糸の切れた凧@円山川&離湖 5月1日
車を揺るがす大風と激しい雨で目が覚めた。時計はまだ午前3時を指している。このままでは眠れそうもないので、傘を引っ張り出して周辺の散歩に出かけた。
あいにく傘はなんの役にも立たないくらい雨と風が激しくて、ずぶぬれになりながらわずか半時間で車に逃げ込んだ。車内でバーナーに火をつけ、とりあえずコーヒーを沸かしてみる。
おもむろにパイプに火をつけて、ブルーノートの甘い香りに包まれる。うーーむ。寝不足ではあるものの、すこぶる気分が良くなったところでまた眠りについた。午前8時。周囲の喧騒で目が覚めた。
雨は激しい風に乗って真横から吹きつける。こんなん釣りになるんかいな?と案じながら、とりあえず川を見に行くことにした。坂本から左岸を走り様子を見る。さすがにこんな日に竿を出している大馬鹿ものは誰一人いない。
車横付けポイントへ到着したものの、南西の強烈な風に押されて、車のドアを開けることさえ躊躇ってしまう。こりゃあきませんな。
ともかく、ここでぼ〜っとしてても仕方が無いので、せめて風さえ避けられればということで、伊佐橋左岸のワンドを目指して車を走らせた。飛ばされないかと思うほどの突風をまともに受ける土手に車を止め、雨に濡れた草を掻き分けてワンドに下りる。
立ち上がると吹き飛ばされそうになる突風の中、10尺を振るワンドとワンドの入り口の出っ張りは南からの強烈な風をまともに受け、ちょっと気を抜くと飛ばされそうになる。横殴りの雨が痛い。
すぐ下流の本流筋は、一段下りれば風当たりが多少ましなことに気づいたもじりさんは、冷たい雨の中に打たれながらせっせと釣り支度を始めるのであった。芸舟10.2尺を継ぐ。こんな風の強い日は竿の長さや調子よりも、扱いやすい竿のほうが精神的にいいのだ。まぁ、こんな条件だから釣果は鼻っから期待もしていないからと自分を納得させ、そろりと餌を打ち込んだ。
10発も打っただろうか。風に押されて横倒しになったウキが一気に消し込む。
ん!? なんじゃ??ひょいと合わせてみるとゴツンと来る。のっしのっしとへらさんの感触が伝わってきて、尻尾のピンと張った円山川独特の尺2寸が意外なほどおとなしくタモに収まった。
やったね。
まさかこんな条件で、しかもこんなポイントで驚くほど早く型を見れるなんて予想もしていなかっただけに、その喜びは言葉に表せようがない。
ふと足元を見れば尺から尺2寸のへらさんが岸辺に群れを成して走っている。
おお、もしかして去年と同じパターンかな?風に倒され、三角波に踊らされ、風下に一気に流される悲惨な条件の中で、ちょっと信じられないほど喰いが立ち、一時入れ食い状態でここぞとばかり竿を絞り続けた。
しかし、残念なのは尺2寸から尺3寸ばかりの同級生ばかりで、おや?こいつはもしかして40あるかな?と計ってみると39.7Cmとか、そんなのが何枚も混じって来てくれるのではあるが、あともう数ミリが届かない。
昼飯を食うのも忘れて、このときばかりと午後1時過ぎまで夢中で釣りまくるもじりさんであった。
ようやく雨も止み、風も緩やかになってきた。着込めるだけ着込んだだるまさん状態から開放され、身軽になったもじりさんは車のルーフキャリアによじ登り、どっかりと胡坐を掻いて座り込む。昨夜買ったキャベツの半切れにまつたけのお吸い物の粉をふりかけながら、まるかじりして空腹を満たした。
学校から帰る女子中学生の軍団が、車の屋根の上でキャベツをかじる異様なおっさんを見て、「カマキリ」がどうとか「キリギリス」がどうとか話しているのが聞こえる。カマキリでわるかったなっ。ほっといてくれ。雨風の収まりと供に喰いが落ちる。あれほどにぎやかだったウキの動きがおとなしくなる。ええいとばかり竿を14尺に変え、またおもむろに餌を打ち始めるもじりさんであった。
しばらくして竿を満月に曲げ、ようやく40Cmジャストが釣れてきた。よっし!と気合を入れたもじりさんではあったが、残念ながらその後はまた尺3寸迄のへらさんが、忘れた頃に竿を曲げてくれるだけであった。やっと釣り上げた円山川の40.0Cm タバコを取りに車に戻る。
私の車の後ろに一台の車が止まっていて、「釣りですか?」と声が掛かる。
「へらですよ。よく釣れてます」という言葉がきっかけで会話が進み、この人が杉原さんのBBSにおいでになる福知山さんだとわかった。世間は狭いもので、どこでだれと繋がっているのかわからない。
「ワンドでナイターやります。あっ、それと後でもう一人来ますが、隣に入れ貰っていいですか」と福知山さん。「もちろんいいに決まってますよ」周囲がもう暗くなる頃、ようやくこの日の釣りを終えた。
いい釣りだった。運良く約30枚の釣果に恵まれ、念願の円山川での40Cmをモノにできたこともあって、この日は晴れやかな気持ちで竿を納めることができた。
これからナイターをはじめるお二人に別れを告げ、さて明日はどうしようかと思いを巡らせながら、とりあえず常宿の道の駅へ車を走らせた。夕食は、ちょっと豪華にいなり寿司とバナナを買った。ささやかないい釣りができたことのお祝いという意味も含めて、久しぶりに旨い夕食だった。
5月2日
朝6時に目が覚めた。
27日以降風呂に入っていないので体中が痒い。道の駅のトイレで顔を粗い鏡を見る。顔中ヒゲだらけのぶっさいくな顔が鏡に映っている。
とりあえず歯を磨き、夢さんから貰った食パンの塊にかじりつく。もう付ける物がなくなってしまったので、コーヒーと一緒に無理やり流し込んだ。湖山池へ先発のSさんとの連絡が取れなくて、しかも前日の情報では芳しくないと聞いていたものだから、今日は鳥取の千代川へ向かってみようかと考えていた。
でも起きた時間が時間だし、午後三時には離湖へ向けて出発したかったこともあって、結局は今日も円山川でやってみることにした。
昨日のポイントに掛かればまた同じことの繰り返しになり、それに、柳の下のなんとやらを狙うスケベな釣りになってしまうので、今日は通いなれた車横付けポイントでのんびりやることにした。うまくいけばあそこでも何枚か拾えるかもしれないし。
朝はどんよりと曇っていた朝からどんよりと曇っていた天気が急に回復したのを幸いに、寝袋を広げて天日干にした。車の中のものをすべておろして、窓とサンルーフを全開する。今日は消毒じゃ。
釣り座を適当に広げ、弧舟15尺をおもむろに取り出した。
硬式胴調子のこの竿はこういった釣り場用にと、わざわざお願いして作ってもらった竿である。肉厚でしっかりした作りに仕上げてもらっているので、とても安心して使える竿である。打ち始めて1時間も経たないうちにウキは動き出した。もやもやと頼りない動きではあるが、何かしらの気配はある。
しばらくしてズルッとした押さえ込みが出たのであるが、見事なまでの美しい周りの風景に目を奪われていたもじりさんは、「あっ」という声を出すのが精一杯だった。あほや。
しばらくして同じようなアタリが出る。今度は余裕であわせると一気に沖目に走られて、糸が伸びきった瞬間に大きくジャンプする。ん!? なんか長いぞ??
右に左に走り回ったなぞの長いお魚さんを取り込むと、なんと四角い口の尺半クラスのウグイ野郎だった。
その後も同じようなサイズのウグイが2本やってきて、釣り上げるとアタリがばったり途絶えてしまった。ふぅ。なんでウグイやねん!
こんにゃろめっ!独りの気楽さと、昨日は予期しなかった良い釣りができたことで気持ちに余裕のできたもじりさんは、「こんな日はあきませんわい」と見切りをつけ、パイプ椅子にどっかり座り込み、バナナを片手に熱いコーヒーをすするのであった。
しばらくそのまま転寝をして、また気持ちを切り替えて餌を打つ。5月とは思えない強い日差しと微風のなかで、じっとり汗ばみながらウキを見つめた。
結果はすぐに出た。
2投目でもやもやとした触りがあり、ふっと持ち上げてチクッと来る。尺3寸。
ゆっくり馴染んでなじみ際に触り、床に付いてチクッ!と来る。
まさに教科書的なアタリが続き、午後3時の納竿までに10枚のへらさんを引っ張った。午後4時。予期しなかったこの2日間の釣果に満足したもじりさんは、とても満たされた気分で円山川を後にして、丹後半島の先っぽにある離湖へ向けて車を走らせた。
途中、浅茂川温泉で久しぶりに湯に浸かった。風呂に入ったのは実に5日ぶりである。納豆が腐ったような異臭をたてていた体も隅々まで洗い流し、この5日間の垢を綺麗に落とし去ってさっぱりした。
帰りにスーパーで肉を買った。
昨年はちょっと奮発してサーロインステーキを買ったまでは良いが、ナイフとか包丁が無かったものだからまるかじり。せっかく風呂に入ったあとなのに、口の回りとか両手が油でギトギトになって往生した。今年はその失敗を繰り返さないようにと、肩バラとロースの薄切りを買った。
離湖に辿り着く。夕暮れの迫る離湖は、いつものようにのっぺりとして、落ちかけの夕日にぼんやり浮かんでいた。
とりあえず腹が減ったので、ちょっと早い夕飯とする。
オニク・オッニク〜♪ ルンルン・・・のはずがぁ・・・(^^;; 外は虫だらけなので、車の中で肉を焼いた。
牛さんの焼ける臭いがたまらなく食欲を掻きたて、さっさと塩コショウを振りかけて口に運んだ。んん・・・しょっぱい!塩コショウの加減がわからないあほなもじりさんは、かけないと損のようにたっぷり振りかけたものだから、塩辛すぎてとても食えたモノではない。
しかたなく水で洗い流し、まつたけのお吸い物の粉(調味料的なのはこれしかない)を振りかけ、和風のヤキニク@秋バージョンとして胃袋に流し込んだ。
旨くはなかったけれど、なかなか乙な味がした。
で、仕上げはキャベツのまるかじり。お腹いっぱい。パンパン。6時半を回る頃、とりあえずいつもの場所に釣り台をセットだけして、11時頃に到着するokadaさんを待つつもりだった。。
とろこが釣り人の悲しい性と申しましょうか、釣り台を出せば竿受けを出し、竿を出してウキのバランス調整までしてしまう。まっ、ここまでしておけばいいだろうと思ったのだけれど、まだちょっと明るいので試しに餌でも打って見ましょうと色気を出してみる。
10発も打たないうちにマブ君が釣れてきて、しばらくして尺クラスのべっぴんさんが釣れてきた。おお、へらやんか。こりゃやるしかないっ!
とうとう玉網まで引っ張り出してしまって、なんと防寒着までまで着込んでしまった。
いきなり釣れてきた8寸級のへらさん。okadaさんを寝て待つつもりだったのだけれど、なんのことはない。本格的にナイターに突入である。
マブ君のごっそり溜まったところから、時折明確で力強いアタリを出してへらさんが釣れてくる。
しかし型はいまいち小さくてばらつきがあり、それこそ8寸級から39.4Cmまでのものが適当な時間を置いて顔を出す。
せめて一枚でも40Cm上を出したかったので、まぶしいくらいの月明かりの中を一人でがんばって餌を打ち続けた。午後10時半。電気ウキが折れたことで泣く泣く納竿した。
出島を二周歩き、ついでに暖かいコーヒーを買いに良く途中でokadaさんとすれ違ったのだけれど、相手は体型の変わってしまったボクのことを気づかなかった。
一年ぶりの再会。しばし雑談タイムになる。
GWは10年ばかり毎年ここで顔を合わせる。お互い住んでいるところはほんの半時間の圏内なのだけれど、一年に一回だけこの場所で顔を合わせるという人たちが離湖にはたくさん居る。不思議なものだ。
いよいよ眠気が襲ってきて、電気ウキをぶっ潰したボクは諦めて夢の中に突入する。
okadaさんは私の隣に釣り座を作り、半夜ナイターをかけるために暗闇の中に消えていった。爆睡。