遊び竿」と「遊ばれ竿」。その境界は微妙だ。
私の保有している竿を、標準的だと思われる2.8から3.0%(mm/l)と対比してみれば、総体的にその数値を上回る竿は少ない。つまり、私の好みとして全体的に細身であるということが現れている。特に2、7、20などというのは総高野竹の竿であって、このあたりは極端に小さな値となっている。この事からみても、私の好みの調子というものは全体的に細身で柔らかい竿が多いということを数値が表している。これらのデータは、私の釣りそのものを表しているようでちょっと恥ずかしい気分であるが。
その中で、16、25のように継ぎ数の少ない竿は細く仕上がってくるのは納得できるのであるが、15(5本切り)、16(4本切り)を比較した場合、オチに対してはさほど変わりが無い事がわかった。これは新たな発見だ。感覚的には15はかなり胴に乗ってくる柔らかい調子であるのに対して、16は全体が鞭のようなしなやかでゆっくりと先に抜けていく。扱いやすさと釣り味の良さでは遥かに16が勝ることからみれば、15尺の4本切りという生地組みは捨て難い。つまり、穂先が太くしあがる4本切りにすることによって、ゆったりと先に抜けてゆく心地よい調子の竿が作られてくるのではないかと思う。もっとも、これは生地そのものの質と、竿師による生地組みの哲学にもよるだろうけど。(^^;;
1、4、10、18などのようなオチの強い竿(硬い竿)は、乗っ込み期や管理池でがんがん釣りたい時の為のように目的を持って購入したもので、つまり、購入時に釣り具屋さんで手にとってみたその感触からの判断は正しいことを数値が証明している。
一方、6番の「壮志 10.2尺」は標準的な生地組みよりはやや細身の総高野竹だが、調子としてはかなり硬くてしっかりとした実践的な竿である。総高野竹で、このような実践的な調子の竿を作り出すことは、総高野竹の竿としてのイメージとセオリーを根本的に覆すようなことになってしまい、あえてこの竿のように冒険した作品は少ない。が、逆に、張りと粘りの強い高野竹の持つ独特の調子をうまく生かし、強い火を入れることによって生まれる切れの良さと、合わせの小気味よさ、へらさんの体重を竿全体で受け止める安定感はかつてない実践的で素晴らしい仕上がりとなっている。しかも、穂先の先端部は蛇口である。蛇口は、和竿使いなら充分承知しているようにリリアン糸のズボラ仕上げとは違って、すこぶる水切れがよくて空合わせの時には先端に抜けるような軽快な感触を伴う。もし、作者が意識して穂先の先端を蛇口仕上げとしていたのであれば、作者自らが「この竿では管理池で数を釣りなさい。」と語りかけてくれているような気がする。まさに、管理池の釣りをとことん計算され尽くした素晴らしい設計で、かつ、管理池の釣りを熟知しているからこそできた秀作であると、私はこの竿でへらさんを掛けてみて頷いた。
管理池の釣りが主体の関東の釣りでは、このような設計理念の上に組み立てられた竿が、これからはどんどん求められることになるだろう。まさに、今私が欲しいと思っている13尺で細身の実践的な竿とは、このアーキテクチャに基づいたものである。
まぁ、なにはともあれ数字というのは正直なもので、いろいろと分析してみると面白い発見がある。
次に、竿の各部の重量についてそのバランスと調子を考えてみようと思うのだが、正直言って個別の竿の重量を計測したのは良いが、計測に用いたハカリは調理用のものであって、じつに信用度の低いものである。それでも、各部の細かい数値まではじき出すことはできなかったけれど、それぞれの竿の重量をおおまかに拾い出してみるだけで、それぞれの竿の個性が数値に表れているような気がする。
「元」については握りの重量を含むものであって、その竿全体に占める重量の割合は大きくなるのだが、特に穂先、穂持ちの数値の大小だけに着目した場合、先に抜ける竿と残る竿をグラフ上で見分けることができるような気がする。
前述のようにデータがいい加減な重量測定なので細かい考察はしないけれど、ひょっとして何かの参考になるかもしれない?。(^^;;