やっと Ichikawa 6月13日
前夜、単独で市川へ向かった私は、道中にある24時間営業のスーパーの、明かりが届かない駐車場の隅っこで目覚めた。
前々日からの疲れで目覚めたのは7時前。もうすでに街は活気を帯び始め、行き交う車の量も買い物をしている間にどんどん増えてくる。
昨夜の楽しかった時間に心も体も満腹状態で、幸せな気分を引きずったまんまうっかりと寝過ごしてしまった事を悔いながら、私は夢釣人さんに教わった釣り場に向かって車を走らせた。車窓から見えるこの日の市川は、昨日と違って穏やかにとうとうと流れていた。水はササ濁りで、普段から水の綺麗なこの川を狙うには申し分ない状況だ。
「少しでも早く餌を打ちたい」。焦る気持ちが時間とともに強くなり、前を行く車の遅さにいらついた。市川で竿を出すのは4月4日に行われた西高東低サイトのOLM以来である。以来、西に向かうたびに見て回った釣場であるが、この日まで竿を出す機会は訪れることはなかった。それだけに、車を転がす間に気持ちはどんどん高ぶってくる。
教わった釣場は2号線バイパスのすぐ近くである。そらで聞いただけのものだったので、いい加減に見当を付けて設定したナビに振り回されながら、ようやく土手の道にたどり着いた。
車を停める。やっと釣り場に到着した安堵感からタバコに火を付ける。
狭くて深いワンドの切れ込みの頂点から、ワンドの奥に掛けてモジリが湧きだしている。早く釣ろうと車から道具を引っ張り出した時、ワンコを連れた散歩のおねぃさんがすぐ際を歩いていく。ほんの一瞬、そのワンコと目があった。
するとどうだ。図体のでかいゴールデンはか弱いご主人を引きずりながら、大きく尻尾を振って私に飛びかかってくる。ああ、かんにんや。(^^;;
もともとワンコは好きなのでかまっていると、図体のでかいワンコは厚かましく私の両肩に両手を掛けて顔中を舐め回すのであった。たまらん。(^^;;
まぁ、今朝は顔を洗っていなかったので、ワンコに洗ってもらったと思えばいいのだけれど、それにしても凄い臭いである。しかも重いっ。うう、昨日の獣の臭いといい、今朝のワンコの臭いといい、釣りに来たはずのボクは間違って動物園に来た気分であった。(;_;)バイパス上流のワンド。街の真ん中にある割には風景は良い。(^_^) 10分ほどワンコと遊んで釣場に降りる。ほんのわずかな間にワンドの状況は一変していた。もこっ、もこっと、あちこちで尺クラスのイルカモジリが連発しはじめていて、時間とともにまさにワンドはへらさんの乱舞状態である。うじゃうじゃといるのだ。
こんなん、釣れるに決まってますやん!。(^_^)
いつもの私ならせかせかと準備を始めて、せかせかと餌を打ち始めるのであるが、こんな光景を目の前にして焦る必要もあるまい。
結構余裕を持ったふりをしながら、ワンドの入り口にどっかりと釣り座を広げたのであった。この日の私は柔らかくて胴に乗る壮志 15.0尺を選んだ。イルカモジリ中の型は申し合わせたように尺ちょっとのものばかりで、この程度の型ならば柔らかい竿で胴に乗せ、ゆっくりと時間を掛けて楽しむほうがいいだろうと思っての選択である。
ウキは飄々作。3.2gの鉛の乗るこのウキなら、柔らかい竿でもある程度扱えるだろうとの判断である。
とにかく、へらさんはいっぱいここに入っている。なんの、焦る必要なんてあるもんか。いい加減に作った餌で第1投。そして2投目。ウキの近くでもイルカモジリが連発する。
うう、すぐにアタリがでると読んでいた私の心を透かすように、ようやくサワリが出始めたのは半時間ほど餌を打ってからだった。しかし、、ひとたびアタリが出ればあとはすざましい状態が待ちかまえていた。
いきなりのツンッ!で尺1寸。続いてまたまた尺1寸。
アタリは絶え間なく続き、餌を打てば確実にへらさんがぶら下がってくる。
壮志 15.0尺の、独特の胴に乗る調子を楽しむどころか、へらさんを掛けてから取りこむまでの時間の方が、アタリのない時間よりもはるかに長いという、まさに入れ喰い状態になっていた。尺1寸のやんちゃなヤツ。なじむ前に食って走るほど食欲満々。(^_^) それでも、はじめの頃はそれなりにうれしくて一生懸命釣り続けていたもじりさんであったが、やる気満々で、あまりにも大きなへらさんの塊が寄り切ってしまって、ウキは訳のわからないアタリを連発する。しかも、悪いことにどんなアタリでも乗ってくる。
うう・・・へら釣りってこんなんちゃうぞっ!。(^^;;しばらくして、ウキが立たないと思ったら一気に引っ張られ、仕方なく竿を上げると強烈な締め込み。引きが強くて口を割らない猛烈に元気なへらさんだ。ようやく沖目で浮かせ、胴に乗せたままタモに納める。食っていたのは37Cmのグラマラスなへらさんだった。(^_^)
こうなると、さすがにもじりさんでもいいかげん飽きてくる。私にとってへら鮒釣りが一番楽しいのは、「ツ抜け」を目指す程度で充分である。ここまで荒食いされると、もう「釣り」というより「労働」である。
とうとう我慢できずに、例会で吉井川で奮闘されている杉原さんに電話を入れ、型が狙えて、落ち着いた釣りのできる場所を教わることにした。もしかして、ボクってゼイタク??(^^;;しばらくして、落ち込みで食ってきた尺2寸を取りこんだのを潮に移動することにした。
朝。8時過ぎに餌を打ち始めて10時までのわずかな時間で15枚。しかも、尺1寸から尺2寸の、やる気満々でやんちゃなへらさんばかりとなれば、もうこれ以上は釣りたくない。(^^;;
私は少しでもこの場所を早く離れたい気分で、なんか悪いことをしたようにさっさと移動した。
杉原さんに教わったポイントには、先に金剛川でご一緒させていただいたkimuraさんとnishiさんが竿をだしていらっしゃった。
ちょうど私が到着したとき、お二人は時間をおかずに竿を曲げられていて、きれいで体高があり、胸が張り出した見事な尺3寸級を釣り上げられていた。すでに、それぞれが数枚、尺2寸から尺3寸を出しておられる。
グランド裏のポイント。正面の山に新緑が映える。川を渡る風がさわやかだった。
kimuraさんは金剛川でお会いした私を覚えていてくださって、ここでやりなさいと誘ってくださった。
しばらくの間、kimuraさんとのいろんな話を楽しんで、私はお二人の少し上流に入れさせていただくことにした。
見かけは強面で声がでかくてちょっと恐そうなのだけれど、裏表が無くて心底いい人である。しかも、話していても言葉の端々に優しさを感じさせる人であり、まさに「男!」である。
私は、そんなkimuraさんに、こっそりと「ミスター」なんてあだ名を付けてしまった。(^^;;話しには聞いていたけれど、この一帯はほんとうに浅いところである。普段なら、水の綺麗な市川だけに、ほんとうにこんなに浅いところにへらさんがうろちょろするの?と敬遠してしまいそうな場所ではあるが、先日の大雨で水はいい具合にササ濁り状態であった。
そんな状態の釣り場ゆえ、少しでも長い竿の方が結果が出るだろうと思い、頂き物のがまへら19尺を選んだ。古い竿だ。しかし、この当時のカーボン竿は、今流行のものに比べて遙かに調子に味がある。
タチは約80Cmほどだろうか。予想以上に浅い事から、私は浅場用に作っていただいた友人のカンザシウキをセットした。
そこへミスター登場。(^^;;「なにしてんねん。そんな釣り掘りみたいなウキなんかあかんぞ。この前、杉原(さん)にウキもろたやろ。あれや。あれの一番でっかいウキ使えっ!」
「ハリスなんぼや?。ナニッ06??。あほかっ!ジャミ釣るんか?? 1号使えっ!(=_=メ)」なんて。(^^;;
一気にまくし立てるミスターに叱られた私は、まるで小僧のようにこそこそと仕掛けを作り直すのであった。(^^;;
尺3寸を引っ張るミスターの図。竿裁きの見事さは大型狙いに精通している証。(^_^) 準備している間にも、適度な時間を置いてミスターとnishiさんは交互に竿を絞り続けていらっしゃる。う〜〜む。気が焦るやんかぁ。(^^;;
「40が出んっ!。わしゃちっこいのはいらんねん。40がええねんっ!」とぼやきながら、それでも充分楽しみながら尺3クラスを釣り上げてらっしゃる。
一方、餌打ちをはじめて1時間以上もジャミに弄ばれていた私は、「床休め」なんて勝手に理由を付けてお二人の背後でウキの動きを観察したりしていた。(^^;;お昼を回ってからも、お二人の竿は適度な時間を空けて曲がり続けている。
私の方は相変わらずジャミの猛攻が続き、周囲にへらさんの寄っている気配は無い。
それでも、ミスターとの会話が楽しくて、自分だけ釣れない気持ちで腐ることもなく、それなりに楽しみながら単調な餌打ちを繰り返していた。尺3寸とミスターの図。後ろはnishiさん。こんな良型が釣れ続いた。(^_^) 午後2時頃。止まることのないジャミの攻撃に長竿で合わせが辛くなってきた私は、餌を思いっきり練り込んで、金輪際溶けない餌で待ち釣りに徹した。(なんて、正直言っていい加減疲れてきてあまり餌を打ち返したくないという理由もあるが(^^;;)
打ちこんでそのまんま待ち続ける。ジャミは表層にいるだけで、どっしりと床に降りればきわめて静かになる。おお、やっぱり練り込んで正解だったのね。。。。なんて思っていたら、大型の飄々作がいきなり「どすんっ!」と落ちた。ごつんっ!と鈎に乗る。浅い釣場だけに、鈎がかりしたへらさんは右に左に沖目にと好き勝手に走り姿を現してこない。長いやりとりの後、ようやく尺2寸のやんちゃなへらさんがタモに収まった。あんた、元気やねぇ。(^^;;
いかつい顔。肩が張り、胸が大きく突きだした市川のへらさんの引きは強烈で、普段から私が使っている調子の和竿では、市川のへらさんをあしらうには非力であること。まさに、硬式胴調子の長くて力強い和竿が欲しいと、このとき心からそう思った。
ようやく私に釣れてきたことを、「よかったなっ!」と、ミスターは本気で喜んでくださった。(^_^)
ちょっと私に余裕が出てきたこともあって、ミスターに川の釣りにマッチした餌作りをおしえていただいた。
「こんなマッシュ買ってきてな、ミキサーでこなごなにすんねん。で、餌を放り込んで水を放り込んで、バッサバッサと揺するねん。これでできあがり。簡単やろ?。マッシュは10Kgやないとあかんぞっ。3K円台で買えるさかい。4K円も出したらあかんぞ。もし京都になかったら大阪の・・・なんたらかんたら・・・・」(^_^)
とりわけ管理池を中心とした釣人は、自分の餌を公開するどころか、逆に秘匿することが一般的なのだけれど、ミスターは惜しみなく、しかも作り方の詳細まで私に教えてくださったことが心からうれしかった。(^_^)
道糸をぎゅーんぎゅーん鳴らしながら走り回った40Cmジャスト。抱卵中なのに恐ろしい馬力である。(^_^) しばらくして尺3クラスが釣れてくる。強烈な引きだ。竿は大きく曲がり、道糸はぎゅーんぎゅーんと鳴きながら左右に大きく締め込んでいく。竿を立て、握りを水面にまで下げながら両手を添え、やっとの思いで口を割らせる。ゆっくりと寄せタモに納める。40あるか無いか。とりあえず計ってみようと検寸台に乗せてみる。
ちょうどその時ミスターが冷やかしに来られて、「ああ、ちょっと40切れてますわ。残念やなぁ」なんて話していると、「あほか、ナニ言うてんねん。ちゃんと計れっ!。40あるわいっ!(=_=メ)」。(^^;;
もう一度きっちりと計ってみると40Cmちょうどある。まさかここで40Cmを釣ることができるなんて予測もしていなかった。それだけにうれしさも倍増。(^_^) もちろん、ミスターの眼力に敬服したのは言うまでもない。おそるべし、ミスター。(^^;;その後も忘れた頃に尺2寸級のへらさんが釣れてくる。ミスターもnishiさんも適度な間隔を置いて交互に竿を絞り続ける。
夕方。午後5時を回ったころになって地合が落ちる。
5時半になって、ミスターとnishiさんが仕舞いはじめたのを期に、私もこの日の釣りを終えることにした。驚愕的真丸臨月大馬力否口切走回取込難儀箆の図 見よっ! このまん丸なへらさんを・・・・。しかも臨月。(^_^) 寸法はしれてるが、重くてよく走った。 この場所に移動してから5枚出た。尺2寸から40Cmまでの強烈な市川のへらさんを釣り上げ、強烈な引きを存分に楽しんだ。
待って待ちこがれた市川の釣り。
みなさんの情報とアドバイスのおかげで、まさか・・と思うほど予想を遙かに上回る釣果に恵まれた。まぐれでも、こんなエキサイティングな釣りはなかなかできるものではない。
それだけに、今回の釣行でお世話になった方々に、改めて感謝すると同時に、「仲間ってほんとうにいいな」と、日頃から単独釣行の多い私にとって、今更ながら釣り仲間の暖かさを心の芯から味わうことができた素晴らしい釣行だった。(^_^)
みなさん、ありがと。(^_^)