熱の慕情 久しぶりのへらにっき。みなさん、本当にご無沙汰しております。
あいかわらず休日にはどこかで竿を出していたのではありますが、釣果はともかく、webで紹介できるような場所へ行く機会が無かったということでしょうか。先に言い訳を書いておきます。(^^;;考えてみれば日本という国の中でもその地方によってそれぞれ人柄の特徴みたいなものもあって、底抜けに明るくなんでも話してくれる釣り人の多い地方もあれば、他方面からの釣り人に対しては排他的な接し方をする地方もあります。
私も西日本の釣り場は随分釣り歩いて来ましたが、おおむね釣り人は、特に趣味を同じくするへら屋さんは同じ仲間として親切で丁寧な対応をしてくれますし、私もまた釣り場で出会った他方面からの釣り人に対しては知りうる限りの情報を提供したり、道案内をしたりと、同じ趣味を持つ者同士の仲間意識みたいなものが芽生え、一気に距離は縮まるのであります。
しかし、地方によっては根強い地元意識みたいな色があります。まぁ、こんなことは人それぞれの考え方があってその地方の人々がすべてがそうだとは言えません。地元の釣り場を愛し守ろうという意識が強ければ強いほど排他的になるというのは人間として理解できるのですが、住む地方は違っても趣味を同じくする仲間という立場からみれば、心の大きさと幅の広さを考えざるを得ません。
かといってそれを否定したり揶揄するわけではありません。逆に、関西圏の野池が釣り人自らによって破壊され、壊滅状態に陥っている現状をみれば、それを危惧し、地元の釣り場を守り愛するそれらの人々の気持ちを尊重したいと思うわけであります。そんなことから思うように「へらにっき」を書けない時間が長く続いておりましたが、ようやくまとまった休みが転がり込んできたものだから、奮発して、十年ぶりに岡山方面をきままに釣り歩くことにしました。
11月15日
前夜に京都を出発した。
きままな単身釣行ということもあって、限られた予算の中では贅沢はできない。
こともあろうに、私は高速道を使わずに、京都から丹波篠山を経由して、中国山地を縫うナビまかせの一般道で岡山へ向かうことにした。
知らない道を走るというのはスリリングなものである。漆黒の山間部に突然集落が現れ、おやこんな所にも人が住んでいるということに驚き、今の社会ではあたりまえなんだけれど、人が住んでいればくまなく電線が張り巡られていることには改めて感心した。
高速ではわからない、沿線の人々の住む生活の臭いが手に取るように伝わってきて、生活道路を走るというのはいろんな発見がそこらじゅうに落ちていてなかなか楽しいものだ。これが昼間ならもっと楽しいに違いない。
ひとつ、そしてまたひとつと新しい発見に喜びながら車を転がしていると、高速を使わない単独釣行もなかなか楽しいものである。
しかし、あたりまえのことなんだけれど、ちょっとした町ならそこいらじゅうにある筈の自動販売機だとか、コンビニがなかなか見つからないことが不安であった。
作用あたりだったろうか、国道から外れた道を深夜に走っていたとき、すぐ近くに集落があるにもかかわらず山から野生の牡鹿が道路を横切ったことにはさすがに仰天した。
国道373号から船坂峠を越え備前に入る。ふぅ。高速を使えば二時間ほどの距離も、一般道を使えば四時間もかかるわい。さすがに眠気もピークに達し、岡山ブルーハイウェイの黒井山PAで仮眠を取ることにする。さすがにこの時間だと誰もいない。もし、へんなもんが出てきたら一人で竿を振り回して戦うしかないな。(^^;;
周囲の騒がしさで目覚めたのは午前九時。たっぷりと四時間も爆睡していた。ナニが仮眠ぢゃ。(^^;;
車窓から見える牛窓の伸びやかな風景を楽しみ、吉井川の大きな流を渡ったとき、ああ、やっと岡山にたどり着いたという実感が湧いてきた。
とりあえず砂川へ向かう。昔はここに来れば必ず型が見れた逃げ場的な存在だったのだけれど、今ではコンクリートの三面張りとなり、当時の風情はみじんも残っていない。とても竿を出す気にはなれず、児島湖水系を目指すことにする。どうも体が熱っぽい。
岡山へは何度も来てはいるが、倉敷川以外はこの水系では竿を出したことがない。時間が時間だけに事前に杉原さんのサイトで教わった妹尾川や丙川でやろうと思いナビをセットする。
のどかな田園地帯にまっすぐに通った道をいくつも折り曲がり、目指す妹尾川へ到着する。しかしあいにく工事中で水が一滴もない。(^^;;
出鼻をくじかれた気分で丙川へたどり着いたのは午前11時になっていた。
新丙橋下流のポイントより上流を見る 上流部からゆっくりと車を転がしながら川面を見て回る。
平野部を流れる丙川はまるで細長い池である。
流れは殆どない。
へらさんが今何処にいるのかを、川相とモジリを見ながら探索するのもまた面白い。
新丙川橋の少し下流に川幅が少し広がり、斜めに橋が架かっているところがある。タバコを吸いながら川面を眺めていると、少し下流で小さなモジリを発見した。うむ。ここじゃ。ここにおる。(^_^)
路肩のくぼみに車を止めて、階段状になった所に釣り座を構える。車から20歩。大名釣りぢゃい。(^_^)
川幅に対して13尺は長すぎるのだけれど、あいにく今回はこれ以上短い竿を持ってきていない。仕方なく旭峰 13.0 尺を繋ぎ、エサを作り始める。
広がっていた晴れ間がだんだんと狭くなり、空は雲が覆い始める。心地よい風が川上から流れてきて、少し熱っぽい体を冷ましてくれる。
さて第一投。あら、いきなりウキが動き出す。(^^;;
せわしなく動き始めたウキが一気に消し込み、穂先を持って走り出す。
合わせてやると20Cmほどのワタカがぶら下がってきた。(^^;;
何年ぶりだろうか、ワタカなんて魚は昔、琵琶湖の内湖にはうぢゃうぢゃと居たのだけれど、最近は滅多にお目にかかれない貴重な魚だ。
その後もウキは果てしなく動き続け、ワタカがスレで掛かってきたり、小さな小さな鱗が掛かってきたりと、ん十年前の野釣りの雰囲気に浸りながらエサを打ち続けた。
しばらくして地元の釣り人がやってきて、いろいろな話を聞かせてくれる。京都から単身やってきたと話すと、「あそこは今釣れているから行ってみなさい。」とか「さっきの電話であそこで出たそうだから行ってみなさい。」などと、ほやほやの情報を惜しみなく提供してくださる。単独釣行にとってこれほどありがたく心強いことはない。
正面にはのどかな田園地帯が広がっていた 頭の丸い丙川のへらさん *^_^*
半時間も経たないうちに強烈なアタリが出て、思わず合わせをくれてやると一気に沖目に走り、竿を伸ばされかかる。しっかりとタメを効かせて浮かせてくると、また沖目に糸をならせながら走る。何度かのやりとりの後タモに収まったのは尺ほどの頭の丸いへらさんだった。うれしい。大喜びする私を私よりもさらに嬉しそうな顔で見ながら、地元の釣り人はポイントを探しに去っていった。
その後も地元のへら屋さんは何人もやってきて、次々にほやほやの情報を提供してくださる。ほんとうにありがたいことだ。
冒頭に書いたように、この地方の人々の心の広さと、遠方からの釣り人をもてなしてくれる心の広さに、うれしさを噛みしめながら数を伸ばしていった。釣れてくる型は同じように尺がらみの美形であって、一様に頭の丸いへらさんである。流れの中で育った訳でもないのだろうが、引きは強く元気がよい。
ちょうど10枚を数えた時、急にマブナの猛攻に変わった。
夕方4時。へらさんの群れが立ち去ったのを潮に釣り座を納めた。
たった4時間ほどの釣りだったけれど、ひらべったい風景の中ののどかな釣りと、人の温かみをしっかりと味わうことができた一日であった(^_^)。か細い雨が降り出してくる。この程度ならば、、、、と雨具を使わなかった事が災いしたのだろうか、朝から熱っぽい体がさらに熱くなり、寒気を感じるようになる。
この日は山陽道の備前SAで宿泊するつもりだったので、どこにも寄らず一直線に早島ICに向けて車を走らせた。
夕方のラッシュの時間帯ということもあって渋滞の中に埋まり、亀さん走行をしているあいだにもどんどん熱が上がってくる。体が鉛のように重い。口の中が苦くなり、熱と悪寒で朦朧としてくる。
距離感と平衡感覚が鈍くなってきて、いよいよどこかで車を止めなければと思っていた矢先に早島ICに到着した。
午後6時。よたよたと高速を亀さん走行で備前SAにたどり着く。水も飲まず、飯も食わず車を停めるや否や寝袋に潜り込んだ。爆睡。