Vol.03
2004/03/06

このところ北朝鮮のハナシはゲップが出るほど聞かされるけれど、例の「よど号ハイジャック(1970年)」連中の消息はほとんど聞かれなくなりました。連中の家族が帰国したとかのハナシがタマに聞かれるていど。かつて、かの国での取材で「合法的帰国」をノタマウ連中の血色の良い顔みるたび、
「オマエラ!偽造パスポートなり闇夜日本海を船で漕ぐなりして戻って来いよッ!もはやそんな度胸もないというなら、、、それなら腰縄打たれて戻って来い!それがオトシマエのつけ方というもんだッ!。スジ通せよッ!!!革命家がタタミの上で死のうなんて思うんじゃね〜よ。安全な場所にいて一丁前のことヌカすんじゃないゼッ!」
と憤ったモンでしたが、ニュースが途絶えれば途絶えたで「ヤツラどうしたんだろ?」と気になったりするわけです。

この「よど号事件」でスターになったのが山村新冶郎という政治家。

ハイジャック機はピョンヤン空港に着陸したはずが実は韓国金浦空港。
あくまでも北朝鮮に行くことを要求するハイジャック犯と交渉し、乗客全員をソウルで解放し身代わりに自分が搭乗し北朝鮮に行くことになったのが当時運輸政務次官だった山村さん。北朝鮮でハイジャック犯を下ろし再び羽田に戻ってきたときには、『さすが千葉の親分侠気のお方!オトコ山新』としてヒーローになったわけです。

ようやく『めんくい党』のハナシに入ると、、、、、。
上の画像は神田神保町交差点近くのラーメン屋『さぶちゃん』の『半ちゃんラーメン』600円也。

いまではランチタイム・ラーメンに半ライスサービスというラーメン屋も珍しくないけれど、かつて、金の無い連中の食い物は『ラーメンライス』というのが定番。つまりラーメンをオカズにしてライスを食べとりあえずおナカ膨らませようということ。その後「白いご飯じゃチョットな〜」と、いつのまにか市民権を得てきたのが『半ちゃんラーメン』。つまりラーメンをおかずにして半チャーハンを食べようというヤツ(逆でもかまいません)。
その『半チャーハン』の元祖がオレだッと豪語するのが、この『さぶちゃん』のオヤジ。

店はカウンター席7人だったかな。狭い厨房の中には布袋様のようなお腹を煮しめたようなランニングシャツで隠したさぶちゃんと、洗い物などする初老の男とのペア。この二人を観察していると主従でもなさそうだし、兄弟でもなさそうだし、もしかするとアヤシー関係かな?などと勘繰ったりするのです。

小さなスタンド椅子に座ったらすばやく半ちゃんラーメン注文し、さぶちゃんの手つきなど眺めるなどしてラーメンが出てくるのを静かに待ちましょう。オーダーに迷ったり、「水をくれ」などとリクエストすると、店の手順に従えないヤツが来たとばかりに急に不機嫌顔されます。この水だって水道の蛇口からそのまんまコップに注ぐという色気もな〜んもないんだけれど、これは譲れないという変なプライドだけは強烈に持ってるタッグチームみたい。

「ワシら東京生まれにとってはラーメンって〜のはコレだと思っているから」と、「ワシは江戸っ子だぜッ」と言外に含ませながら作るのは上のようなラーメン。味はしょうゆ味だからアッサリしてると言いたいところだが、これがショッパイのショッパクないの。そして半チャーハンの方も炒飯というよりラーメンのタレをからめたようなもの。温めた中華鍋に卵数個を落とし、冷や飯を入れ、味の素・塩・刻みチャーシュー投げ込み、ラーメンのタレを加えるだけだ。一回で15人分くらい作り置きして、そのつど温めなおして出すこの半チャンがこれまたショッパイのショッパクないの。この半ちゃんラーメン食べたあとはノドが渇いて水を飲みっぱなし。

画像見ただけでショッパイのが伝わってくるけれど、ムカシからこんなにショッパかったかな〜?と思えるくらい。多分慣れで作ってるから段々味が濃くなっていったのでしょう。それでも店は繁盛していていつも数人が並んで待っています。私だってショッパくてマズイの分かっているけれど、それでも時々さぶちゃんのマズイラーメン喰いたいな〜と列に並ぶことがあるのです。

このさぶちゃんの壁には日本相撲協会のカレンダーが貼られていて、そのカレンダー脇には、『実行 運輸大臣 山村新冶郎』という色紙が額に入れられて飾ってあるのです。新聞の切り抜きも一緒になってるから、眼鏡取り出して読んでみれば、「山村大臣は激務の合間にフランス料理ならどこそこ、ラーメンなら神保町さぶちゃんと、食べ歩きが趣味のグルメぶりでも名が知られている・・・」というようなチョーチン記事。

いまどき山村新冶郎という名前を知っている世代というのも少なくなりつつあるけれど、常に「あのよど号ハイジャックの時の?」という言葉がつきまとい、他の功績を思い出せない政治家です。運輸大臣にまで登りつめていたんだなぁ。

政治家としては思いがけずも一夜にして、以後の選挙を憂えることのないほどの名前を売った山村さんだったけれど、1992年に自民党訪朝団々長として北朝鮮に行こうという日の前日、自宅で次女によって刺し殺されるということになります。実父殺しの次女は心身喪失状態ということで無罪になったもののその後自殺します。ハイジャック事件のとき、山村さんが北朝鮮から凱旋将軍のごとく帰国した父を羽田空港で花束持って出迎えた娘の長じた姿だったのです。

あの“オトコ山新”もこのさぶちゃんのショッパイラーメン食べてたのか。
政治の世界だから、もし山村さんが存命であれば、日朝関係も別の局面を見せてたのかも知れないなぁ、などとラーメン食べながら思ったりするわけです。


せっかく我が愛する街神田神保町が登場したところで、神保町B級グルメを紹介しておきましょう。





『いもや』の天丼。

神保町交差点から水道橋方面に向かって約150m左。
(このいもやの角を左に入るとさぶちゃん)

『いもや』のメニューは実にシンプル。
天丼=500円、エビ天丼=750円、おしんこ=100円という3種だけ。
500円の天丼といっても、エビ、イカ、キス、ノリがホカホカのご飯にのりマジメなしじみの味噌汁がついている本格派。しかもライス大盛も料金同じだから大食いにとっては感動もの。ただし少しでも食べ残しがあると追加料金払うことになります。

『いもや』の名前では、この天丼の他にとんかつ屋てんぷら屋が神保町に数店舗あってどのお店もおススメで外れがありません。





『キッチン南海』のカツカレー。

神田神保町すずらん通りの春日通り寄り。

昼時にはいつも10人くらいが並んで順番待ちの人気店。
お客の半分ががオーダーする名物カツカレーがコレ。
前もってカツは揚げておくという、よくありがちなお店と違って、ここはオーダーを受けてから揚げてくれます。ホカホカご飯に揚げたてカツが乗っかって、これで650円也。写真のキャベツはキャ別で50円也。


というわけで、、、、、。

岩波ホールでマイナーな映画をツウぶった顔して観たあと、新刊本をチェックしたり、古書店覗いたり、中古レコード屋をヒヤカシ、『さぶちゃん』で山村運輸大臣の色紙を見て、数奇な運命をたどった政治家の一生から日朝関係に思いを馳せるも良し。小指たてながらドンブリ洗うオヤジの姿を見てさぶちゃんとの関係を予想するも良し。「そんなにショッパイんじゃなぁ」と躊躇するなら『いもや』でリズミカルにテンプラ揚げる兄さんに「天丼大盛り」と頼むも良し。『キッチン南海』で、ひとくちにカレーといってもイロンなカレーがあることを再確認するのも良し。

さぁ!神田神保町へいらっしゃ〜い!。
神保町で右脳もお腹も満足させましょう。