フライボーイズ          

   第一次大戦中にフランスに実在した「ラファイエット飛行隊」のお話し。当時発明さ
   れたばかりの飛行機(複葉機)が早速戦争の兵器として使われ始めた時代の物語だが
   反戦のメッセージは薄く、どちらかというと古きあの時代へのロマンチズムと、航空
   機マニアなら必ず驚喜する、複葉機同士のドッグファイト・シーンが売り物。
   CG全盛の映像界だが、確かにこの複葉機の空中戦はアイデア賞ものかも知れない。
   
実写も含めてどう撮っているのか?な〜んて、もはや考える間もなく、アクロバティ
   ックな
動きを見せて複雑に絡み合い打ち合う複葉機の「群れ」それをカメラがまたダ
   イナミックに縦横無尽に追従する。その映像は実に良くできている。これは
CG特撮
   の時代になったからこそ可能になった表現だ。
   もちろん何基もの複葉機が太陽に向かって編隊を組んでカメラをかすめて飛ぶと言っ
   た、ロマンティックな見せ所もしっかり押さえていて、夢は大空を駆ける!感じ。
   肝心なドラマ部分は「メンフィスベル」など、同様の青春戦争映画と比べると平均的
   な出来には感じたが、この時代の軍隊、そして
飛行訓練風景の描写など、衣装・美術
   の作り込みもしっかりとしていて美しく、
航空ファンや軍隊ファン以外でも充分楽し
   める面白さがあるし、劇場の横長のシネスコ画面で楽しむにはピッタリ!
   しかし、やはり蛇の道は蛇。この「男のロマン」的な作品を見逃すまい!と、
観客は
   それらしい航空マニアっぽい男性客がほとんどだったのには笑ってしまった。


 ベオウルフ 呪われた勇者 3D      

   ロバート・ゼメキスが監督した北欧を舞台とした伝説的な王様のお話。以前「ポーラ
   
・エクスプレス」という作品で、トム・ハンクスの顔にたくさんのポインターを描き
   込んで、それをデータ化しCGキャラクターとして登場させて話題になったパフォー
   マンス・キャプチャーという技術をさらに発展させた作品で、予告編で観ると本物に
   見えるアンジェリーナ・ジョリーを始め、登場する人物はすべて良く見るとみ〜んな
   CGで出来ているという、少々不気味な作品。これだけなら見に行く気はしなかった
   のだが、今回は「ポーラ・」と同様に立体映画として制作されており、以前とはちょ
   っと違う方式っぽかったので、近所のシネコンにどれどれと出掛けてみた。
   昨年にも3D版の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」や「チキン・リトル」な
   どがDLP上映とポラレンズの組み合わせで公開されていたが今回はZ-Screenレンズ
   という表面が虹色に輝く新方式のメガネで、見た目はポラレンズに補助のための赤青
   アナグリフ方式をちょっと混ぜた混合スタイルのような気がした。劇場の説明では、
   スクリーンも反射率の高いシルバースクリーンに替え、DLPで左目・右目のデータ
   を1フレームにつき3回ずつ(合計6回)1秒間に144フレームも投影しているそ
   うな・・・。144フレームは分からなかったが、左右の分離はこれまでになく良好
   で、頭を傾けてもキチンと分離する優れもの。3D演出に慣れたゼメキス監督作品な
   ので立体感も素晴らしく、なかなかの迫力はあった。立体映画好きにはオススメ!
   まあしかし、上映時間は1時間54分あるので、さすがの新方式メガネも目と耳への
   負担は変わらず、途中からガマン大会か罰ゲーム状態になるのはいたしかたないか?
   肝心の映画の方は、主役の王様が突然素っ裸になって怪物と格闘したり、ドラゴンの
   表現にいくつかの新しい表現があったりと、部分的には面白いところもあるが、CG
   キャラも気の入ったいくつかのカットはハッとさせるが、気が入っていないキャラは
   動きが「シュレック」並みにヘッポコだったりで、CG技術の進化は感じたが、映画
   としてあまり誉められた内容には正直感じられなかった。



 タロットカード殺人事件     

   評判が良い割りには 上映館が少なかったウッディ・アレンの新作を、銀座に出掛け
   たついでに、やっと観てきました。
   W・アレン監督がアメリカを離れ、イギリスを舞台に制作した、これが2作目にな
   るのかな?様々なタイプの映画を作るW・アレンだが、今回はサスペンス・タッチ
   のコメディーで、メガネ姿がセクシーなスカーレット・ヨハンソンもとてもチャー
   ミング!監督自らも出演して相変わらずのダメ男っぷりな役所も楽しい大人の映画
   だ!その知的で都会的なセンスはやっぱりW・アレンだな〜!と、その才能を充分
   に感じさせてくれる。僕の大好きな「カイロの紫の薔薇」にも通じるように、登場
   人物も少なく、制作予算も凄く掛かっているわけではないのに、アイデア次第で映
   画ってこんなに面白く出来るんだ!と感心させられる、W・アレン独特の小洒落た
   センスの良さが光る1品!

 スターダスト          

   このところ劇場でも似たようなVFXを売り物にしたファンタジー作品の予告編を多
   く見かけるので、正直言ってかなり食傷気味になっている。この「スタ ーダスト」
   も同様で、予告編を見る限りは全く魅力的には感じなかった。しかし1 つだけ気に
   なっていたのが、この映画の監督があのマシュー・ボーンだということ。
   マシュー・ボーン(この作品からヴォーンと記載されている)はイギリ スのバレエ
   の演出・振付家としては超有名な人。特に男性バレリーナばかりで構成 された斬新
   な「白鳥の湖」(トロカデ何とか言うコミック路線のオカマバレエ団と は別物!)
   が有名で、最近では舞台版の「メリーポピンズ」や「シザーハンズ」な ども手掛け
   ている才人。そんな彼の映画監督デビュー作がこの「スターダスト」だ。
   なので、単なる雇われ監督が作ったヘナチョコなファンタジー作品とは ひと味もふ
   た味も違う、いわゆるスタンダードな演出方法ではなく、必要最小限の 台詞で話を
   どんどん進めるそのテンポの良さは、映画監督としても何かただ者では ない新しい
   テイストを生みだそうとしている妙なクセを感じる。
   しかし全体的には前衛に走ることなく、VFXの見せ場も多く、またミシェル・ファ
   イファーやロバート・デニーロの怪演っぷりも上手くコントロールされ ていて、デ
   ート・ムービーとしても充分楽しめる、分かり易いコメディータッチの ラブ・ファ
   ンタジーに仕上がってるので、毛嫌いして見逃さなくて良かった!と思えた1本。

 ALWAYS 続・三丁目の夕日     

   公開前に第1作のTV放映があったせいもあってか、劇場に集まったほとんどの観
   客には、すでにそれぞれのキャラクターに思い入れがあるようだった。なんと幸せ
   なシリーズ作品だろう。

   そんな
観客の期待を裏切ることなく、いや、良い意味で裏切るお茶目なシークエン
   スで始まる続・三丁目の世界は、前回以上に時代考証にも力を入れ、確実にバージョ
   ンアップ、
第1作から数ヶ月後という、時間的には全くの「続き」のお話ながら、
   練りに練った脚本でタップリと楽しませてくれる。特に今回の台詞まわし、その言
   葉の1つ1つが美しい。良く書かれた本だ。
   
また山崎監督第1作の「ジュブナイル」から際立っていた子役に対する演出の上手
   さにはさらに磨きが掛かり、その生き生きとした子役達の演技には泣かせられる。
   こんなにいい人ばかりじゃなかっただろう昭和の美しい思い出、綺麗すぎる小雪も
   汚すぎる吉岡君も、全てはその時代に生きた、あの時代に「子供だった人」という
   目線で作られた、美しい思い入れがこもった児童映画的な作品だ。
   何よりも評判の高かった前作の続編としてのプレッシャーも多い中、これ以上の出
   来は望めないだろう。
   監督・脚本・VFXと1人3役で立派にまとめ上げた山崎貴監督に「よく頑張ったね!」
   と、心から拍手を送りたい


 ヘアースプレー          

   御存知とは思いますが、この作品は「ピンク・フラミンゴ」などカルト映画作家と
   
して有名なジョン・ウォーターズ監督が1987年に制作したニオイ付き映画、つま
   
りあらかじめ渡されたシートを上映中に画面に指示された番号に合わせてスクラッ
   
チすると、その場面にあった香りが楽しめる!と言う少々キワモノっぽい作品が
   
型で、それをブロードウェイで2002年にミュージカル作品化して上演したもの
   
が大ヒットとなり、さらにそれをまた映画化したというもの。
   
ミュージカル作品の映画化って、実はとても難しいものがあって、ここんとこ公開
   
された作品の中にも、あえなく玉砕!ってか、映画化した価値ないじゃ〜ん!って
   
思わず叫びたくなるような駄作・凡作が正直言って多かった。
   実は私はブロードウェイ・ミュージカルの大ファン。この作品も当然NYで観てい
   る(
エッヘン!)。素晴らしかった〜!
   さらに今年の夏、ブロードウェイから日本にワールドツアーと称して来日し上演さ

   
れた舞台も観ているのだが、これはダメだった〜! やっぱりミュージカルって「
   生もの」だな〜と実感。だから今回の映画版を観るのが少し怖かった・・。
   しかし、そんな不安は吹き飛んだ!素晴らしい出来映えだ!
   監督のアダム・シャンクマンは振付師。「ヘアースプレー」がもし他の監督の手
   に委ねられるなら私死んじゃう〜!と断言するほどこの作品を心から愛する人。
   でも観客としては、作り手の思い入れよりも映画監督そのものとしての力量が肝
   心!彼はその期待に充分応えてくれた。ありがとうね、アダム!
   舞台版の呪縛から解き放たれた新しい映画版「ヘアースプレー」。 良いです!
   オススメします!オスギです。じゃないけど。良いです!


 ファンタスティック・フォー/銀河の危機  

   ラリホ〜♪ラリホ〜♪ラ〜リッルッレッロ〜って、どうしてもこの歌を歌わな
   きゃ〜気が済まない往年のSF好きには面白いんじゃ?だって、あのシルバーサー
   ファーが登場するんだよ〜!
   
アメリカでは人気の高いこのマーベル・コミックのキャラ。考えたら前作も観て
   いないし〜、何だかX-menとゴッチャゴチャになってるし〜、ってか、そもそも
   シルバーサーファーって誰!?とか言ってる日本の若者には、あまり興味の湧か
   ないシリーズかも知れない。ゴム人間とかオッサンだし・・・。
   でも
前作同様に、特別に目新しいビジュアルやアイデアがあるワケではないが、
   お子ちゃまからお父さんまで楽しめる丁寧な作りになっている。まあ前作よりも
   ネ〜ちゃんの脱ぎっぷりが悪くなってるのはブ〜!ブ〜!だが、予告編で感じた
   印象より面白く観られて、後には何も残らないけれど暇つぶしにはなるんじゃ?


 河童のクゥと夏休み        

   話題作ラッシュのサマーシーズンに意外にひっそりと公開中!?あの大傑作「映画
   ク
レヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツオトナ帝国の逆襲」の原恵一監督の新作を観
   
に行ってきました池袋〜!もっと拡大公開しちくり〜!
   題名が示す通り、河童のクゥと知り合った少年が過ごす夏休みのお話し。って〜!
   そのまんまやないけ〜!もう少しジブリみたいに小洒落た題名考えつかなかったん
   かいな〜・・!で、始まってみたら、
これまた凄んご〜い直球な演出! あれ〜?
   これってひょっとしていわゆる「教育映画」だったの〜!? しかし・・・

   まずはこの監督の演出の的確なこと!奇をてらわず実直に丁寧に「日本人の今」を
   描き出している。そして脚本、これも全く奇をてらわず、今の日本人の自然な会話
   を表現している。回りの大人に「おネィさん!
おネィさ〜ん!」とすぐに取り入る
   クレヨンしんちゃんとは真逆な主人公。これが現実!これが今の日本人!そうした
   
の日本人に警鐘を鳴さんと、原監督が実に良い日本映画を作ってくれた!見終わ
   
る頃にはすっかりホッコリした良いコンコロモチにさせてくれる。こうした純粋な
   
品に、いつまでも涙が止まらない自分でいたいものだ。
   アニメ技術的には、クゥと出合う家族のキャラデザインなど、これでいいの〜!?
   とモノ申したいくらいウルトラ地味だったり、動画枚数や仕上げの感じとか、もう
   
少し頑張って欲しいな〜と思う部分も正直言ってあったが、
地味ながらも気取らず
   
スカさず、ジックリと手堅い演出力で2時間18分をまとめ上げた原監督には拍手を
   送りたい。
そしてこれを機についにクレヨンしんちゃんの呪縛から解き放たれた原
   監督の生んだ、ジブリ作でもなく文化庁推薦の真面目すぎる教育映画でもない、新
   たな味わいを持ったアニメーション映画の誕生に期待したい


 トランスフォーマー         

   S・スピルバーグとマイケル・ベイ監督が手を組んだこの夏の話題作。日本で生ま
   れた合体ロボットおもちゃが、アメリカで大きく育ってバタ臭いVFX映画になって
   帰ってきた!
   
注目すべきはそのリアルでトリッキーなVFX映像。特に初めてガシャンガシャンと
   その素晴らしいトランスフォーム
(変形)っぷりを披露するシーンには、思わず
   
「おお〜!」と声が出る。迫力を出すためか?アップ目の構図が多いが、遠景に
   
巨大ロボットが合成されているロング・ショットは、少年時代に誰もが思い描い
   た空想の
景色見事に実体化してくれた感じして、見ていてニマニマしてしまう。
   しかしお話しはロー・ティーン向け、と言うか?まさに「怪獣映画」のレベル。
   元々が合体戦隊モノだから仕方ないのかも知れないが、なぜか主人公の身の回り
   に都合良く起きる事件がやがて、
地球が!いや全人類(アメリカ)が!危ない!
   という国家的危機
に結びつき、最後にそれを解決する、という流れ。
   この程度の内容ならば、畳みかけるような編集で、2時間以内にテンポ良くまとめ
   
て欲しかった。ロボット同士の市街戦も迫力はあるが、どっちが敵でどっちが味
   
方か?見た目で分かりにくいのも眠気を誘う。演出はともかくVFXのスタッフは
   
凄く頑張っているので☆を半分オマケ!


 レミーのおいしいレストラン     

   ピクサー社の新作を見るたびに、その技術の高さに驚かされていつも落ち込む。
   「そうか、もう立体アニメーションの時代じゃないのかも・・・」と。
   ネズミが料理を作る!ってかネズミが主役って、ミッキーマウスをメインキャラに
   しているディズニーに喧嘩売ってるの!?と心配してしまう今回の企画だったが、
   そこは天下のピクサー社、前作「カーズ」からさらに進歩したその新しいアニメー
   ション表現は、ここ最近また増えてきた他のCGアニメ作品とは明らかなるレベルの
   差を見せつける、それはそれは素晴らしい極上品に仕上がっている!
   モーション・キャプチャーを使ってキャクラクターにいい加減な動きを付けている
   ヘッポコ・プロダクションに「これぞアニメーションだ!」と爪の垢でも投げつけ
   てやりたい気分!
   キャラクターの1つ1つが、ちゃんと<役者>として、完璧に<演技>をしている。
   そこに縦横無尽なカメラワークや、水や火や光といったリアルな状況表現も加わる
   
のだらたまらない!こりゃもう世界最高のアニメーション技術!と言えよう。
   監督は「アイアン・ジャイアント」「Mr.インクレディブル」のブラッド・バード。
   映画マニアな監督なだけに、単なるお子さま向けの安っぽいサクセス・ストーリー
   にしなかった姿勢は素晴らしい。しかしその分、話が少々高等向けになってしまい
   「モンスターズ・インク」あたりをピクサー作品のベスト1!カワイ〜イ♪な〜ん
   て言っている一般客にはちょっとテンポの加速度感が不満かも・・・。ジョン・ラ
   セター監督みたいに、グッと来るテーマを持たせつつ、ラストに向かって一気にテ
   ンポ良く分かり易くまとめ上げて欲しかった気がするのは贅沢か?
   ま、しかしながら「今これを観ないでいつ観る!」最新鋭の技術とセンスを、ぜひ
   この夏、おいしく御堪能あれ!


 アズールとアスマール       

   久々の4つ☆!この夏一番の傑作!
   
「キリクと魔女」でも有名なフランスのミシェル・オスロー監督の最新作。メリハ
   リの効いた美しい
画面が印象的だった「キリク・・」からさらに発展させた、CGを
   駆使したアニメーション作品
。キャラクターの動きにはCG独特の重みの無いヘンテ
   
コな部分も正直多々見られるが、この作品の一番の魅力は何と言っても、その全体
   の美術の美し
さにある。
   中間色の中に映えるビビッドな色の数々!そこに登場する白と黒のコントラスト!
   陰影が省略された衣装の中にややリアルに描き込まれた顔は、まるでクリムトの絵
   
のよう! 「CGで制作された意味を初めて感じた!」と言っても過言でないほど、
   
それはそれは観るものを酔わせる魔法のような美しさだ。
   もう1つ、この作品の素晴らしい所はそのお話し。どこかの昔話をベースにしたの
   か?と思ったが、これは監督のオリジナルのストーリーだそうだ。その強い意思と
   
しっかりしたメッセージには拍手!心打たれ、思わず背筋も伸びる思いがする。
   
日本語吹き替え版は高畑勲監督の監修。言語がバイリンガルになる表現など、吹き
   替え版ならではの良い部分も多くオススメ。そして何より、この美しい作品をぜひ
   
劇場のスクリーンで堪能していただきたい!


 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団   

   お馴染みハリポタの第5作目。監督はまた替わってこれが劇場用長編作デビューと
   なるというデイビッド・イェーツ。原作を読んだファンには今までで一番ダークな
   
お話しなので、それがどう映画化されるのか!?と不安の声も多かったようだが、
   暗すぎず明るすぎず、
第3作目からお子ちゃま路線も脱してイイ感じに育ってきた
   ハリポタの雰囲気を上手くまとめ上げた卒のない出来上がり。
   大きな見どころは無いが、個人的には呪文の特訓シーンで呼ばれた守護霊が杖の先
   から煙のような光跡を残しながら現れるシーンと、最後の激しい魔法対決で杖から
   出るCGエフェクトの美しさに見惚れた。
   
本作から登場したヘレナ・ボナム=カーター。出番は少ないが思わず「女版ジャッ
   ク・スパロウか!」とツッコミを入れたくなる奇人っぷりが楽しかった。


 ボルベール<帰郷>        

   「オール・アバウト・マイ・マザー」のペドロ・アルモドバル監督の最新作!
   今回は死んだと思っていた母親との再会の話。なのでムチャムチャ泣けるお話しか
   な?と思っていたら、むしろ喜劇に近いかも・・・。テーマは「女」または
「血は
   水よりも濃い」って〜ことかな?

   始めはバラバラとしていた話が途中からだんだんとくっ付きだし、最後には全てが
   繋がる、いや繋がらないで宙ぶらりんもあるけど・・といった展開はアルモドバル
   監督ならでは面白さ!
   
お得意の「赤」を基調とした美しい画面構成と共に、主人公の役柄に没頭しすぎて
   
大変だった!と言うペネロペ・クルスの美しさもインパクト大!
   耽美的で、大げさで、情熱的で、オカマ趣味な、この監督独特の「体臭」とも言え
   
るクセの強〜い映画だが、ハリウッドに毒されないこういう大人な作品が大手を振
   
って公開されるのは非常に歓迎したい!


 ダイ・ハード4.0          

   正直言ってこのシリーズは第1作から苦手。刑事物とは言え、犯罪を見せ物&娯楽
   化させているので、結
果としてこういうドンパチを「カッコイイ!」と勘違いする
   若者を増やす趣味の悪い「悪書」のたぐいだと感じるからだ。
   これがSFとか、現実的ではない設定ならファンタジーと取ろう、また実際にあった
   事件や犯罪を元にしているのならノン・フィクションと取ろう、
しかしこれはフィ
   クションなのに、ありそうもないけどありそうな犯罪映画、しかもそれを娯楽作品
   として妙に面白く作っているらからたまらない。見ていて素直に楽しめない。
   今作では、悪者に加担してしまった若きネット・ハッカーに現実の厳しさを諭すシ
   
ーンもあることはあるのだが、こういう犯罪はこれから実際に起こってもおかしく
   
ないし、その大元の大犯罪までとはいかなくても、小さな犯罪に対して、例えば正
   
しいコンビニの襲撃の仕方や、正しい人質の取り方や脅し方、といったようなこと
   
のお手本を見せているような映画を、大金を掛けてここまで娯楽色タップリに撮る
   
って、いかがなもんだろうか・・・と考え込んでしまう。
   映画はそんな心配をよそに、大悪党の仕掛けたサイバー・テロにまんまと
通信網
   
ズタズタにされたアメリカ合衆国が、交通事故やらビル崩壊やら大停電やら高速道
   
大爆発などなど、メチャメチャなパニック状態になる様子を楽しみながら、それ
   に身体1つで立ち向かうブルース・ウィルスの大活躍を「うわ〜!あり得ね〜ぇ!
   
」と叫びながら2時間9分、息つくヒマもなくハラハラできる仕上がりになってい
   
た。いいのか!?ハリウッド!9.11で懲りたはずなんじゃ? こんなにお金がある
   のなら、
そしてこんなに映画を作る技術があるのなら、もっと心が豊かになるよう
   な作品を作って欲しい!
馬鹿は死んでも治らない!って感〜じのファッキン・アメ
   リカンな1本。


 恋愛睡眠のすすめ         

   「エターナル・サンシャイン」に続くミュージック・ビデオ界の天才児・ミシェル
   
・ゴンドリーの監督最新作。
   
母親の住むパリにやってきた主人公の青年が、苦手なフランス語に苦労しながらも
   アパートの隣室に住む女性(シャルロット・ゲンズブール)に素直に胸の内を打ち
   
けられない、といった恋愛ドラマなのだが、主人公を監督自身に反映させたらし
   きプライベートな独白とも捉えられる、夢と現実がゴッチャになった彼の脳内の葛
   藤の世界を、段ボ
ル紙で出来たセットに住む「オレ様TV番組スタジオ」やら、
   お得意のスクリーン・
ロセスによるヘンテコな画面構成やら、めちゃめちゃアナ
   ログでカワイイ手作りのコマ撮りアニメーションなどなど、おとめ心が鷲掴みされ
   るような
手作り映像で綴られた「不思議ちゃんテイスト」な作品。
   全体にもう少し分かり易い構成になっていれば「アメリ」のようなクリーン・ヒッ
   トになったのかも知れないが、そのぎこちなく進むちょっとオタクなエピソードの
   中に、時折その感性の豊かさにウキュキュ!とくすぐられる
部分も多く、逆に「
   何だよ!これ?」と見て怒る観客もいるかも知れないが
、これはミシェル・ゴンド
   リーでなければ撮れない映画。彼のファンは必見!


 ゾディアック           

   デヴィッド・フィンチャー監督の最新作。1969年のアメリカ独立記念日に始まっ
   た謎の連続殺人事件のお話し。
   実を言うと個人的にデヴィッド・フィンチャー監督作品はあまり好きではない。彼
   も作品には人殺しや暴力を喜んで見せ物にしているような悪趣味を感じるからだ。
   でも今回わざわざ劇場まで足を運んだのは、この作品が実話を元にしていているた
   
め、当時の街並みを忠実に再現しようと、かなり大胆にCGを使っていると言うん
   
で、その出来が気になったからだった。
   1969年と言うと40年近くも前の事だが、この事件は犯人自身が新聞やTVなどの
   マスコミに殺人の予告状を送ったりして、社会的にもスキャンダラスな事件だった
   ので、それぞれの事件が起こった場所は余りにも有名。いいかげんな画作りは出来
   ない!ということで当時の街並みや風俗を出来るだけリアルに再現しようと、VFX
   
技術が随所に使われた、というワケ。
   その出来は素晴らしく、恐らく日本の一般の観客には何の不思議も違和感もなく、
   普通のアメリカのサンフランシスコで普通に撮影された映像に見えるだろう。昔か
   ら「良くできた特撮は、その出来の良さから誰も気づかず、あまり賞賛はされない
   ものだ」という言葉があるが、これはまさにその通り!街並みから役者達の
衣装や
   髪型など
も含め、呆れるほど普通に70年代に見える。
   で、そんな特撮以外に肝心な映画としてはどうか?と言うと、ちょっと硬派過ぎる
   気もするが、長尺をものともしないサスペンスでグイグイと引っ張って飽きさせず
   恐らく原作には書かれていなかっただろうところまでキッチリと語られてチョン!
   
と終わる、なかなか骨太で見応えのある作品だった。パッとした派手さは無いが、
   観客を心理的にゾッとさせる手腕など見どころは多く
、なかなかの力作だった。


 プレステージ              

   「メメント」で一躍注目され、前作の「バットマン・ビギンズ」のヒットでさら
   に株が上がった感じ
のクリストファー・ノーラン監督の新作。因縁ある2人の奇
   
術師の命を掛けたバトルの物語。騙し騙され、そして驚愕のラストへ!
   
ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールって、早い話がX-MENとバットマ
   ンの戦い?なワケだし、脇役にもマイケル・ケインやスカーレット・ヨハンソン、
   
それに「ロード・オブ・ザ・リング」でゴラム役をやってた人、さらにあのデビ
   
ッド・ボウイまで登場させて、セットや衣装もゴージャスで、なかなかカッチリ
   と仕上がっているのだが、ど〜も華がない、と言うか何だか地味〜な雰囲気。
   才能ある2人の奇術師がお互いに秘密を持ちつつも競い合い、最後には殺人事件
   にまで発展するミステリー劇なのだが、結局2人の奇術師がお互いに競うことば
   かり、と言うかお互いを邪魔することばかり考えているんで、ちっともいい人に
   思えず、観客がイマイチ感情移入できないのがいけないのかも知れない。もう少
   し洒落っ気やユーモアそして何よりも華が欲しかった気がする。


 300 <スリーハンドレッド>     

   ほとんどの人物撮影をブルーバックやグリーンバックで行って、後処理でCGやエフ
   
ェクトなどのデジタル処理を掛けまくった、一大VFX作品。
   まずはそのデジタルてんこ盛りの画作りは想像以上に美しくアートしていて素晴ら
   しい!もう今は何でも出来るんだね〜っ!って、せっかくの技術に驚きを感じられ
   ないのは悲しいけれど、美術デザインや画面構成など、実に良く作り込んでいる。
   画作りばかりでなくドラマ的な部分も、それなりに固めてあり、悪くはないのだが
   結局は正義の名の下に戦うことを正当化してしまう内容はいかがなものかと感じて
   しまう。
   
「ロード・オブ・ザ・リング」がいかに気品があったか感じる。エンディング・タ
   イトルのグラフィックアニメーションも良く出来ていた。しかし筋肉モ〜リモリ!
   血の気もタ〜ップリな濃厚でバタ臭いバーベキュー風味のお話しにゲップが出たの
   か?エンドロールを楽しまずにさっさと帰るお客が多かったのが印象的。


 パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 
           
      
 

   お馴染み!って感じになったパイレーツ・オブ・カリビアンのシリーズ第3段!
   少なくとも前作である「デッドマンズ・チェスト」は見ておかないとね〜!
   上映時間170分!!!キャ〜!ってめっちゃ長いけど
サービス満点見せ場も一杯
   なノリの良さ!特にVFXが凄〜〜〜い! 前作はクラーケンの襲撃シーンなどにちょ
   っと荒っぽさも目立ったが、今回は凄い!ってか
VFXもここまで来たか!?って位
   
ILMがメインで担当してるだけあって、構図的に
美しい!とハッと見惚れるシーン
   も多く、
同じCGでも日本じゃ到底太刀打ちできないな〜、ゲゲゲと思うほどの大
   迫力!
こりゃビデオじゃもったいないですぜお客さん!ぜひぜひ
劇場にGO!です。
   シリーズ作品なので、それぞれのキャラクターに思い入れがあったりするファンの
   方たち、特にオーランド・ブルームや新参者だけどチョウ・ユンファのファンとか
   には人物描写で色々と不満もあるかも知れないが、各キャラクターに合わせてそれ
   ぞれ遊びや見せ場が用意されており、深いお話しじゃないけれど洒落っ気もタップ
   リあって
娯楽映画としては文句無くお腹一杯楽しめる1本でしょう。
   何よりこの作品、
撮影現場はきっと楽しかっただろうな〜、と、そんな現場の楽し
   
さが感じられる所もとても好感が持てた。
   この映画を記念して、いよいよ東京ディズニーランドの「カリブの海賊」も待望の
   ジャック・スパロウ登場バージョン
に変身するらしい!気になるやんけ!さすが
   ディズニー
商売が上手いな〜!


 スパイダーマン3          

   御存知!人気アメコミ・ヒーローものの第3弾。本国アメリカよりもいち早い日本
   公開、しかも
GW中!ということで話題性も高く、派手な御登場〜!って感じ。
   1・2作と同じサム・ライミ監督による今作は「復讐」をテーマにした内容。上映
   時間150分以上ってのは相変わらず長いな〜とは思うけれど、浅すぎず、深すぎず
   見せ場も満載で、登場キャラが多い割には、若者をターゲットにしたデートムービ
   ーとして良くまとまっている。
   何よりもVFXシーンは更にレベルアップしていて、特にバトルシーンのカット割り
   が素晴らしく、オールCGならばともかく、縦横無尽に動くカメラワークにどうやっ
   て役者の実写を撮影したのか!?
考えるだけでゾッとするほどの凝った映像。
   こういうVFXってビデオで観るとチャチに感じるので、ぜひ劇場の大画面で体感し
   て目を回して頂きたい!
   原作がアメコミなので、その「漫画的世界観」の
好き嫌いはあるとは思うが、3作
   目としての遊び心もあり、敵キャラとの心の交流がちょっと手塚治虫作品っぽかっ
   たりもあり、長いので観てお腹一杯にもなるし、多くを望まなければまあまあの仕
   上がり具合で「お疲れ様〜!」ってところ。


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