スレとともに去りぬ

11月16日

周囲が賑やかなことに目覚めた。時間は午前8時。たっぷり14時間も爆睡していたことになる。それでもまだ微熱が残っていて、足許がふらふらと頼りない。
酔っぱらいみたいな千鳥足でとりあえずトイレに駆け込み、用足しと洗面を済ませるといくらかは元気が戻ってきたが、相変わらず食欲は全然無い。缶コーヒーを無理矢理流し込み車を走らせる。

静かな静かな倉敷川

岡山ICを降りて2号線に出る。とりあえず今回の釣行のメインと考えていた倉敷川・藤戸地区のポイントへ向かうことにした。

ポイントへ向かう途中、川沿いに走るルートがある。わざとその道へ遠回りし、川面を眺めながら南下するのだが、川面は至って静かでモジリのひとつも湧いてこない。うむ。前回この川で竿を出したときは、4人で100枚以上も良型が釣れたのだったが、今日の倉敷川の様子は前回とはまるで違う川のように目に映る。とにかく、魚の気配のない、まるで死んだ川のように感じる。

藤戸のポイントに車を停めた。

護岸された階段状の最下流に釣り人が一人餌を打っている。やっと釣り人に出会えた事に喜び、様子をうかがってみるとマブしか出ないという。寄り切って馴染まないウキを眺めながらいろいろと話し込むのだが、もうこの川はダメだとか、もっと冷え込まないとヘラは上がって来ないとか悲観的な話ばかりが次々と飛び出し、話を聞いているうちにすっかりと気力も萎えてしまった。

幸い体調もすこぶる悪い。それならばと、昨日教わった高梁川と柳井原貯水池を見て回ることにした。

高梁川・船穂橋一帯は綺麗に護岸されていた。前回釣ったポイントはまだ面影を残してはいたが、あまりにも直線的な川に変貌していた。右岸の堤防を走っているうちにいくつかのモジリを発見し、柳井原貯水池をみた後はここで竿を出そうと決めた。


往年の名場所・柳井原貯水池の朝

柳井原貯水池は20年以上も前から何度も釣った釣り場で、一時バス釣りの池に様変わりしたと聞いていて、すっかり記憶の外となった釣り場である。しばらくへら屋が掛からない釣り場となってはいたけれど、また最近になって型が見れるようになったと昨日の釣り人に教わった。

オンドマリ付近では18尺穂先一杯の釣りが楽しめた強烈な思い出があって、今回もここを目指すことにしたのだが、なんとここもバスボートがまるで競艇場のように湖面を走り回っていた。
頭の中のなにもかもがぶっ飛び、再び船穂橋に向かう。しかし、この一帯にもバスボートがうろうろとしていて、とてもこの中で竿を出そうという気にはなれない。

仕方なく足守川へ転戦することにした。
昨日の釣り人から聞いてはいたが、情報通り足守川は減水していて粘った赤茶色い水が広がっていた。いつも入る捨て石のポイントには地元のおぢさんがのんびりと竿を出していて、話を聞いてみると早朝から頑張っているのだがジャミしかあたらないとのこと。それに、モジリは一発も出ていなくて、へらさんはいったいどこに行ったのぢゃ・・・と嘆く。しばらくおぢさんの釣りを見ていたけれど、3Cmくらいのぼてじゃこみたいな魚が気の毒そうに鈎にぶら下がってきた。

冬が来れば、、、、減水中の足守川

すっかりやる気をなくしたもじりさんは、釣れないことを覚悟で再び倉敷川へ戻っていった。そう、結果はどうであれ竿を出してみると言うことが大切だし、竿を出したという事が大切なのだ。

釣り人は2人に増えていた。朝に話したおぢさんは私のことを覚えていて、「やってもムダよ」などと笑いながら話しかける。
まぁ、どうせこの体調だし、のんびりとひなたぼっこでもやりますわ。なんて言いながら、階段状に広がった堰堤の真ん中あたりに釣り座を広げた。

竿は水連 13.5 尺。釣れる対象がマブナとわかっているだけに竿には気の毒だったけど、これしかない。
適当にエサを作って打ち始める。3投目にはマブアタリが出だし、すぐに15Cmほどのマブナが釣れてきた。その後はウキがなじまないほどの寄りを見せて、どうにも手に負えなくなってくる。一番強いアタリだけを選んで合わせてやるのだが、底から水面近くまでマブが円筒状に寄りまくっているような状態で、とてもへらさんが出るような気配ではなかった。

延々とマブナ釣りが続く。もし一枚でもアイベラが出てくれればもう少し集中して釣れたのだけれど、釣れるのはすべて純マブだっただけに気力も湧かない。
午後3時。とうとうもじりさんは釣り座を納めはじめた。

夜までにはまだ時間がある。せっかく倉敷まで来たのだから、少し足を伸ばして昔よく釣った福山の池を見に行こうと混み始めた2号線を西に向かうのだった。

夕闇が迫った頃、福山の池に到着した。ネオンが輝きだした街の中にぽっかりと開いた黒い空間の縁を歩きながら、まだ昔の面影が残っている事に安心した。明日はここでやってもいいかな、、、などという考えも浮かんだのだけれど、キティちゃんの携帯ストラップ・広島バージョンを買ってから岡山に戻ることにした。
この夜は山陽道の道口PAで宿泊した。相変わらず食欲は無く、パンを一切れ囓っただけの夕食をとる。昨夜、あれだけ寝たにもかかわらず、午後10時には爆睡状態に陥っていた。

11月17日

朝。午前5時。前日までとは違ってすがすがしい気分で目が覚めた。微熱はどっかに行ってしまったようで、この日の朝は気分が良い。食欲は相変わらずだが、立て続けに缶コーヒーを二本流し込んで秀天に向けて車を走らせた。

春には絶対の人気を誇る秀天だけれど、さすがに今は草ぼーぼーの何処にでもある小さな小川になっていた。平日ということもあって、七区調整池にも釣り人はいない。

杉原さんから教わった水門を目指して車を走らせるのだが、水門は見えていてもどこから入ればいいのかわからない。うちのナビには出ていない堰堤沿いの道にようやくたどり着き、水門脇に車を止めた。

この日は恐ろしいほど晴れ上がっていて風もない。いわゆる「ピーカン&無風」ってやつで、こんな日はたぶん釣れないだろうと思いながら水辺に降り立った。

黄金色に枯れた草木に囲まれ、たっぷりと水を湛え鏡のように朝日に映った調整池は抜群に綺麗な風景で、のどかな田園地帯の中にあった。


これぞ岡山パート1 児島湖・七区調整池の朝

対岸近くで何発かモジリを発見し、鏡のような水面を波紋がゆたゆたと揺らしながら広がっていく。

いいねぇ。(^_^)

これで水辺がきれいだったら言うことはないのだけれど、リアカーの残骸とか、ペットボトルの残骸がいくつも放置されていて、それだけでもこののどかな光景を台無しにしていた。

水門の東寄りに平たい釣り座を見つけて、今日はここで一日頑張ろうと決めた。
ようやく体調も持ち直し、釣りをするぞっ!という気分が湧いてくる。
準備している間にもいくつかモジリが出だしていて、へらさんの気配はぷんぷん臭ってくる。

芸舟 16.3 尺を継いだ。
とりあえず床からやってみようとタチを計れば二本ちょともある。思った以上に深く落ち込んでいて、もしこれでへらさんが出てくれればかなり楽しめるだろうなどと、早くもスケベ根性が出てきたりする。
マッシュにグルテンを放り込んで打ちこむ。

何投目かにウキが動く。うむ。宙で触っとる。床に落ちれば触らない、、、もしや?? と思ったら、案の定、巨大でカラフルなギルが釣れてきた。(^^;;

1時間も打っただろうか、落ち込みでギルに落とされないようにと大きなエサを打ちこんでいたにもかかわらず、エサが床に着くと同時にズルッと来た。がっちりと合わせる。一気に竿を締め込み、どっしりとした重量感が伝わってくる。やったわい。(^_^)

七区調整池にお住まいのべっぴんさん *^_^*

二本のタチからへらさんの引きを存分に楽しみながら尺二寸級をタモに納めた。

その後も同じようなリズムで4枚ほど釣れ続く。釣れてくるへらさんはいずれも尺二寸級の肩の張った丸いへらさんで、タチがあるだけにくんくんとクビを振りながらゆっくりと浮いてくる。まさに、私の頭の中で常に描いている理想的な釣りである。

夢中になって釣っていると、地元の釣り人が一人やってきた。私が竿を絞っている所を見て、少し東手に釣り座を構えエサを打ち始める。

少しアタリが遠のいた私は床休めを兼ねてその釣り人と話しはじめた。
今は中小河川をの除いてはどこも芳しくないとか、自分はこのあたりが好きで毎週のように通っているがなかなか釣れないとか。そんな会話を交わしたあと、また餌を打ち始める。

床休めが効いたのか、打ちこんでいきなりズルッ!と来た。今までより更に重量感があって、ぐんぐん沖目に伸されはじめる。竿を立たまんま手首を水面近くまで下げて耐える。
ゆっくりと時間を掛けて取りこんだへらさんは、この日の最長寸だった37Cmのべっぴんさんだった。*^_^*

しかし後が続かない。触りは出るものの食わない時間が長く続き、ギルを避けて餌を大きく付ければ食いが悪く、小さく付ければ宙でギルの猛攻となる。

悩み悩みながらなんとかもう一枚追加するが、待ち釣りに替えた途端にスレを掻いてしまい、その後は延々とギルの猛攻が続くのみだった。

結局、日没まで頑張ったものの、このスレで散らせてしまった11時までの間に尺二寸級の型揃いで7枚のへらさんをGETしただけに終わったが、私の腕がもうちょっと上等な腕であったなら、あともう少しは釣れ続いたかもしれないな。まぁ、しゃーないか。(^^;;

これぞ岡山パート2 平べったい風景(七区調整池)

釣り人の勝手とは恐ろしいものだ。

あれほど熱に悩まされていた私ではあったが、この日の釣りでそれもいっぺんに吹き飛び、知らぬ間に元気が戻ってきた。同時に空腹感が一気に押し寄せて、風呂に入りたい欲望も湧いてきた。

地元の釣り人に銭湯の場所を教わり、美味いラーメン屋さんを教えて貰う。

とりあえずラーメンを腹一杯に掻き込んで、いざ銭湯に行ってみると残念ながら駐車場が無くて断念した。

2日ぶりに腹にモノを詰めて元気になった私は、昨夜突然脳裏に浮かんだ「旭川・品田橋」という名に妙に惹かれ、この時期に結果が出るかでないかは別にして、とりあえずやってみようと思い立ち、岡山平野を後にして漆黒の高梁川沿いに北上することにした。

北房ICから中国道に入り美作PAで一泊する予定だったが、駐車場は閑古鳥。我が愛車一台が止まっているだけで、周囲に人の気配すらない。

もしヒバゴンとかが出てきたら気持ち悪いので、長距離便のトラックが立ち寄るであろう勝央SAに向けて再び車を走らせるのであった。

9時34分。勝央SAに到着。この夜も爆睡。