銀山湖は獣のかほり

6月12日

今脚光を浴びている市川。
4月4日に行われた西高東低サイトのOLM以来、2本のタチからのあの強烈な締め込みが脳裏を巡り、豪快な川釣りに魅せられるきっかけを作ってくれた市川の釣り。この次こそ市川・・・・と何度も思っていたのだが、なかなかここで竿を出せるチャンスに恵まれなかった。

しかし、念願かなってようやく12日に釣行する計画を立てていたのだけれど、狙いすましたように台風4号の到来。流れ川のことだから、あれだけの大雨が降ればたぶんダメだろうというあきらめの気分とわずかな期待を引きずって、前日の午後8時に我が家を出発した。

まぁ、ともかく行ってみよう。計画通り12日に市川をやって13日は銀山湖だ。

途中、亀岡の釣友宅で夕飯をいただき、しばし釣り談義に花が咲く。気が付いてみればもう午前0時になりかけていた。
あわてて釣友宅を出発。深夜のデカンショ街道を社に向けて突っ走る。
山陽道の小野・三木ICから高速に入り、権現湖PAにたどり着いたのは午前2時前だった。

今回、市川は二度目の釣行で、心細くて泣きを入れた私をサポートしてくださる夢釣人さんとの待ち合わせは午前7時。少しでも早く着いて寝ておこうというつもりだったのだけれど、権現湖PAは、あふれんばかりのけたたましいトラックのエンジン音が鳴り響いていた。

午前6時。ほとんど寝付けないままに目が覚めた。
昨夜、あれほどトラックで埋め尽くされていたPAはがらんとしていて、あの喧噪がまるでウソのような静かな朝だった。
とりあえずいつもの用事を済ませ、一路姫路に向かって走り出す。
姫路東ICから市川沿いに南下する。さすがにあれだけ雨が降ると川は濁流となり、猛烈な勢いで水が押し寄せている。う〜〜む。こりゃ、釣りになりませぬわ。(^^;;

待ち合わせの場所にはすでに夢釣人さんが到着していて、車の中で待っていてくださった。約束の時間までにはまだ30分もある。
大急ぎで車から飛び出し、お久しぶりのご挨拶。この瞬間、いいですね。(^_^)

先に着いて待っていてくださった夢釣人さんは、早くに到着して市川を見て回ったが、とても釣りのできるような状況ではないとのこと。かろうじて12尺程度なら流れの緩いところを狙えるが、、、、そんなんでええの?。だって。(^^;;

「それより、今日銀山湖に登って、市川は水が落ち着く明日に狙ったほうがいいですよ。」と、夢釣人さんのアドバイスに従ってこの日は予定を入れ替えて銀山湖に向かうことにした。
ああ、あれほど待ちこがれていた市川の釣りも、またまたお預け。恨めしそうに水の暴れる市川に沿って国道312号線を遡上するかわいそうなもじりさんであった。(^^;;

途中、24時間営業のスーパーで昼飯と夕食の材料を購入する。最近は便利になったものだ。コンビニはそこいらじゅうにあるのだけれど、どの商品もスーパーに比べて遙かに高いのがネックだったが、こうして24時間やっているところがあるのはありがたい。

だらだらと登り続ける国道を舐めるように走る。天気は良くないけれど車窓から入る風は心地よい暖かさで眠気が差してくる。くねくねと、だらしなく曲がる川沿いのルートを走り続け、ようやく見慣れた生野の町並みを抜けて銀山湖のダムサイトにたどり着いた。

緑一色の銀山湖。これでボートが出なければ最高!なのだがぁ・・・

そういえば、前に来たのはほんの1,2年前の事だと思っていたのだけれど、帰ってからわが家のデータベースを開いてみれば「2001/06/03銀山湖」となっている。どうりで懐かしい気分になったはずだ。
それまでは、年に5度くらいは必ずこのダムで餌を打っていたのだけれど、三重の野池でネイティブなへらさんを追いかけているうちに、ある日突然このダムに魅力を感じなくなってきたというのが正直なところである。

いや、決して「嫌い」になったわけではない。18尺穂先一杯のタナから釣り上げる地ベラの引きは強烈で、しかも鈎がかりしたならば透明度の高い湖面の遙か下の方で魚体がギラリと光る瞬間は他では味わうことのできない心地よさで、それだけでも充分魅力的である。
しかし、魚影が濃いがゆえに、恐怖のカラツンやスレ。オカメ。盛期の、しかもポイントに恵まれたならばほとんど釣り掘り状態になるまで放流し続けられた恐ろしく魚影の濃いダム湖は、もちろん必要な釣場であることは間違いないのだけれど、私の心の中で描く「野釣り」のイメージをわずかにかすめる程度にまで評価できなくなってきていた。

おそらく、こうしてお誘いが無ければひょっとしたら今年もここで竿を出さなかったかも知れないな。

夢釣人さんに続いてダムサイトから対岸に渡る。こちらから対岸に渡るのがはじめてのもじりさんは、はじめて見る風景に違うダム湖に来たような気分で、きょろきょろとポイントを品定めするのであった。(^^;;

9時前。ようやく予定していたポイントにたどり着く。夢釣人さんのお友達がすでに餌を打っていて、この時点で良いのが出たとの話を聞く。
更に上流を目指し、先週に良型が出たという場所に案内していただいた。
前日までの荒れた天候が幸いして、この日はへら屋さんの姿は見かけない。そして、バス屋さんの姿もこの日はまばらである。湖面は至って静かで、モジリのひとつも沸き上がって来ない。う〜〜む。描いていたいつもの銀山湖の姿ではない。

 

夢釣人さんの後ろ姿。正面のお顔は訳あって出せません。。。だって、ウソです。(^^;;

釣り座に続く雑草の道は「ヒル街道」と名付けてやった。(^^;;。

このあたりはあちこちに鹿のフンがまん丸く固まっている。人間様の遊びの時間のあとは、獣たちの生活の時間となる。

それを証明するように、朝、釣場に降り立ったときには獣臭いにおいに包まれていた。

そんな不安を吹き飛ばすように「先週はここで19尺ででましたよ」と夢釣人さん。まだしっかり湿った雑草の中から気色悪い色をした山ヒルが這いだしてきて、長靴のはじっこにべったりとくっついてくる。歩くたびに山ヒルにまとわりつかれながら、私は教わったポイントに、夢釣人さんは少し上流に釣り座を広げられた。
滑る斜面に気を取られながら水辺にたどり着く。むんとむせるような湿気の中から獣臭いにおいが漂ってきて、野生の鹿の水飲み場と聞いて納得した。

19尺で、、、、と聞いていたのだけれど、へそまがりなもじりさんは壮志 16.0尺を継いだ。タチは3本。予想以上に浅い。このタチならば、ここしばらく使い続けている竿なので休ませようかとも考えたけれど、硬式胴調子の竿で深場からの引っ張りがどうなのかを知りたかった私は、無茶を承知でこの竿を使うことに決めた。
そんな私を見てか夢釣人さんは17尺の和竿。たまには竹もいいか。。。などとおっしゃっていたのだけれど、やっぱりこんな釣場は圧倒的に長竿に分があるのは目に見えている。なんか、無理矢理付きあってくださって申し訳ない気分で餌打ちを始めた。

この日選んだウキは夢釣人さん作の「銀山湖仕様」のもので、ぶっとくて短い葉巻型のボディにロングのムクトップ。足は短くてソリッドのもの。かといってカンザシウキではない。なじみきる直前のアタリを取るウキだ。ちょっと見た時はアンバランスな感じがして、しかもたっぷりと鉛を背負うものだから、このタイプのウキははじめての私は、はたしてどんなふうに立ち、どんなふうになじみ、どんなアタリを出してくれるのかを楽しみにしていた。

箱入り娘(放流もの)の尺1寸。どうせなら黄色い年増の後家さんが釣りたかったナ

結果はすぐに出た。まだ半時間ほどしか餌を打っていないにもかかわらず、馴染んですぐのツン!で尺1寸級が釣れてくる。
壮志 16.0尺は私の予想通り強い張りで、タメを効かせば強引に足下からへらさんを浮かせてくる。うむ。いい調子だ。思っていた通りの調子に満足しながらゆっくりとタモに納めた。
しかし、、、それからは終わりのないニゴイ攻撃が待ちかまえていて、釣っても釣ってもニゴイの猛攻となる。
一方夢釣人さんは、ぽつりぽつりと良型を楽しんでいらっしゃる。

お昼を回って何匹かの小さなニゴイを仕留めたとき、水面を滑らせている途中で巨大なバスが鈎に掛かったニゴイに噛みついてきた。ヤツは、ニゴイをくわえたまんまあちこちと走り回り、ボクは為すすべもなくただ竿をタメているだけだった。
こうなったら糸を切るしかない・・・と思い竿を水平にした瞬間、巨大なバスは噛みついていたニゴイを吐き出した。ほとんど半死に状態のニゴイを取りこんで水に放してやる。が、先ほどのバスは放たれたばかりの半死にニゴイくんに猛然と噛みついてきて、とうとうニゴイの姿は見えなくなった。ごめんな、ニゴイくん。

わかっていることとはいえ、この光景を目のあたりにしたもじりさんにはショッキングな事件で、私たちの知らない間にこういった光景は日本中のあちこちで繰り広げられているのであろうと思うと、改めてバスに対する憎悪がむくむくと沸き上がってくる。
漁業権という、人様が勝手に作った「法」に守られたこのダムは仕方がないとして、徹底的にバスは駆除していかねばならないと改めて思った。

3時頃、夢釣人さんの仲間達が一気に押し掛けて来られて、静かだった湖面はにわかに賑やかになる。典型的な大阪人のノリに笑いが絶えない。自称・沈着冷静(^^;;なもじりさんは、肩を揺すらせながら必死に耐え、揺れる目でウキを見続けるのであった。うう、アタリが取れんっ(^^;;

夕方。6時を回った頃に小さな地合が出て二枚追加する。果てしないニゴイの猛攻のなかから引っ張り出せたへらさんは5枚だけであったが、綺麗な水と深場からの引きを存分に楽しめ、とても満足した気分で竿を納めた。

夢釣人さんはとうに「ツ抜け」を果たして、夕食の準備のために早々に集合場所に引き上げて行かれた。

納竿後。車に道具を押し込んでいた時、またどこからか獣臭いにおいが漂ってきて、いよいよこの湖面はこれから夜明けまでは獣たちの世界になるのかと感じた。

さてBBQ。例会を明日に控えた夢釣人さんのメンバー達は、申し合わせたように前夜から集まってくる。もちろん、車は一人一台仕様。かろうじて寝れるだけのスペースを残し、あとはキャンプ用品が満載である。

みんなでタープを張って、テーブルを組んでお湯の準備。あっという間にあちこちからキャンプの道具が引っ張り出されてくる。みなさん、手慣れた段取りでてきぱきとBBQの準備が始まり、あちこちから食い物が出てくる。

締め鯖だとかトンカツだとかコロッケ。自慢の焼酎。さつま揚げだとか野菜中心の鍋。ラーメン。ヤキメシ。なんでもありのBBQは最高に面白い。手荒い用の水タンクまで用意されていたのにはびっくらした。(^^;;
真っ暗な湖畔の、この一角だけはヤケに陽気で賑やかで、けたたましい笑い声が響き渡るのであった。

いいね。楽しくて愉快な仲間とうまい酒。うまい食い物。あっと言う間に楽しい時間は過ぎ去って行く。夢釣人さん、いい釣り楽しんでますね。(^_^)
もちろんこの日、私にとっても一番充実した時間だったのは言うまでもない。
みなさんありがとう。またどこかでお会いできるのを楽しみにしてます。(^_^)

むさ苦しい男どももこのときばかりは子供に戻る。愉快な仲間と最高の時間。

明日の市川の釣りに備えて、10時を少し回ってキャンプを離れた。
みなさんから、今夜はここで泊まって明日の朝に出発すればと勧められたのだけれど、もしそのまんまここで目覚め湖面を見てしまえばここを離れられなくなるような気がして、後ろ髪を引かれる思いで出発した。

あれほど賑やかに過ごしただけに、真っ黒な湖畔を回る道を一人で走り始めたとき、急に心細くなってきていっそ引き返そうかと何度もそう思った。

ダムサイトまでの短い間に二匹の野生の鹿に出会った。これから夜明けまでこのダム湖は、獣と数人の屈強な男達の天下となる。