11月18日
モウレツな寒さで目が覚めた。時計をみると午前四時。周囲はまだ真っ暗闇で、満点の星空が広がっている。おお、空にはこんなにたくさんのお星様があったのかと、妙なところで感心しながら車のエンジンを始動した。
あいにく我が愛車はディーゼルエンジンなものなので、ヒーターの入りがガソリン車よりは時間がかかってしまう。それにガラガラとやかましいものだから、周囲に車のない場所まで移動して車内が暖まるのを待っているうちに知らぬ間に眠ってしまった。
5時過ぎに再び目覚める。モーニングコーヒーを流し込みながら一路旭川へ車を走らせる。放射冷却 :フィールドモニターは外気温1度を示していた 美作ICで高速を降り、昨夜宿泊した勝央SAの脇を通り一般道を駆け抜ける。考えてみれば随分戻る方向となるが、人気(ひとけ)のないPAで眠る不安に比べればそれも苦にならない。どんどん山の中に突き進むにつれフィールドモニターの示す外気温は下がっていく。瞬間的に0度なんて数字が出たりして、やっぱ引き返そうかなどと弱気になってくる。濃い霧のなかを突き進み、旭川の品田橋に到着したのは7時前になっていた。
雑誌ではよく見るのだが、私はここに来たのは初めてである。はたしてどこに入ればいいのか解らないままに探検していると、海洋センター下手の河原を発見した。おお、ここぢゃ。(^_^)
河原は濃いモヤに包まれていて、差し込むような冷気が漂っている。5分もじっとしていればたちまち凍り付いてしまうような寒さで、とてもここでやろうという気は起きない。当然釣り人は誰もいない。おそるべし、放射冷却。
少しモヤが薄くなった瞬間にポイント全景を見渡して、その光景をしっかりと記憶に止めることにした。
そろそろ通勤の車が動き出したようで、国道の交通量も増えてくる。さてどうするか。気温は上がってくるだろうし、今日はここでやろうかとも考えた。しばらく思案して、この次ぎ通った車のナンバーが奇数ならば日本海方面、偶数ならば再び岡山平野に戻ることに決めた。
フォグランプを煌々と照らしてやってきた車のナンバーは「・・13」。奇数ぢゃ。しかも素数とくればこれほど完璧な奇数は無い。目的地が決まれば気合いも入る、車の帯が伸び始めた国道53号線を鳥取に向けて北上することにした。目指すは鳥取の湖山池。明日は離湖か円山川。ついでにカニなんて食って帰ろう。(^_^)
一年に何度もない快晴に恵まれた湖山池の絶景 湖山池の湖岸にたどり着いたのは10時過ぎだった。
国道53号線は車両火災で通行止めの時間があったり、至る所で工事による規制があったりして、思ったよりも時間がかかってしまった。
とりあえず湖を一週して掛かり場を探すことにする。
見事に晴れ上がったためか、気温はぐんぐん上がってくる。車の中は半袖一枚でしのげるほどの暖かさで、前日までの疲れからか眠気が一気に刺してくる。
過去に一度この湖で竿を出した事があるので、つづらお城趾へ行けばなんとかなるだろうと言う目論見もあったため、ポイント探しも早々につづらおのワンドに向けて車を急がせた。前に来たときにはワンドの近くまで車が入れ、なんか、気色悪いくらい鬱蒼とした森の中にあったワンドというイメージだったのだけれど、来てみれば恐ろしいほど綺麗に整備された公園みたいになっていて、なぜかアーチェリー練習場なんてこさえられていた。参った。(^^;;
とりあえずワンドを見て回る。カイツムリの団体さんが葦場のなかをはいずり回り騒々しい。
いくつも作られた釣り台は当時の面影を未だに残し、多少手は加えられているものの雰囲気はちっとも変わっていない。
舐めるように水面を見渡すが、へらさんの気配はない。これならあわてることはない。もし出れば儲けモノ。
とりあえずちょっとだけ仮眠して、パンでも腹に仕込んでから釣ろうと思い、しばらくの間まどろむ。実に気持ちよい。(^_^)停めた車の横に一台のワゴン車が滑り込む。熟年のご夫婦だ。軽く挨拶を交わすと釣りに来たのだとおっしゃる。昨日もここで二時間ばかり竿を出したけれど、ジャミが触るだけでへらの気配はなかったということだった。それでも水辺が忘れなくて、ご病体のご主人を気遣って見に来たのだとも。
ワンドの中身は変わっていないが、、、 お昼前になってようやく重い腰を上げた。まぁ、釣れなくてもこんな晴れ上がった空の下で竿を振れればそれだけでも気分がよいだろう。
暑いくらいの日差しを避けて、日陰になりかけている桟橋の一片に釣り座を設けることにした。
餌を打つ。ひたすら餌を打つ。
なんの反応も示さないウキを眺めながら時間だけが着実に過ぎていく。いつの間にか先ほどのご夫婦の姿も見えなくなって、この空間には私一人が黙々と餌を打っているだけ。
まぁ、それもたまには良いではないか。地元のおっちゃんが見に来る。いろいろと話しが弾み、最近はへらは出ていないということであった。そんな会話の中で、鳥取空港に置いてある「カニ雑炊」は美味いでっ!と言うことになり、帰りに買ってみようと思った。なんのこっちゃ。(^^;;
頑張れるだけ頑張ろうとただひたすら餌を打ち続けたのではあるが、とうとう四時を回ってギブアップした。
空港に寄る。4日間風呂にも入らず、異臭をまき散らし、ヒゲぼーぼーで汚れたトレーナーを着たの小汚いオッサンは、カウンターからのヤな視線を浴びながら空港ロビーをのさのさと歩き、さも得意そうに「カニ雑炊二つちょーだい」なんて、売店のきれいなおねぃさまに告げるのだった。(^^;;
さて、明日は円山川か離湖か。とりあえず近くまで走ろうと、渋滞の始まりかけた国道9号線を東に向かって走り出した。
途中の道の駅で買った「カニちくわ」が本日の夕食となる。
カニが入っていると謳っているわりにはカニの味がしなくて、なんか、こんにゃくを食っているような気分であった。
但馬楽座なんていう新しくできた道の駅にたどり着く。ここまで来れば円山川は近いし、離湖までもさほど距離はない。ここには風呂に入れて宿泊できる施設もあったのだけれど、午後9時、眠気に耐えられず爆睡モードに陥った。
11月19日
いよいよ最終日。
昨夜の晩飯に食った「カニちくわ」が悔しくて、少しでもカニの本場に近い円山川でやることに決めた。
離湖は、その前の週にKOMAKIさんご夫妻が良い釣りをされているということで捨てがたかったのではあるが、やはりカニの魔力には勝てない。
円山川でも頑張ればなんとかなるだろうと楽観し、目的地坂本の生コンわんどを目指した。
空はどんよりと曇っていて、今にも雨が落ちてきそうな気配である。それでも天気予報では、夕方までは大丈夫だとか言う。まぁ、現物を見ればそんな話は本気にできないので、ともかく半日勝負!だと自分に言い聞かせた。
生コンわんどに到着する。河原に降りる道はここしばらくの間車が入った形跡はない。四駆の威力を思いっきり発揮しながら、わんどのすぐ際まで車を乗り入れた。
晩秋の円山川 春にここを訪れたときとは水色が全然違っていて、今目の前にある水は蒼く透き通っている。とても春のような釣りは期待できないなぁと思っていた矢先、対岸の近くで大きなモジリが出た。あれは間違いなくへらさんだ。
げんきんなもので、モジリを見た途端体中の血が騒いできて、ひっつき虫が体中に一杯くっついているのも気にならず段取りをはじめた。
竿は寿るすみ 18 .3 尺。もしうまく回ってくれば短竿の宙に代えようという作戦から、最初は沖目から攻めることにした。
準備をしている間にもいくつかモジリはわき出してきて、これならなんとかなるかもしれないなどと夢見ていた。餌を打つ。ひたすら餌を打つ。昨日と同じようにひたすら時間だけが過ぎていく。同じ場所で何度もモジるのではあるが、回ってくる様子は全くない。
うーむ。がんばるしかないなぁ。と持久戦を覚悟したとき、とうとう空から雨が落ちてきた。冷たい雨にも負けず餌を打ち返すのだけれど、意に反してウキはただ単調な餌落ちを示すだけで、餌の回りに生き物の気配はまったくない。
雨に震えながら頑張って打ち続けていたのだけれど、午後二時半を待って納竿した。もし日並みさえよければきっと回ってきてくれたろうに。まっ、楽しみはまた後に取っておこう。(^_^)さてカニ。
道具を車に積み込んで一路城崎温泉を目指す。
カニさんツアーご一行様の観光バスに挟まれながら円山川の左岸を走る。途中、護岸工事をしている場所もあって、この辺りは緩やかな流が蛇行する格好の狙い場となるのではないかとおもっていると、案の定、一発の大きな波紋が広がってきた。この次はここでやってみよう。(^_^)城崎温泉を越え、日和山公園のすぐ手前にカニ屋さんがぎょうさん並んでいる。その中の一軒で二匹セットと1.5匹分のボイルした足をふたつ買う。うう、あれほど節約していたにもかかわらず、諭吉くんが二枚一瞬のうちに消え去ってしまった。
ボイルした足のひとつをその場で開け、おっちゃんに切り身を入れて貰う。
店の隅っこに車を停めて、その中で一気に1.5匹分の足を平らげてやった。(^_^)
ああシアワセ。甘くてぶっとい足を独り占め。参ったか。(^_^)
トレーナーの袖口に、一本のカニさんの筋肉がぶら下がっているのも気が付かないまんま、腹一杯平らげた満腹感と満足感をしっかりと噛みしめながら帰路に就いた。走行距離 :1,129Km。
トータル燃費 :11.3Km
トータル費用 :13,900円
おみやげ代 :29,000円ふぅ。節約した割には、結構派手に使ったな。(^_^)