崖の上のポニョ    ●NEW●   

   今やアニメ界のドンな存在でもある宮崎駿監督の待望の新作!その過多な期待に
   宮崎監督は果たしてどう出るか!?事前にあまり良くない評判も耳にしながらド
   キドキで観に行った。その結果・・・
   素晴らしい!この人はアニメーションが何たるか、本当に分かっている。ストー
   リーがどうか?設定がどうか?と言う以前に、アニメーションとして表現できる
   面白さを追求して、それはそれは面白い「動き」のオンパレード!そして何より
   も画面に優しさが溢れている。理詰めではなく感覚で楽しむこんな作品は、子供
   たちにとってもこの夏休みの最高のプレゼントだろう。
   タレント声優の大根っぷりや、多少の突っ込みどころやリクエストもあるにはあ
   るが、欠点もあってこその映画の醍醐味。その良さが分からない奴には分からな
   くても結構!バカボンのパパの言葉を借りれば「これでいいのだ!」
   プレッシャーにも負けず、堂々と独自の世界観を貫いた宮崎さんって最高!
   映画が始まってから終わりまで、私はずっとその心地よさに涙を流しっぱなしの
   まま、ただただスクリーンを見つめていた。


 スピード・レーサー        

   「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟が、日本のアニメ「マッハGoGoGo」
   を、どう料理しているか!?この夏注目の1本!ってか、私しゃ〜制作発表を
   YouTubeで見た時、竜の子キャラになりきった役者達の姿に一目惚れして、思
   わず歓喜の声を上げたクチなので、期待もパムパムだった。
   しかし!う〜ん、出来上がりは何だかな〜・・・。原作のアニメを更にポップ
   にした色の洪水のような画面は、人物部分も衣装やセットまで色合いがどぎつ
   くて現実味はなく、その演出もまるでTVのかくし芸大会を見せられているよう
   でオーバーで安っぽい。レースシーンなどもVFXというよりはゲームや3DCG
   のようなデジデジなテイストで落ち着かず目に刺さって痛い!
   しかしこれがアニメの実写化作品だと思うとウォーレン・ベイティ監督の「ディ
   ック・トレイシー」や庵野監督の映画版「キューティーハニー」を思い起こさ
   せる部分も多く、全く間違った方向ではないとは思うのだが、あの「マトリッ
   クス」を生みだした監督が作った、となると、脚本の練り込みも含めてもっと
   ハードルを上げた作りにして欲しかった気がする。


 告発のとき            

   監督はあの名作「クラッシュ」のポール・ハギス。C・イーストウッドの「ミリ
   オンダラー・ベイビー」や「父親達の星条旗」「硫黄島からの手紙」などの脚本
   も担当した、ハリウッドきっての期待の星!そんな彼の新作はイラク戦争から帰
   ってきたばかりで行方不明になってしまった息子を探す、元軍人のトミー・リー
   ・ジョーンズ演じる父親の物語。
   娯楽作ではないので、広く一般にはオススメはしないが、暗く、重く、シリアス
   な中にも、人間愛や強いメッセージが込められたこの作品を、今ハリウッドで作
   る、このハギス監督の姿勢には拍手を送りたい。ジョーンズの妻役のスーザン・
   サランドンも良い、女刑事役のシャーリーズ・セロンも素晴らしい!そして何よ
   りもトミー・リー・ジョーンズが最高に良い!
   映画館に若い観客の姿があまり見られなかったのが残念だが、ビデオでなくぜひ
   劇場の集中した環境でじっくりと観て欲しい作品。


 アフタースクール         

   知人の強い勧めがあって観てきました。観客を騙すような作品が得意という内田
   けんじ監督の作品。題名からはおよそ見当の付かない展開とお話し。主演となる
   大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人の3人が絶妙なるコンビネーションを見せながら
   観客をもまんまと騙して楽しませる愉快な作風。未見の前作の「運命じゃない人
   」もついでに観たくなる、なかなか凝った脚本!始まってすぐは、もうちょっと
   オシャレに撮って欲しいな〜、とも思っていたが、話が進むに連れて段々その展
   開に夢中になってしまう。そんな魅力に溢れた作品だ。
   このところ邦画が元気一杯で、制作される作品も多いが、口コミのお陰か劇場も
   若い観客で賑わっていて、何となく邦画の明るい未来もちょっと感じた。
   西高東低だと思っていた映画界も、Jポップ全盛の音楽同様に、邦画天国になる
   のだろうか?でもこんな才能がある監督の作品を観ると、それも夢ではないのか
   も・・・と感じる。


 JUNO/ジュノ            

   興味本位でした同級生との、たった1度のSEXで妊娠してしまった16歳の少女
   の物語。シャレた会話と軽いタッチが若々しく無駄な部分を全く感じない、それ
   でいてカッチリと作り上げ過ぎた感じもない。オープニングのアニメーションや
   全体の音楽も適度にユルくて心地良く、全体的に奇をてらうこともなく自然体な
   丁度良いユルさと心地よさ、と言う不思議な魅力を持った作品。
   何の説教臭さも感じないながらも、登場人物を通して次第にそれぞれの前向きの
   人生を考えさせられる、視点の温かい、なかなか優しい映画だった。こういう作
   品が日本から生まれても不思議はないとは思うのだが・・・。
   惜しむらくは自分にもっと英語力があれば、主人公やクラスメイトの今どきの
   アメリカン女子高生の飛んだ英会話に、柳原可奈子の人まねを楽しむように、も
   っと腹を抱えて笑えたかも?と悔しく感じるところか?


 インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
                  
 

   19年振りのインディ・ジョーンズの新作。主役のハリソン・フォードがシワシワ
   だとか悪口も聞こえたが、老いてなおタフな冒険オヤジ考古学者を好演している。
   19年振りと言うことは、今のティーンエイジャーはほとんど前作を観ていない
   可能性が高く、ディズニーランドのアトラクションとしての方が馴染みがあった
   りして〜!やはり前3作を観ていた方がより楽しめるだろう。
   1作目の冒険活劇としてのレトロな気品の高さ
   2作目のジェットコースター・ムービーとしての楽しさ
   3作目の思い入れたっぷりに風格を出そうとしてモタついてしまうテンポの悪さ
   これらを全てひっくるめて1本にした、良くも悪くもスピルバーグ!な印象。
   もちろんサービスは満点!見どころも一杯!だが、あまりに多くの仕掛けがあり
   過ぎるのか?VFXが大げさ過ぎるのか?1本の映画としてのまとまりやインパク
   トは1作目や2作目には残念ながら及んではいない。
   しかし往年のファンがニヤリと喜ぶようなシーンも多く、何よりルーカスとスピ
   ルバーグという映画青年がすっかり中年コンビとなった今も、なおも元気に新作
   を作り上げてくれて、それが観られるというのが、とても幸せな気がする。


 ナルニア国物語/第2章
 カスピアン王子の角笛      
 

   原作者の遺族の要望で原作者の兄弟に似た役者を!という縛りで選ばれた地味で
   垢抜けない4兄弟もそれなりに育って、特に長女と次女の2人は「ああ、不細工
   だと思っていた娘達もこんなに可愛く大きくなって〜!」っと親心にも似た「萌
   え」すら感じてしまうのは私がオッサンだからだろうか?
   今回は新登場のカスピアン王子のイケメンっぷりに、残る男兄弟たちはすっかり
   食われっぱなしで可愛そうだが、まあ仕方ないか!監督は前作同様「シュレック
   」のアンドリュー・アダムソン。ディズニー作品なのでクセなく品良くまとめな
   ければいけなかった、その責任は十分果たした感じがする。オーソドックスな演
   出方法で前作以上に手堅く楽しませてくれる。
   VFXシーンの多くをWETAがやっていたり、ロケ地がニュージーランド丸出しの
   大自然なこともあって、ビジュアル的にどうしても「ロード・オブ・ザ・リング
   」とカブる部分が多いのが残念だが、肝心のVFX技術的は「ロード・・」の時代
   よりさらにグッと技術進歩した印象で、VFXファンは必見!
   ただ作品全体の美術センスなどは「ロード・・」の方が素晴らしかったし、キャ
   ストの魅力も「ハリー・ポッター 」には敵わない。そんな難しい立場のこの作品
   の今後にどれだけ期待して良いのかは疑問が残る。出来は良いが、マニア色が弱
   いので、少なくともDVDが出ても買わないだろう事も確かかも・・。


 ミスト               

   「あの霧の中には何かが居る!」ってムチャクチャB級ホラ〜臭いこの作品!
   それもそのはず原作はホラー界の帝王・作家スティーブン・キング! 監督は「
   ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」といったS・キングの原作ながらも
   ホラー色の薄い作品を大ヒットさせた実績を持つフランク・ダラボン監督。
   正直言って予告編を見ても、まったくそそられなかった私だったが「映画史上か
   つてない、震撼のラスト15分!!」というコピーに釣られて出掛けてしまった。
   実はこのラスト、監督が原作とは異なるアイデアを思い付いて作者のキングに連
   絡、キングも納得して映画に採用となったものだとか。ね?見たくなるでしょ?
   アメリカの田舎町、謎の霧に包まれたスーパーマーケットに閉じ込められた人々
   の密室心理劇。舞台化も可能かも・・。でも霧の中の「何か」の映像は具体的に
   出さなくても良かったんじゃ?途中からポロポロと登場し始める実体物に少々ガ
   ッカリしたりして〜・・・。やっぱ基本的にはB級だわ〜こりゃ〜!「エイリア
   ン」など過去の映画の方が数倍品格があったよな〜、ってでもキングのファンに
   は、久々のB級ホラーテイストな怪獣映画(←わっ!言っちゃった〜!)として
   楽しめるかも・・・。
   こういう観念的なモンスターものだったら、私はM・ナイト・シャマラン監督の
   作品の方が好きかな〜・・・。


 スパイダーウィックの謎        

   80年間、屋根裏部屋に封印されていた「謎の書」を開けてしまった子供達は!?
   って、それ「ジュマンジ」や「ザスラー」と一緒なんじゃ?と期待はイマイチだ
   ったが、どうしてどうして、非常に良質な作品に仕上がっていた。
   何よりもVFXというか特殊効果が素晴らしい!クリーチャー・デザインは・・・
   ありゃ!フィル・ティペットだって!「クローバー・フィールド」でコキ下ろし
   たばかりの彼がこちらでは本気モード?それもそのはずVFXはあのILMが担当!
   久々に上質のビジュアルトリックが存分に楽しめる。そしてそんなVFXに振り回
   されがちなドラマ部分の演出も、これまたしっかりと楽しめる点が本作の良いと
   ころ。そんな手堅い演出をしたのはマーク・ウォーターズ監督。母娘の身体が入
   れ替わるジェミー・リー・カーティスとリンゼイ・ローハンの「フォーチュン・
   クッキー」を手掛けた監督。主役は「ネバーランド」「チャーリーとチョコレー
   ト工場」でもお馴染み、天才子役と呼ばれるフレディ・ハイモア。
   この手のファンタジー作としては非常にバランスの取れた秀作としてオススメ!
   満点をあげたいけど、期待しすぎると困るんで★3つ半ってところで!


 クローバーフィールド HAKAISHA      

   観る前からネタバレ情報も含め、周りで賛否両論の声が聞こえた問題作!
   予告編で飛んでくる自由の女神の首チョンパの造作がイマイチな感じもして劇場
   に足を運ぶのを正直ためらっていたが、怪獣映画で育った特撮親父としては避け
   て通るワケにもいかないだろうと、腹を決めて観て来ました。
   「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のように、素人が撮ったというホームビデ
   オ映像が全編で、そこに突然の大惨事、手ぶれ・ピンボケ・下手くそズームなど
   など、真面目に観ていると確実に船酔い状態で気分の悪くなる画像の嵐に、素晴
   らしく巧妙にVFXやCGが合成され、大惨事に右往左往する市民達の視点だけで見
   せるというアイデア一発な作品!
   あの9.11事件を彷彿とさせるのは、あの事件の報道画像のほとんどが素人撮影の
   もので、手ぶれやピンボケなど、プロではNGになるはずの下手なカメラワークが
   逆に画像に一層のリアリティーを加えていた、といったとこからのアイデアのせ
   いもあるだろう。
   しかしそれだけのことで、この妙なリアリティーは、この手の作品を「娯楽映画」
   として楽しむためには邪魔!ありそうであり得ない状況を「ウッソだ〜!」とツ
   ッコミを入れながら楽しむには、あまりにも残酷だ。だから夢が無い、洒落っ気
   もない、感動もない、美しくない、子供っぽい、くだらない。まあ一言で言えば
   「リアルだけど夢も希望もない作品!」というところか?
   メインのクリーチャーは、なんとあのフィル・ティペットが担当。ああ、そう言
   えばSWのランカーに良く似た品の無い「大ブス」だったわ!あいつ・・・。

 王妃の紋章              

   チャン・イーモウ監督の新作は久々にコン・リーを主演に迎えた超大作!いやは
   や、それはそれは絢爛豪華!衣装の凄さ!美術セットの素晴らしさ!これを見る
   だけでも入場料分の価値すら感じる華やかさ!
   ストーリーは後唐時代の王家一族の家族内のドロドロとした人間関係の話だが、
   史実に基づいたものではなく全くのフィクションなので、題名から忠実な歴史劇
   を期待してこの作品を観に行くと、突然現れる忍者集団のワイヤーアクションに
   唖然としてしまうかも知れない。流れとしては「HERO」「LOVERS」の路線に
   ムチャクチャお金を掛けた、という感じか?でも映画としてのアイデアでは前2
   作の方が優れていた気はする。
   人気監督となって1990年代後半に大作が続いたチャン・イーモウ監督は、大作
   作りに飽きて「あの子探して」「初恋の来た道」など低予算の作品をあえて精力
   的に作ってきた。そうした経験の後に作られた「HERO」「LOVERS」は経済効
   率も考慮された中で、娯楽性とアートのマッチングを見せてくれた成功例と言え
   よう。それを思うと今回はちょっとお金掛けすぎかも・・・。
   でもその分、見どころは充分!ぜひ劇場でこの馬鹿馬鹿しくも華やかな、時代ア
   クション絵巻を堪能していただきたい!
   あ、これは余談だが、北京五輪の開会式と閉会式はチャン・イーモウ監督が演出
   担当するそうな。どんな演出となるかちょっと楽しみ〜!


 魔法にかけられて           

   2Dのアニメーション世界のキャラが現実のNYに来てしまう、というディズニー
   のアニメ&実写のセルフ・パロディー作品。すでにやたらに宣伝しているし、予
   告編も何度も見ているので、もうすっかり観てしまっていたような気がしていた。
   マスコミの評判は良いようだが、私のようにディズニーで育ち、ディズニーを愛
   し、ディズニーを夢見た世代には正直少々複雑な心境にさせられる作品だった。
   まずはオープニング・シークエンスに登場する2Dアニメ!これがなってない!
   ってかこれがディズニー!?って思うほど品格のないニセ・ディズニー風味なの
   はガッカリ! まあ、リトル・マーメイド以降をディズニークラシックだと思っ
   ている世代には抵抗がないかも知れないが、あんなボコボコな輪郭の顔立ちがお
   姫様なんて許せな〜〜〜〜い!!!キ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ィ!!!って感じ。
   実際はディズニーはもう2Dアニメを作っていないので、この部分は外注されて
   るそうだ。まあそれにしても仕上げも悪いし、パロディーとしてやるにしてもも
   う少しクラシックに寄せて欲しかった、ってかもう作れないんだね〜・・・。
   実写に変わってからの主役のエイミー・アダムスはリトル・マーメイドのアリエ
   ルを具現化した様にチャーミング!X-MENのサイクロップス役からヘアースプレ
   ーなど大活躍のジェームス・マースデンもアホで人の良い王子キャラを好演。出
   番は少ないが悪い魔女役のスーザン・サランドンはアニメキャラを抜く迫力!姫
   を助ける現代の王子(?)パトリック・デンプシー、そのガールフレンドにイデ
   ィナ・メンゼル(ミュージカル舞台Wickedの緑の魔女役)などなど、キャステ
   ィングは素晴らしかった。でもそれらが生かし切れていたかは少々疑問。
   パトリック・デンプシーの娘役にあんなに素晴らしい子役を見つけておきながら
   その娘役がストーリーにあまり花をそえない脚本なのは、単に子供向け作品っぽ
   くにしたくなかったからだろうか!?
   アラン・メンケンとスティーヴン・シュワルツの素晴らしい楽曲の数々を、ミュ
   ージカル映画独特の洒落たセンスで表現できなかったのは、監督の音楽的な才能
   の低さか!? それにイディナを使ったのになぜ歌わせない!
   色んな動物にお姫様を手伝わせても良いが昆虫は止めてくれ〜!品が落ちる!
   などなど色んなところに不満が残ったし、ミュージカル・コメディーとしてもっ
   とカッチリまとめ上げて欲しかった。まあ楽曲が良かったので☆を半分オマケ!


 バンテージ・ポイント          

   珍しくアメリカ〜ンなサスペンス・アクションものを見た。大統領暗殺を企てる
   悪党と、その大統領を守るべきシークレット・エージェントのお話し。狭い街中
   での派手なカーチェイスシーンを見ると、大統領1人を助けるためならば、市民
   はいくらでも犠牲になって構わんのかいや〜!って疑問にも思うが、とにかく派
   手なドンパチを楽しむといった内容。しかし脚本は素晴らしく練れていて次から
   次に起こる事件に
ハラハラの連続。そして撮影と編集は悔しいほど上手〜い!!
   大統領狙撃事件の顛末を何回も時間を巻き戻してまた違う側面から見せる、と言
   う、黒澤明の「羅生門」に時間軸を逆行する「メメント」の面白さを加えたよう
   なアイデアは秀逸で、飽きることなく先が知りたくなる。同時多発テロ以降元気
   の無くなったハリウッドだが、政治的にも今のアメリカの立場みたいなことを若
   干意識した設定にもなっていて、これが今の日本人にドカン!とウケて大ヒット
   〜!というワケにはいかないだろうが、
ハリウッドの実力と技術の高さを思い知
   らされる、とても良くできた作品だった。


 テラビシアにかける橋         

   公開終了ギリギリで見に行った。気になっていた作品だった。画の得意な少年と
   想像力の豊かな少女との心の交流と秘密の遊び・・といったファンタジー作品。
   基本的に人間描写が上手く、イジメや嫌がらせの多い学校生活と、家庭の影響を
   大きく受けて育っていく子供達の立場が上手く演出されている。ただ想像の世界
   で遊ぶシーンになると「ライラ・・」と同じWETAが担当したVFXが登場し、何
   もそこまで・・・と思うくらいにCGによる表現をしているのがやや興醒め。あく
   まで想像の世界のお話しなんだから、ここはティム・バートンの「ビッグ・フィ
   ッシュ」みたいに、オモチャっぽい作り物とか着ぐるみでやって欲しかった気が
   する。しかし、全体はそれなりにエエ話に仕上がっていて、主人公の少年の成長
   が素直に微笑ましく思えた。


 ライラの冒険 黄金の羅針盤      

   1作目からすでに3部作として作る気パムパムなこの作品、やたらとTVで宣伝し
   てるので、ヒットしなかったら大変なことになるような・・・でもするかな〜。
   長い原作を2時間の映画に凝縮したのは「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリ
   ポタ」や「ナルニア」と同じ、そこを「ライラ・・」はどうやって見せていくか
   が勝負所だろう。導入部、登場人物が多くて説明もはしょってあるせいか、ちょ
   っととっつきにくくて、あれれ?
   それら登場人物の1人1人に「ダイモン」と呼ばれる守護神のような魂で繋がっ
   た動物が必ずCGで合成されていて、そのカット数は半端ではなく(あ〜CG屋さん
   じゃなくて良かった〜!)何だかとてもお金の掛かってる感じがする画作り。
   演出的には可もなく不可もなく、見どころはビクトリア王朝風の凝ったセットや
   小道具や衣装、それと意地悪そうな役がピッタリのニコール・キッドマン。
   VFXも頑張ってます、特に予告編でも目立っていたCGの熊!可愛いんだこの熊ちゃ
   んが!熊ちゃんの可愛さと比べると主役のライラってどうよ!って感じもするが、
   主役以上に華のある出来の良いCG熊ちゃんが今後どうなるか?と考えると、次回
   作もぜひ見たくなる。熊フェチ&熊好きにはオススメ!


 ウォーター・ホース          

   少年がネッシーの卵を拾って育てるお話し。ガメラか!?でも敵の怪獣は出てき
   ません。まずオープニング、ネス湖に観光にやって来たカップルが店の壁に貼っ
   てある有名なネッシーの写真記事を見つけて、これってウソなんでしょ?な〜ん
   て話してると、おやおや君たち・・・と1人の老人が声を掛けてきて・・・って
   あまりにも古くさくありきたりな展開から始まるので失礼ながら呆れて失笑して
   
しまった。この作品は全体にそんな感じで、よく言えばオーソドックス、悪く言
   
えば古臭〜い脚本、しかしそれを丁寧に演出している、そんな映画だ。
   見せ場はやはりロード・オブ・ザ・リングのWETAが担当したネッシーのVFX!
   CGのネッシーに人間が、触る・乗る・紐で引っ張る!
とかなり「接触させる」こ
   とにポイントを置いているのは、
がい骨剣士とのチャンバラシーンを作り出した
   特撮の神様レイ・
ハリーハウゼンを意識してのことだろう。水の扱い、ナイトシ
   ーンでの合成、そして水中シーンと、難しいカットも手堅くこなして良い仕上が
   りだ。ネス湖湖畔のロケーションも綺麗に表現されている。
   実は私は昔、ネッシーが棲むというネス湖を一目見たいと
スコットランドのイン
   
ネス地方を旅したことがあるプチ・ネッシーマニア。なのであの辺りの水の色
   本当はウーロン茶みたいな茶色だし〜、あんなに透明感は無いんだよな〜とか、
   
あの子供ネッシーのキャラデザインは少々可愛く媚び過ぎだよな〜とか、マニア
   としては正直色々と突っ込みどころはあるのだが、映画は全体的に丁寧で実直な
   
作りだしちょいと戦争批判も入っているし、小さな息子が居たらぜひ一緒に連
   
れて見に行きたい!そんな気持ちにさせる作品だった。


 スウィニー・トッド
 フリート街の悪魔の理髪師 
     
 

   ティム・バートン監督の新作はブロードウェイでトニー賞8部門を受賞している
   
人気ミュージカル「スウィニー・トッド」。主役の殺人鬼にお馴染みジョニー・
   ディップ、パイ屋の女主人にヘレナ・ボナム・カーター、おまけに内容はバート
   ン監督が得意とする猟奇的なホラー色の強いお話し!とワクワクするような取り
   合わせなのだが、全体にノリが
少々悪い。それはこの作品がオリジナルのミュー
   ジカルの楽曲に縛られ過ぎていて、本来は台詞で進めるべき部分も朗々と歌って
   しまうという、映画的なテンポを見失ってしまっているからだと思う。
   最近では「ヘアースプレー」といった傑作も生まれているが「オペラ座の怪人」
   「プロデューサーズ」など、
映画化にあたって舞台の面白さを越えられなかった
   凡作も多く、この作品もそのあたりの吹っ切れがイマイチで、
バートン独自の怪
   奇美のようなセンスは画面からは感じられるし、あの
ジョニー・ディップの歌声
   が聞けたりと面白い部分はある
けれど
、陰惨なお話しだけに後味も悪くて、どう
   だった?と聞かれると「う〜ん、そう悪くは無いんだけどね〜・・・」といった
   イマイチ半端な感想で終わってしまうのは残念。


 ペルセポリス      

   「ペルセポリス」というのは、ギリシア語で「ペルシャの都市」という意味だそう
   だ。「ペルシャ」つまり今の「イラン」が舞台のこのお話し。イラン人のマルジャ
   ン・サラトビという女流作家が自伝的な物語をコミックスとして発表し、そのコン
   トラストのハッキリした独特なモノクロームの画風と、イランという若干マイナー
   な国に生まれた女の子の半生をユニークに語る内容が評判になって大ヒット、相次
   ぐ映画化のオファーを受けたそうだが、あえて自身の手でアニメーション映画とし
   て仕上げた、という異色作。
   単純なラインで描かれたキャラクターは、そのデザインに好き嫌いはあるかも知れ
   ないが、アニメーション作品用に考え出されたグラデーションを使ったモノトーン
   の背景美術は、それらキャラクターを上手く引き立たせて、全体のアートワークの
   質を上げている。以前にモノクロの短編アニメーションの監督経験があったという
   共同監督ヴァンサン・バロノーとのコンビネーションも良かったようだ。
   ふざけ過ぎず、真面目過ぎず、独特の口調で淡々と語られるその内容も、イランと
   いう政治的に不安定な社会の中で、宗教的な圧力も感じつつ、女の子として生まれ
   育ち感じたことを、アニメーションならではの誇張と口当たりの良さで、最後まで
   飽きさせることなく見せてくれる。ドラマチックで大きな結末が待っているワケで
   はないが、じっくりと、そしてしっとりとした気分にさせられる、子供向けではな
   い中学生以上にオススメのアニメーション映画。
   http://persepolis-movie.jp/


 ルイスと未来泥棒        

   ピクサー作品以外に、なかなか傑作の出ない3DCGアニメ界。この作品も劇場で予
   告編を目にした時は「またか〜・・」と望み薄だったが、意外や意外!なかなか素敵
   な出来のディズニーの3DCGアニメ作品に仕上がっていた。それもそのはず契約切
   れ寸前で再びピクサーとの二人三脚続行が決定したディズニー。お陰でこの作品が何
   とあのジョン・ラセターをエグゼクテ
ィブ・プロデューサーに迎えた初めてのディズ
   ニー・アニメーション作品となった。
   「チキン・リトル」などと言うフ抜けた作品を作っていた彼らの元にラセターが現れ

   すでに85%も出来ていたこの「ルイス・・」にダメ出しを連発して、新たに何と60
   
%もの修正させた!と言うだけあって、シナリオと演出に関しては、ピクサー社の
   新作と言っても良いほど面白いアイデアがギュギュッと詰まった内容となっている。
   もちろんCG表現としてはピクサーには敵わない部分は多いにしろ、映画に大切なの
   は何か!?改めて考えさせられるディズニー・マジックならぬ、ラセター・マジック
   を見
せられた気がする。
   原題は「Meet The Robinsons」未来に行ってロビンソン一家と会う!といったお話
   し。ロビンソン一家と言うよりも、昔のハンナ・バーバラ製のTVアニメ「宇宙家族
   ジェットソンズ」一家のようなレトロ・フューチャーな未来世界のデザインや色彩も
   楽しく、そんな世界観の中でテンポの良いコメディーが繰り広げられる。デザイン的
   にはちょっと「ロボッツ」にも似ているが、面白さは段違い。やっぱり映画は予告編
   やTVのスポットに惑わされてはいけない!本気でオススメの一編!
   あ、ちなみに飛び出す3D立体映画版の公開もやっていたけど、さすがには先の「ベ
   オウルフ」で懲りたので、今回は2Dの吹き替え版を見ました。これも正解!



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