ベストマッチング 5月3日
相変わらず吹き付ける強い南風に、まんじりともせずに夜明けを迎えた。
空はどんよりと曇っていて、昨日と違って風は湿気を含んでいる。
なま暖かいヤな風に吹き付けられて、とりあえず重苦しい雰囲気の漂う離湖を見て回った。昨日の釣りが結構面白かったので、今日もやってみようかという思いが一瞬よぎったのだけれど、ここ最近芽生えた川の釣りの醍醐味が忘れられなくて、隣に停まっているOkadaさんの車に別れを告げた。また今夜。(^_^)
抜け道の林道を走り、小一時間で城之崎に出た。
川面は強い南風にさらされて大きく波打っている。時々ミストチックな雨が降り注ぎ、円山川は雨煙のなかでゆったりと流れていた。
右岸の細い道を走る。秋に来たときに見つけた場所に車を停め川面に降り立つ。湿った南風が容赦なく吹きつけ、とてもここで竿を出せるような状況ではない。まるで海のように川面は波立ち、三角波にせかされるように上流に向けて車を走らせた。
玄武洞あたりまでくると幾分か波立ちはおとなしくなってきていたが、GWの最中で観光客がうるさいだろうという思いから、鶴岡橋に向けて再び車を走らせた。
今日はここでやろうと前から決めていたのだけれど、現地について更に風が強く通り抜ける場所であったことに気が付き、できるだけ風の影響をまともに受けなくてすむ場所を探して車を走らせた。
坂本の生コンワンド下流左岸にあるポイントを目指した。ここなら右後ろからの風になる。流れさえ我慢できれば直接風を受けなくて釣りになるだろう。
途中、いくつかのポイントを見ながら現地に到着すると、すでに釣人が二人、竿を担いで河原を歩いている。なはは、考えることはみんな一緒なのね。(^^;;本流を打ちたいという気持ちをあきらめきれないまんま、この日は生コンワンドの中で竿を出すことに決めた。
嵐の合間の晴れ間。横殴りの強風に木々は真横を向いている。 直前に右端にあるボクの釣り台が吹っ飛んだ。満タンのマッシュボウルは日本海へサイナラ〜〜。(^^;; 秋に来たときにもここで竿を出したのだけれど、残念ながら一発もアタリを見ることができなかった。よし、今日はここでリベンジぢゃい!。(^_^)
車を河原に乗り入れ、歩いて30歩の所に釣り座を構えた。なはは、楽ちんやわい。離湖といいここといい、車から30歩以内で竿が出せるなんて、ほんまに贅沢な釣場ですなぁ。
だから丹後・但馬は大好きですねん。(^_^)うかつに立ち上がれば背中を押される強風の中で、こんな日には無理の利く水連 15.1尺を継いだ。
午前8時。エサを打つ。
小雨交じりでとんがった矢のような風が山から吹き降りて、風の呼吸を見ながらリズムのない餌打ちをだらだらと続けた。
モジリの一発も出ないし、当然ウキにアタリなんぞ出てはくれない。しかも雨交じりの強風の中だけに、ほんとうならすぐにでも逃げ出して、城之崎温泉でゆっくりと湯に浸かろうかなんて考えも浮かんだが、遙か対岸で小さなハタキが何度かあったことがその思いを断ち切って、ダメを承知で餌打ちに励んだ。
2時間。3時間。ひたすらエサを打ち続けるのだけれど、いっこうにへらさんの気配はない。
ごっそりと買い込んだパンを噛む空しい昼食を終え、だんだん強くなってきた風と雨の中に再び身を置いた。
お行儀良く45度になびく竹藪の図
午後2時。なじんだばかりのウキが戻ってくる。2投、3投。エサの開きが極端に早くなってきて、ナニかが寄ってきた気配を感じた。
両鈎に小さな練り込んだグルテンを付けて送り込む。なじみ際に戻し、床に降りてツンと来た。しっかりと鈎に乗りぎゅんと締め込む。おお、これはまぎれもなくへらさんの引きじゃ!(^_^)
素鈎を引くだけでも後ろからの風に押されて竿が重いのに、川育ちの尺1寸の引きが加われば満月になる。両手でしっかりと矯め、風上に竿を倒しながらゆっくりと取りこんだ。(^_^)
ご懐妊中の円山川の尺二寸
しばらくして大きくウキが消し込んだ。どっしりとした手応え。動かない。まるでぞうきんを引っかけたような手応えで、白い大きな腹が澄んだ水の中に浮かんでくる。
腹にスレ、ほとんど「死体」状態でぴくりとも動かないまんま、その巨大なへらさんらしき魚体をゆっくりと引っ張る。無理矢理タモに納めた瞬間、大暴れされて大騒ぎとなった。おお、かなりへらっぽいがなんか違う。
念のため寸法を採ると46.3Cm。あらま、この川にはこんなのがいるのね。(^^;;
しかし、残念ながら体高はへらさんそのものであるのだけれど、口がちょっと違う。食っていればちょっと悔しい思いもしたのだろうけれど、まぁ、スレだからユルシテやるか。(^^;;にわかに動きだしたウキは、「まだここにもおりまっせ」といわんばかりにもやもやと動き出す。しかし、風の圧力をまともに受けて明確な動きはいっこうに出てこない。タナを変え、ズラシ具合を変えてみるのだけれど、玉形状のウキは風圧に倒され、流れになびきアタリを出し切れないでいる。
泡付けは頻繁に出ている。気配はまだまだあるのだけれどアタリが出ない。こうなれば頭の悪いもじりさんでもいろいろと考えてみるもんである。
杉原氏の飄々作。大型で堂々とした頼もしいウキである。
もしかしてと思い、先日、杉原さんにいただいた飄々作のウキに変えてみることにした。
和竿にはちょっと鉛が乗りすぎるので躊躇もしたが、肩が張り、こんな時は少しでも鉛を背負い、どっしりと床に這わせるウキがいいのかもしれない。
結果はすぐに出た。
一気に床に降りたエサは別のエサのように安定し、少し待って明確な押さえ込みが出る。風なんて関係ない。まっすぐに水面に突き刺ささったウキが明確に「ズッ」と押さえる。おお、こりゃすごい!。(^_^)
ウキひとつでこれだけ状況が変わるものかと感心し、野の釣り、とりわけ流れや自然から受ける外圧の多い状況で、しっかり仕事のできるウキを開発された氏に敬服しつつ、無心に竿を絞り続けたもじりさんであった。(^_^)
10号の鈎がようやく隠れるくらいのグルテンを付け、一気に床に降ろして「ズッ」。
尺1寸から尺2寸と、昨年に比べれば一回り小さな型ではあったが、雨と強風の中で飄々作は頼もしく、そして生き生きと働いてくれた。
まさにベストマッチング。(^_^)
午後4時を回った頃。あれほど活発だったにもかかわらず、気配は一瞬のうちに去っていった。
打てども打てどもサワリは無く、わき出していた泡付けもすっかり消えていた。
大荒れの天候の中で、まるで嵐のようにこの日の地合は一気に出て、一気に過ぎ去っていった。わずか1時間半の間に7枚の釣果を得た。本流育ちの強い引きを存分に堪能し、午後6時までしっかり粘ってOkadaさんの待つ離湖へ向けて車を走らせた。
産卵を終えた傷だらけのへらさん。ごくろーさん(^_^) 午後8時。すでにナイターの準備を始めたOkadaさんと合流する。
円山川で存分に引きを楽しんだもじりさんは、この夜はOkadaさんの真横でディレクター椅子に座り込んで見物することにした。
ナイター釣り専門のOkadaさんは名の知れた巨べら師でもあって、今年は例年ほどでもないがすでに尺半をGETされている。仕掛けは道糸3号のハリス1.5号。大型の引きにも充分耐えられるようにと、竿はパワーのある別誂江戸川雷電で揃えているという。
大型狙いへのこだわり、そして魅力。あくなき巨べら釣りへの探求。そして冒険。
私の知らない世界を氏は、リズミカルにエサを打ちながら語ってくれた。約3時間。奥様を車の中に待たせたまんま、それを気にする様子もなくエサを打ち続ける。男である。
波の間に大きくウキが消し込んで、アイベラが一枚竿を締め込んだ。
「今年はあかんわ。3晩竿を出して8寸一枚やがな。こんなひどい年ははじめてや。けど、面白かったわ。」と、再会を約束して、さわやかな笑顔で帰路に就かれた。
午前2時。この日の釣りに満足したもじりさんは再び爆睡状態に陥るのであった。(^_^)