へらさんは寝て待て 予想もしていなかった釣りに満足したもじりさんは、教わったアウトドアのお店で無事に燃料をGETした。
ほんとうなら夢さんや夢さんのメンバーさんに「火」を借りるという手もあったのだけれど、明日はできれば違う環境で釣りたいという気持ちが強かったので、離れた場所を選べばそれもかなわない。だから、見つけるまで市内を駆けめぐるつもりでいた。
夢さん達のキャンプにお邪魔する前に、わずかばかりの差し入れを仕入れて、ついでに人の気配の無くなった四番川と六番川を見て回ることにした。
あほなナビに誘導された岡南大橋は有料となっていて、たったあれだけの距離に金払うのも悔しいから戻ろうと思ったのだけれど、地図を見れば国道までもどるのは思った以上に遠回りとなる。しかたなく初釣りのご褒美ということで奮発した。(^_^)待ち合わせの駐車場にはすでにブルーシートが誇らしげに張られていて、強い西風にぱたぱたと揺れていた。
夢さんとメンバーさんが忙しそうに夕食の準備をしてらっしゃっている中を、鈍感なもじりさんは自分の椅子を車から引っ張り出してきて、厚かましくも一番暖かいシートの裏に陣地を構えてしまった。(^^;;
夏場のキャンプは苦にならないけれど、さすがに真冬となれば時間とともにぐんぐん冷えてくる。
ブルーシートの住人達。いつもありがとうございます。(^_^)しかし外気とは逆にシートの中は暖かい。煮えたぎった鍋を腹一杯ごちそうになって暖まり、楽しい会話に引き込まれながら時間はあっと言う間に過ぎていった。
午後九時。消灯。さて、明日はどこでやろうか。
四番川の橋の上手でやろうというつもりだったのだけれど、急に10年前の倉敷川の景色が頭をよぎった。
沈みそうでなかなか沈まない岡山の夕日。細長く伸びていく自分の影。枯れきった黄色い風景と青空。田んぼの中の風景。うむ。2月12日
朝。たぶん、一番遅く目が覚めた。
他のメンバーさんも加わって夢さんのキャンプで朝食を頂き、私を除いたメンバーさんは四番川に向かって車を走らせた。また今夜ここで。(^_^)昨夜、脳裏に浮かんだ風景を求めて、私は単身東に向かって車を走らせた。
昨年教わった千町川に到着する。ふぅ、ナビに登録していなかったのによく覚えていたもんだ。(^^;;
酒屋裏に車を停める。
しかし、この日は朝から流れが強く出ていたようで、減水の後が護岸にくっきりと記されている。まだ川はわんこが歩く程度の速さで流れていて、ちょっとこれでは釣りにならないと思った。
とりあえず千町川の上流に走り、釣りになりそうな所を探しながら潮止めの水門まで下ってみる。あかん・・(^^;;見覚えのある幸田川の橋が遠くに見えてきたことを幸いに、一目散に幸田川へ車を走らせる。橋のたもとの空き地に車を乗り入れ、朝の散歩途中のおばさん1号と挨拶を交わす。
「最近、ここで釣りしてはりますか?」
「いや、おらんのぉ」と、おばさん1号。流れはない。せっかくだしやるか・・・。しばらく水面をぼんやり眺めていたのだけれど、へらさんが出そうな雰囲気は全くない。小さな波紋ひとつ広がらない。しかし、思い描いていた岡山らしい風景の中で竿が出せる喜びと不安が頭の中で勝負して、とりあえず半日だけでもやってみようなんて、どっちつかずの引き分け論に落ち着いた。
釣り台を出す。むふふ、車から歩いて5歩。
強い西風を車と道具で遮って、ぺたんと敷いただけの釣り台の上にアグラをかく。ふふ、こりゃ楽珍だ。(^_^)久しぶりにひらべったい風景の中の釣りである。まぁ、慌てることはない。周りには誰もいないしのんびりやりましょうか。(^_^)
東峰 14.1 尺を継ぐ。黄色い風景の中で朱塗りのこの竿は派手すぎたかも知れないのだけれど、ちょっとしたアクセントにはなるだろうなんて、まるでこの風景の中の自分の姿を絵画で見たように、訳のわからんことで納得した。
かなり岡山的風景の幸田川 タチは2尺。昨日の四番川よりも浅い。
ウキは、昨日貰ったもう一本の四番川スペシャルをセットして餌打ちを始める。
1時間、2時間と単調な時間だけが過ぎていく。もちろんアタリなどはない。退屈しのぎにぶらぶらと近くを見て回るのだけれど、いかにも冷たそうな水色と冷たい北西の風が吹き付ける様から、今日はだめだろう、移動しようかととあきらめ気分で釣り座に戻った。
ウォーキングスタイルの近所のおばちゃん2号が珍しそうに声をかけてくれたり、わんこの散歩に付き合うおじさんが「釣りの心得」なる講釈を聞かせてくれたり、様子を見に来た地元のへら屋さんが「ここは昼からでっせ」と話しかけてきたり退屈はしなかったのだけれど、お客が多いとなかなか移動するタイミングを掴めない。うむ。励ましてくれた彼らの為にも今日はここで沈没しようと決め、少し早い昼食の準備を始めた。昨日燃料を無事GETできたことから、今日は奮発してカレーライス&天ぷらうどんとした。自炊できるというのは本当にいい。なにより、暖かいモノが食えるというのは冷え切って気力の萎えた心と体に活力を与えてくれる。もっともっと前から自炊の楽しみを知ってくべきだったと思った。
1時間ばかり昼寝タイムに突入する。
あれほど晴れきっていた空も目が覚めた時は曇っていた。大きな黒い雲の塊からしぶきのような細かい雨が降り注ぎ、真冬の冷たい風にさらされて思わず身震いした。
いつまでもさぼっていたい気もしたのだが、せっかく待ちこがれていた岡山に来たのだから餌を打っていようと釣り座に戻った。
晴れ間が出る。
一投目。打ち込むと同時にウキが立つ。ゆっくりとなじみ始めたそのとき、ふわりと持ち上げたと思った瞬間、チクッと小さく押さえる。えっ!?なんやねん?? すっかりやる気のなくなっていたもじりさんに、まさかそんな事が起ころうとは予想もしていない。当然、手がでるはずもない。あわてて餌を切り打ち返す。同じようにウキが立ち、餌がなじみ始めると同時にへらさんの濃厚な気配が伝わってくる。ゆっくり餌が床に落ち着くや否やズッと力強くウキが押さえ込まれる。
ふっふっふっ。やったわい。寝ている間に寄っていたのね。(^^)
8寸くらいの真っ白なへらさんが、いっちょまえに口から水を吐き出しながらゆっくり浮いてくる。なはは、「家宝は寝て待て」なんて言いますが「へらさんは寝て待て」ってわけですな。(^_^)
午後の部開始と同時にやってきた8寸級それからというものは午前中のしらけた雰囲気とは違って、水面が揺れ、泡が吹き出し、ウキが大きく揺すられるほど団体さんが餌の周りで騒ぎ立てる。
針がようやく隠れる程度に小さく付けたグルテンが馴染みきる前にウキが引っ張られ、合わせる必要もないほど、まるで餌をひったくるように食ってくる。
マブさんも混じる。ワタカの兄ちゃんもやってくる。それに鯉っこ。不思議なものでへらさんが続けばへらさんばかり。変なのが来れば変なのが続き突然またへらさんに変わる。
あまりの乱舞に夢中になり、お下品なアタリをとり続けているうちに10枚、15枚と数が伸びていく。
しかし、、、型は8寸から尺2寸までと、昨日の4番川の釣りから見れば物足りないのだけれど、でもええやんか。ボクのイメージにある岡山の釣りはこんなんなんやから。(^_^)
餌を加えて走り回った尺2寸級 この川のへらさんはべっぴんさんが勢揃い。(^_^)しばらくして、後ろに人の気配を感じて振り向いた。散歩途中のおばさん3号が竿を絞り続けている私を見ながら話しかけてくる。
「釣れますか?」(釣れてますやん(^^;;)
「釣れてますよ」
「鯉ですか?」
「鮒ですわ」
「どこから来たのかね?」
「京都ですわ」
「鮒釣りに京都から??。鮒なら琵琶湖が釣れるんと違うの?」
「・・・・・やっぱ鮒は岡山ですわ」
なんて会話が続き、ひと休みを兼ねて火を起こし、おばさん3号と一緒に暖かいコーンポタージュをすするのであった。(^_^)夕方。
再び霧のような冷たくて細かい雨が降り注ぐ。冷たい風がさらに強くなり、そのときを潮に道具を納めた。
結果は24枚。午後からの釣果である。
アタリは途絶えることなく活発に出て、帰還命令も出ず、もう少しボクが欲張りで根性があったなら、まだまだ数は伸び続けていたに違いない。岡山はええな。ちゃんとした仕事さえあれば迷うことなくここに移り住みたいと、後ろ髪を引かれる思いで日生から赤穂に向かって車を進めた。(^_^)
この次は秀天かな。(^_^)