●NEW●

「シッコ」2007年・アメリカ

 監督・制作・脚本:マイケル・ムーア
 アメリカの医療制度に対して鋭く切り込むマイケル・ムーアのドキュメンタリー作品。
 日本でも社会保険庁のずさんな年金管理問題や、後期高齢者医療制度の是非など、問題
 も多いこのジャンルだが、アメリカの実状は更に深刻。それを実に分かり易く、かつ軽
 妙に示し、考えさせ、そして泣かせてくれる。非常に良くできた傑作!
 映画作りが手慣れてきたせいか、以前と比べると監督の熱血ボルテージが若干低くも感
 じるが、それでも忘れずに独自の悪ふざけ的なジョークも入れながら、ひたひたと静か
 にアメリカ政府に問
題定義をする、そのムーア節的な姿勢には脱帽してしまう。
 面白い! 是非とも敬遠せずに観賞して欲しい1編だ!


「サムサッカー」2005年・アメリカ

 監督・脚本:マイク・ミルズ
 原作:ウォルター・キルン
 大人になりきれない「親指しゃぶり」がモチーフのこの作品。予告編を見た限りで
 は、奇をてらったオフビート作品かと思っていたが、その実は思春期の少年と彼を
 取り囲む人々をテーマにした
とても素敵なお話しだった。
 監督のマイク・ミルズはCMやミュージックビデオではすでに有名な監督で、これが
 
編デビュー作となる。往々にして失敗作となりうる要素もはらんでいただろうが
 その出来映えは素晴らしく、画面の美しさばかりでなく「映像で説明する」という
 独自の映画文法も兼ね備えたその語り口は、人間の微妙な感情も表現する
不思議な
 テイストで、70年代の青春モノのよう
な甘酸っぱさすら感じさせてとても新鮮

 観終わった後、久々に画面に向かって拍手してしまった。
 歯科医役のキアヌ・リーブス、母親役のティルダ・ウィンストンといった大スター
 のハンドリングもさることながら17歳の高校生を演ずるリー・ブッチもバッチリと
 はまり役にしたのはやはりこの監督の手腕のなせる技なのでは?と感じた。
 久々のクリーンヒット!
これは強くオススメします!


「トランスアメリカ」2005年・アメリカ

 監督・脚本:ダンカン・タッカー
 性同一障害から女性の身体になるために性転換手術を望む中年男性が主人公。
 一世一代の大切な手術を1週間後に控えた時に警察から「貴方の息子と名乗る若者
 が逮捕された」と連絡が・・・。
 突然聞かされた身に覚えのない息子の存在。でもそうした状況を全て解決しなけれ
 ば手術は認められない!と担当セラピストに言われ、気の進まないまま警察に向か
 う。女性の姿をした自分をどう説明したら良いか悩みながら・・・。
 
現れた若者は間違いなく彼の息子。自分が父だと打ち明けられないまま2人のおか
 しなアメリカ横断ドライブが始まる。
 性転換(トランス・セクシャル)とアメリカ横断の旅(トランス・アメリカ)を掛
 けた洒落た題名のこの映画は、キワモノと思いきや家族の絆を描いた素晴らしい傑

 作!特に主役の中年男を演じたフェリシティ・ハフマンの体当たり演技は見事!
 この作品が劇場長編デビュー作となるダンカン・タッカーの演出力もさることなが
 ら脚本が実に素晴らしい!心優しくも強烈な物語に仕上がっている。オススメ!


「陽気なギャングが地球を回す」2006年・日本

 監督:前田哲
 脚本:長谷川隆/前田哲/丑尾健太郎
 映画を観た友人が、この最後のエンドロールに「森まさあき」の名前を見つけたん
 ですけど〜・・と聞いてきました。ハハハ、バレちゃった。
 この映画のプロデューサーから依頼されて、映画広報用にピンクの象のクレイ・キ
 ャラクターを作ったんです。
脚本も読ませていただき、撮影中の銀行の大セットに
 もお邪魔させていただき、なか
なか楽しい経験でしたが、結局は映画のイメージに
 そぐわなかったのか全〜く使われず、ギャング達のアジトとなる「喫茶ロマン」の
 
ットの壁の棚のガラス戸の奧にひ〜っそりと飾られただけで終わってます。
 注意して
良〜捜すと分かるかな?分からないだろうな〜・・・。
 肝心な映画の方は、日本映画には珍しいコミカルで洒落たタッチの作りで、何より
 脚本を読んだだけではこんなに面白い作品に仕上がるとは予想がつかなかったので
 ビックリ!
監督さんのこだわりと力量を感じるセンスの良い1本に仕上がっていま
 す。
次回はもっとお役に立ちたいな〜・・・。


「マダムと奇人と殺人と」2004年
 フランス・ベルギー・ルクセンブルグ合作

 監督・原作・脚本:ナディーヌ・モンフィス
 ベルギーのブリュッセルを舞台にした群像劇。「仕立屋の恋」に主演したミシェル・
 ブランがスキンヘッドの変な刑事役で登場。彼が追うのは連続美女殺人事件。一応
 犯罪ミステリーがメインなのだが、彼の行きつけの「突然死」という奇妙な名前の
 店に集まる個性的な中年達がこの映画の中心となる。
 元々が舞台劇なのか?と思ったが、すでに30作以上もの小説を出版しているこの
 原作を書いた女流作家の初監督作品だそうだ。
 何よりその美術がとてもユニーク!画面全体の色使い、衣装、そしてその雰囲気は
 ハリウッド映画には出せない「ヨーロッパの毒」とも言える不思議な魅力に溢れて
 いる。
マグリットなど画家の話や美術ネタがストーリーに絡んでいるのも洒落てい
 る。そして
登場人物の全てが、ひとクセもふたクセもある破天荒なキャラクターな
 のも面白い。まるで
ヨーロッパのアニメーションを見ているような、大げさ馬鹿
 馬鹿しく、それでいてアッケラカンと、人間賛歌を高らかに歌い上げている。ちょ
 
っとトボケたコメディータッチの不思議な作品。


「スカイ・ハイ」2005年・アメリカ

 監督:マイク・ミッチェル
 脚本:ポール・ヘルナンデス/ボブ・スクーリー/マーク・マッコークル
 ディズニー制作の学園コメディー。世界最強のスーパーヒーローを両親に持つ主人公
 の少年は、未だにどんなスーパーパワーが
自分にあるのか分からず悩んでいたが、と
 うとう
スーパーヒーロー養成高校「スカイ・ハイ」に入学する日が・・というお話し。
 ピクサーのCGアニメ「Mr.インクレディブル」にも似たシチュエーションだが、これ
 は実写作品。しかもアメリカン・テイストの楽しい特撮学園モノに仕上がっている。
 スーパーヒーローのタマゴ達がそれぞれにスーパーパワーを持ちながら、悩んだり、
 いがみ合ったり、パワー合戦を繰り返すのだが、VFXをCGばかりに頼らず、主に
 ワイヤー・ワークで飛んだり、投げ飛ばされたり、壊したり、というフィジカル・
 エフェクトにこだわっている点が素晴らしく、これらのシーンがどれもウソ臭くなく
 楽しめる。DVDにはそんな裏舞台を紹介したメイキング映像もタップリ。
 日本で作ると安っぽくなりそうなお話しを、ここまで正統的に作れるのは凄い。
 
スカイ・ハイ高校の校長先生があのリンダ・カーター!だというのも往年のファンには
 涙ものか!?
軽く楽しめる洒落たアメリカンな1本だ。


「ザスーラ」2005年・アメリカ

 監督:ジョン・ファブロー
 脚本:デビッド・コープ/ジョン・カンプス
 「ザ・スーラ」かと思ってたら「ザスーラ」だったとは!あ〜知らなんだ!
 原作が「ジュマンジ」と同じ作家で、しかも続編として作られたお話。兄弟が不思議
 なボードゲームをやると、出たカードと同じ事が現実に!って、な〜んだ同じじゃん
 今さらそんなの〜と小馬鹿にして劇場公開も無視していた。だってオレ「ジュマンジ」
 ってクソ映画だと思ってたから・・・ハハハ。 どうせ面白くはないだろうと、ヒマつ
 ぶしのつもりでDVDレンタルで観たら、あらやだ! 面白いじゃん!
 まず演出がしっかりしてます。子供用の映画だけど、子供をバカにして作っていない。
 そして何と言ってもビジュアル・エフェクトであります。上手い!ちょっとCG臭いと
 ころもあるけれど、なかなか丁寧な仕事してます。こりゃタダ者じゃ〜ない!って驚
 いた。メイキングを観たらなるほど、ほとんどのエフェクトを現場のフィジカル・エ
 フェクトやミニチュア撮影にこだわって作ったと言う。家のセットも巨大なジンバル
 (回したり傾かせたりする装置)
の上に作って、本当にセットを傾けている。
 こうした映像特典も含めて楽しめるのがDVDの良いところ。ルーカスやスピルバーグ
 の初期のフィジカルな特撮モノで育った、という若き才能ある監督に拍手!


「ハッピー・エンディング」2005年・アメリカ

 監督・脚本:ドン・ルース
 レンタル屋の新作コーナーで見つけたのだが、久々に拾い物だった。ベン・アレッ
 クスとグウィネス・パルトロー主演の「偶然の恋人」と同じドン・ルース監督作品。
 「ルームメイト」や「悪魔のような女」の脚本を手掛けた実績があるというこの監
 督は、恐らく映画学校出身であろう。複数の登場人物の愛憎関係を描いた群像劇な
 ので「マグノリア」や「クラッシュ」などにも通
部分も多いが、何よりもその
 語り口にこの監督らしい独特の視点と表現方法が感じられて、なかなか新鮮。特に
 脚本と編集が優れている。

 出演している
どの役者もハマっている。有名どころはローラ・ダーンとリサ・クド
 ロー位で売りが少ないせいか日本では劇場未公開作品だとか。
 何か面白いビデオ無いかな〜?という貴方にぜひ!って感じ。内容がお好みかどう
 
かはレンタル屋さんのジャケット裏解説を読んで確かめてね〜。


「隠し剣 鬼の爪」2004年・日本

 監督:山田洋二
 脚本:山田洋二/朝間義隆
 前作「たそがれ清兵衛」と同じ藤原修平の「隠し剣鬼の爪」と「雪明かり」という
 2つの
短編小説が原作の時代劇。そう言えば劇場で見逃してたな〜、とビデオにて
 観賞し
たが、やはり山田洋二監督だけあって時代考証やセット、言葉遣いなど、映
 画の細部までディティールを突き詰めた丁寧な作りには感心させられる。
 2つの短編を1つにまとめたお話しなせいか、秘剣の謎に関するハードな「隠し剣
 ・・」とプラトニックな恋愛物語「雪明かり」が若干分離した印象はあるが、日本
 語の美しさや、日本の家屋、衣装、所作、風景など、日本的な美しさ・優しさを堪
 能することが出来る。
 お城務め=サラリーマン生活、のような現代人と変わりない生活を象徴しつつ、日
 本人の心=武士道精神、といったものを改めて考えさせる主人公役を、主演の永瀬
 正敏が実に上手に演じているのも
素晴らしかった


「ビヨンド the シー」2004年・アメリカ

 監督:ケヴィン・スペイシー
 脚本:ケヴィン・スペイシー/ルイス・コリック

 37歳で逝去した天才的エンターテイナー、ボビー・ダーリンの生涯を、制作・脚本・
 監督・主演、さらには吹き替え無しの歌声やダンスまで披露したケヴィン・スペイシ
 ーの作品。
 まずは撮影が素晴らしく上手い!どのカットも照明が実に美しく「あ〜!日本じゃ、
 こういう画って撮れないんだよな〜!」と悔しく思うほど、絵画的な雰囲気のある
 画面には魅了される。また、母親役が「秘密と嘘」のブレンダ・ブレッシンって〜
 のもシビレる。彼女がピアノを弾いたり踊ったりするとは!芸達者なこと!
 また往年のミュージカル作品へのオマージュ的なダンスシーンは、そのダンサー達の
 キレの良い踊りっぷりが見事で、ハリウッドの底力も感じさせてくれる。
 肝心のお話しが劇中劇という少々複雑なストーリー展開をするあたりは、役者出身の
 監督らしくやや凝りすぎの感もあるが、そもそも何となくナルシスティックな雰囲気
 とクセのあるケヴィン・スペイシーという役者が好きか?嫌いか?というところで、
 この作品の評価は大きく変わるような気はする。しかし自ら披露する歌や踊りもさる
 ことながら以前から疑惑のあった「ズラ」まで取るという捨て身の攻撃?まで見せ、
 彼のこの映画制作に対する情熱をひしひしと感じさせる力作に仕上がっていると思う。


「エターナル・サンシャイン」2004年・アメリカ

 監督:ミシェル・ゴンドリー
 脚本:チャーリー・カウフマン
 ミュージックビデオの覇者ミシェル・ゴンドリーが「ヒューマンネイチュア」に続い
 て監督した作品。脚本は「マルコビッチの穴」など奇想天外な作風で売れっ子のチャ
 ーリー・カウフマン。今作もSFチックな要素はあるが基本的には恋愛映画と言える。
 複雑な展開と話の構造がユニークで、ビジュアル的にも凝った作品だった。特に編集
 が素晴らしく、記憶の断片と現実とを行き交うその持って行き方は、ジョージ・ロイ
 ・ヒル監督の傑作「スローターハウス5」を彷彿とさせる。
 主演はジム・キャリー。コミカル過ぎてクセの強い彼なので、私が今までこの作品に
 手を出さなかった理由もそれだったが、今回は非常に上手くセーブされた演技が素晴
 らしかった。相手役のケイト・ウィンスレットも芸達者っぷりを見せてくれる。
 さりげない特撮、と言うか、セットの構造を工夫した視聴覚トリック場面が随所にあ
 り、そこは映像派監督らしいセンスの良さを感じるが、何よりも人間ドラマの演出が
 これほど達者な監督だとは思っていなかったので、頭が下がった。
 好き嫌いは別れるとは思うが、見ておいて損はない、不思議な味わいの映画だ。


   

「Ray/レイ」2004年・アメリカ

 制作・監督・脚本:テイラー・ハックフォード
 劇場公開を見逃してしまったので、DVDにて観賞した。ソウル・ミュージックの天才
 レイ・チャールズの自伝映画。制作にはレイ・チャールズ自身も参加し15年という
 歳月を費やした
というだけあって、実に見応えのある作品に仕上がっている。
 監督はこの花園でもオススメしておる「黙秘」を撮ったテイラー・ハックフォード。
 彼の実力が十分発揮された作品と言えよう。主演のジェイミー・フォックスは新作の
 「ステルス」ではアンポンタンな役だったが、この彼は完全にレイになりきって、な
 んと!ピアノの演奏シーンも吹き替え無し!素晴らしい演技を見せてくれる。
 脇を固める役者陣も素晴らしく、音楽、それに美しい画面と、どこを取っても一級品
 の仕上がり。 DVDには監督の音声解説やカットされたシーンを復元したロングバー
 ジョンも収録されているので、劇場で御覧になった方もぜひ!といった内容。
 2005年アカデミーの主演男優賞・音響賞を受賞。ここまでカッチリ作り上げた作品
 には、そうそうお目に掛かれない気がする。


「エイリアンVSプレデター」2004年・アメリカ

 脚本・監督:ポール・W・S・アンダーソン
 劇場で見逃したのでビデオにて観賞。久々にビデオで面白いと思った作品。
 まずは脚本がとても練れている。素晴らしい!エイリアンとプレデターと言う、す
 んごく無理を感じるカップリングを、素直に信じさせくれる説得力がある。
 脚本・監督のポール・W・S・アンダーソンは「バイオハザード」で有名になった
 人物だが、彼の「イベント・ホライゾン」というSF映画も不完全ながら、なかなか
 見どころの多い作品だった。そんな彼が「バイオハザード」のヒット後、続編の「
 バイオハザード2」の監督役を断ってまで(脚本のみ参加)集中して撮ったのが本
 作品。さすがにSF好きの意地を感じる骨太な一品に仕上がっている。
 エイリアンは有名だけど〜プレデターって何者〜?っていう方は事前にオリジナル
 作を観ておいた方が良いかも・・。え!?エイリアンも観てないの?え〜!?ダメ
 じゃ〜ん!
 まあ〜言ってみれば、繁殖重視型の酸性ヨダレ星人と知的戦士型の透明カニ星人と
 
の対決!って感じかな〜?


「キリクと魔女」1998年・フランス

 制作・原案・脚本・監督:ミシェル・オスロ
 劇場公開を見逃したので、TSUTAYAの半額レンタルDAYにて観賞。
 お母さんのお腹の中から「もう生まれてもいい?」と、母親に声を掛け、勝手に生まれ
 てくる主人公キリクのお話は、期待していた以上にエキセントリックで魅力的だった。
 寓話的な内容に、美しい美術もピッタリで、とてもモダンで大人っぽく、フランスらし
 いちょっと爽やかでエロティックな部分も感じられ、
とかく不健康な題材の多いアニメ
 大国・日本の作
にはない、
幻想的でチャーミングなアニメーション作品だった。
 お話しもさることながら、全体の色設計がとても素晴らしいので、やはりビデオではな
 く劇場で観賞すべきだったかな〜!と少々反省。


「ドラムライン」2002年・アメリカ

 監督:チャールズ・ストーン。
 原案・脚本:ショーン・シェップス
 脚本:
チィナ・ゴードン・キスム
 2004年の劇場公開を見逃したので、ビデオにて観賞。アメフトのハーフタイムショー
 の花形であるマーチングバンドのバトル物語。まあ、早い話がブラスバンドの派手なヤ
 ツかな?私は中学時代ブラスバンドに所属していたけど、こんなにスポコン色が厳しい
 って言うか軍隊みたいなブラバンじゃ〜付いて行けなかっただろうな〜。でもその演奏
 っぷりは素晴らしく、アメリカ人って何でも楽しむことが上手いな〜と感心する。
 お話は
ほぼ黒人メインで進められるが、かなり正統的な作り、撮影も美しく、編集も無
 駄がない。
何よりもその演奏シーンが凄く面白く、熱い!久々にビデオで満足がいった
 一本でした。


「アレグリア」ALEGRIA

 これも映画作品ではなく、日本でもお馴染みなったカナダ・ケベック州を本拠地とする
 スーパー・エンタテインメント集団<シルク・ドゥ・ソレイユ>の人気演目「アレグリ
 ア」2001年シドニー公演の模様を収録したパフォーマンス作品。東京でも現在「アレ
 グリア2」を公演中。(2005年1月23日まで原宿・新ビッグトップにて)
 特設テントと言う空間を自由自在に使った彼らのパフォーマンスの
素晴らしさが、映像
 という中でどれだけ表現されているのか、気になってDVDを買ってみた。
 ビデオ収録のために新たに照明を調整し直したという画面は、とても美しく撮られてい
 る。アングルも凝っていて、彼らのパフォーマンスを未見の方や、わざわざ公演を観に
 行くのはな〜・・とおっしゃる方には特にオススメする。
 しかし、当然ながら実際のあの空間のダイナミックな雰囲気と、目の前で繰り広げられ
 る肉体の極致とも言えるあのパフォーマンサーの「生の熱気」「生の緊張感」には敵わ
 ない。編集も凝
てはいるが、もう少しじっくり見せてくれても・・とも感じる。でも
 まあ、映像を見るだけで満足し
てしまったら身も蓋もないんだもんね〜・・。
 特典映像として舞台裏の紹介やアーティストへのインタビューなどが盛りだくさんなの
 は嬉しい。ぜひまた公演を実際に観たくなる!そう言う意味では優れた作品かも?

「ブラスト!」blast

 映画作品ではなく「リバーダンス」のようなステージ・パフォーマンスのビデオ作品。
 日本には2003年に来日し東京では渋谷のオーチャードホールで公演を行った、アメリ
 カのパフォーマンス集団の2000年ロンドン公演の模様を納めたもの。
 金管楽器とパーカッションをメインにしたマーチングバンドに、ダンスやアクロバット
 など演劇的な要素を融合させた新しい感覚の音楽パフォーマンス。舞台装置や美術も斬
 新で、次から次へと見せる高度なワザは、その舞台演出も冴えていて最後まで全く飽き
 させない。何よりも出演者全員が輝いて見えるのが素晴らしい!
 惜しくも来日公演は見逃したが、このビデオでも充分その素晴らしさは伝わって来る。
 2001年のトニー賞で最優秀スペシャル・シアトリカル・イベント賞を受賞。ミュージ
 カルとはひと味もふた味も違うこんな高い芸術性を持ったパフォーマンスをお茶の間で
 楽しめるのは幸せと言えるだろう。

「サンダーパンツ!」2002年・イギリス

 原案・監督:ピーター・ヒューイット
 脚本:
フィル・ヒューズ
 オナラの威力で宇宙へ飛ぶ!子供時代に
誰もが考えそうな下ネタを、何とも楽しい映画
 にしてくれた。子供が主役の作品ながら子供に媚びず、イギリス人らしいシニカルな視
 点を持った演出も、テンポが良く冴えている。しかもテーマは
友情と希望!ハリウッド
 で作ったらきっともっとお子ちゃま映画になっていただろう。さすがイギリス!センス
 が良い。緑色をキー・カラーにした衣装や美術もキレイだ。劇場公開時も評判が高かっ
 た割には公開劇場が少なかった。やっとビデオ・リリースされたので、この機会にぜひ
 楽しんでいただきたい。


 

「ボウリング・フォー・コロンバイン」2002年・カナダ

 監督・脚本・主演:マイケル・ムーア
 アメリカの銃問題を扱ったドキュメンタリー作品という、その硬い印象から敬遠してい
 たが、メチャクチャ面白かった。どうりで近所のTSUTAYAでもいつも貸し出し中だっ

 たワケだ〜。オスカーも受賞したし、その授賞式での監督の熱弁が大きく報道されたこ
 とも記憶に新しいので、見た方も多いと思う。今さらながらの紹介かも知れないが、こ
 りゃ素晴らしい映画です。病めるアメリカの姿が浮き彫りにされる、何ともシニカルで
 熱い作品。う〜ん必見です!


「CQ」2001年・アメリカ

 監督・脚本:ローマン・コッポラ
 フランシス・F・コッポラの長男であるローマン・コッポラの初監督作品。60年代に生
 きるオタクな映画青年がプライベート・フィルムを撮りながら、低予算のSF映画の制作
 に携わるといった内容。60年代当時のファッションや雰囲気を再現しようとした点がポ
 イントで、劇中劇となる「バーバレラ」もどきのSF映画の特にミニチュア・シーン(ジ
 ーン・ウォーレンJr.が担当)が、いかにもローテクで、その撮影舞台裏までが垣間見ら
 れるのがほほえましい。
映画としては、映画学校出身のボンボンが偉大な父親のコネを
 使って集めた有名な役者やスタッフの協力を得て作った趣味趣味の青二才作品(うわっ!
 言っちゃった!)といった印象は否めないが、映画製作の舞台裏の雰囲気が見えるのは
 興味深い。DVDには各種メイキングや各種ドキュメンタリー(妹ソフィア・コッポラが
 撮ったものもある)が盛りだくさんなので、暇な時に借りて御覧になってはいかが?


「名もなきアフリカの地で」2001年・ドイツ

 監督・脚本:カロリーヌ・リンク
 とても美しく、しっかり撮られた映画です。VFXバンバンの映画ばかり見慣れてると
 特撮に頼らずにここまで正統的にカッチリと画を作り込むその姿勢(ズームレンズ・
 ショットだけはやめて欲しかったけど)にまず感動してしまいます。ナチスに追われ
 て故郷を捨てケニアに移住したユダヤ系ドイツ人家族の愛と葛藤、という地味で真面
 目なお話しですが、この女性監督のエネルギッシュで素晴らしい才能と、ドイツのス
 タッフの底知れぬ実力を感じます。ちょこちょこっと海外ロケして文芸大作だ!と勘
 違いしている日本映画人に爪の垢をお見舞いしたい感じ。しかしあのイナゴの大群は
 本物だったのかな〜?


「アバウト・シュミット」2003年・アメリカ

 監督・脚本:アレクサンダー・ペイン
 ジャック・ニコルソンが定年退職を迎えた冴えない中年紳士を見事に演じた作品。
 洗練された演出と編集が素晴らしい。小津安二郎的な日本映画を彷彿させるロード・ム
 ービー風の作りだが、UCLAのフィルムスクール出身の監督は黒沢明の大ファンで彼の
 「生きる」を参考にしたそうな。若い観客よりも中年の方にはジンと来る内容か?
 キャシー・ベイツの○○シーンも楽しい。DVD特典の中で、若い編集マンに同じ素材を
 渡して、それぞれにオープニング・シーンを作らせているのも面白い。


  

「トーク・トゥ・ハー」2002年・スペイン

 監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
 公開中に友人にも勧められたけど題材がちょっとエグいんじゃ?と、正直言って今ひとつ
 劇場に足を向ける勇気がなかったこの私。ビデオリリースされたのでTSUTAYAの半額レ
 ンタルで借りてみた。う〜ん、私が馬鹿でした!凄い!美しい!上手い!無駄がない!音
 楽も素敵!きわどい題材ながらアルモドバル監督ならではの独特の語り口で、考えさせら
 れる<愛の話>に見事にまとめ上げられているじゃ〜あ〜りませんか!前作「オール・ア
 バウト・マイ・マザー」よりもさらに洗練された感じがする。素晴らし〜い!190円で見
 てしまってゴメンなさ〜い!この美しいトーンを、ぜひ劇場でもう1度見たい!お詫びに
 ビデオ花をドドド〜ンと満開に咲かせちゃいましょう! 

「モンキーボーン」2001年・アメリカ

 監督:ヘンリー・セリック
 脚本:サム・ハム
 ティム・バートンが製作総指揮をした「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の監督であ
 るヘンリー・セリックが「ジャイアント・ピーチ」に続いて監督したファンタジック・コ
 メディー作品。セリック監督は80年代にMTVのステーションID(あのMの文字が色んな
 表現で登場するショート映像)で多数の立体アニメーションをモチーフにした傑作IDを
 生み出した人。本作でもコミック作家の主人公(ブレンダン・フレイザー)が描いた猿の
 キャラが、見事な人形アニメーションとして登場する。
正直言って映画としてはイマイチ
 乗りは悪いが、DVDの特典映像にそのアニメーション・シーンのメイキングが入ってお
 り、それがもう必見!人形の足の止め方、実写とのシンクロの方法など、思わずコマ送り
 して見入ってしまう。人形アニメーションやVFXが好きな方はぜひぜひ!


「活きる」1994年・中国

 監督:チャン・イーモウ
 原作・脚本:ユイ・ホア
 脚本:ルー・ウェイ
 「英雄 HERO」がビデオリリースされたので、同じチャン・イーモウ監督の作品でのオ
 ススメ。1940〜60年代の激動の時代の中国を生きた家族のお話。巨費を投じた大河ド
 ラマの、まずはその映像の素晴らしさに驚く。特にモブ・シーン(画面に沢山の人が出
 てくる群衆シーン)が素晴らしい。こうしたスタンダードなものをスタンダードに撮る
 のって凄い実力が必要なんだよね〜。役者も子供も通行人もすべての登場人物が上手に
 コントロールされていて、この監督の計り知れない実力を感じる。正直言って主人公が
 中国の伝統芸である影絵芝居で日銭を稼ぐというシチュエーションが私がツボにはまっ
 た部分でもある。人気作「初恋の来た道」より以前に制作された映画だが、政治的な内
 容が濃いために、検閲の厳しい中国では未だに未公開のまま、日本でも単館のみのロー
 ドショウ公開だったとは信じられない。


「ゴースト・ワールド」2001年・アメリカ

 監督:テリー・ツワイゴフ
 脚本:ダニエル・クロウズ/テリー・ツワイゴフ

 アメリカでカルト的人気のあるダニエル・クロウズのコミックスを映画化。
 好奇心と不安が入り交じった思春期の女の子の複雑な感情をキッチュな感覚で描いて
 いる傑作。主演のソーラ・バーチと彼女にちょっかいを出される冴えない中年オタク
 役のスティーヴ・ブシェミがもう最高〜!


「カラー・オブ・ハート」1998年・アメリカ

 監督・脚本:ゲイリー・ロス
 高校生の姉弟がチャンネル争いの末に白黒のTVドラマ「プレゼントヴィル」の世界に
 入ってしまうというファンタジー作品。日本では白黒画面にだんだん色が付くSFXば
 
かりが注目されヒットしなかったけれど、その内容は心優しく、特に芸術を志す若い
 方々にぜひ観ていただきたい!劇場で観た時に私しゃ1人で号泣してしまいました。
 1988年米アカデミー賞の作品賞・美術賞・衣装デザイン賞の3部門でノミネート。
 主演はトビー・マグァイア。


「ファミリーゲーム/双子の天使」1998年・アメリカ

 監督:ナンシー・マイヤーズ
 脚本:ナンシー・マイヤーズ/デイヴィッド・スウィフト/チャールズ・シャイアー
 ケストナーの児童文学「ふたりのロッテ」を現代風にアレンジしたコメディー。両親の
 離婚が原因で別々に育てられていた双子が偶然出会い、お互いの境遇にビックリ!意気
 投合して何とか両親を元のさやに収めようと奮闘するというお話し。ディズニーのファ
 ミリー向け作品として制作されたものだが、なかなかハートフルで温かいエエ話しに仕
 上がっている。父親役はデニス・クエイド。


「悪いことしましょ」2000年・アメリカ

 監督:ハロルド・ライミス
 脚本:ピーター・トラン/ハロルド・ライミス
 「ハムナプトラ」のブレンダン・フレイザー主演のコメディー。女にモテない主人公の
 前に美女の悪魔が現れて、魂と引き替えに7つの願いを叶えてくれる、という「ファウ
 スト」のような設定のお話し。コメディー作品への出演が多いブレンダンだが、その中
 でもこれは彼のコメディアンとしての実力を特に感じる一品。ただの背の高いボオ〜ッ
 とした兄ちゃんじゃ〜なかった!


「あなたが寝てる間に」1995年・アメリカ

 監督:ジョン・タートルトーブ
 脚本:ダニエル・G・サリヴァン/フレデリック・リボー
 一時期ラブコメにハマって色々と観た時期がありまして、どれもそこそこに楽しいんだ
 けどそのうちに記憶がゴチャゴチャになって誰と誰の恋愛話だったのか?女優がみんな
 メグ・ライアンだったような錯覚に陥ったり・・。そうした中でもこの作品は個性的で
 後々まで記憶に残っている1本です。'93年の「クール・ランニング」のヒットの後に
 タートルトーブ監督が撮った傑作の1つでしょう。主演はメグ・ライアン、ではなくて
 サンドラ・ブロック。


「赤い薔薇ソースの伝説」1992年・メキシコ

 監督:アルフォンソ・アラウ
 原作・脚本:ラウラ・エスキヴェル
 厳格な家庭に育った娘ティタは、愛する青年と結ばれることを許されなかった。料理が
 上手な彼女は自分が作る料理にその感情を込めて相手に伝えるという不思議な能力があ
 り・・。寓話的な題材をハーレクイン・ロマンス小説のような早いテンポで見せる、フ
 ァンタジックで官能的なロマンス大河ドラマ。メキシコの人って熱いな〜。


「恋人達の食卓/飲食男女」1994年・台湾

 監督・脚本:アン・リー
 今やハリウッド監督の仲間入りを果たしてしまったアン・リーの台湾時代の作品。高級
 ホテルのシェフを父親に持つ3姉妹の物語。高齢のため味覚障害が始まった父親の悩み
 と、長女・次女・三女それぞれの恋や悩みが絡む家族劇。ちょっと向田邦子ドラマのよ
 うなしっとりとした味わいがある。しかし何よりもそこに登場する料理の美味しそうな
 こと美味しそうなこと!中華料理好きな人が空腹の時に観たら死ぬかも・・。


「バベットの晩餐会」1987年・デンマーク

 監督・脚本:ガブリエル・アクセル
 料理が素晴らしい映画と言えばやはりこれ!19世紀後半のデンマークの小さな漁村に夫
 も息子も亡くしたという女性バベットが現れ、敬虔なプロテスタントである老姉妹の元
 に家政婦として雇われ静かな生活を送っている。ある日偶然買った宝くじが当たり大金
 を手にしたバベットは、永年お世話になったお礼にと高価な材料を買い込んで晩餐会を
 開くのだが・・。つるの恩返しのようなお話しだが、そこに登場するフランス料理の素
 晴らしさは観ただけで胃液が止まらなくなる。


「黙秘」1994年・アメリカ

 監督:テイラー・ハックフォード
 脚本:トニー・ギルロイ
 スティーブン・キングが主演のキャシー・ベイツのために書いたというサスペンス劇。
 ある殺人事件の容疑者となった母親役のベイツと娘役のジェニファー・ジェイソン・リー
 の葛藤が素晴らしい。モーションコントロール・カメラを多用して、現在と過去のイメー
 ジが入り交じる映像も見もの。キング原作の映画の中では1番、ベイツ主演の映画の中で
 も1番のお気に入り。


「乙女の祈り」1994年・ニュージーランド・アメリカ

 監督:ピーター・ジャクソン
 脚本:ピーター・ジャクソン/フランス・ウォルシュ
 「ロード・オブ・ザ・リング」で一躍有名監督となったP・ジャクソンの'94年の作品。
 僕がこの映画を絶賛したら友人に、その監督は以前に「ブレインデッド」というとんでも
 ない映画を撮った監督ですよ〜!とたしなめられた。恐ろしくて「ブレインデッド」は未
 見だが、これはなかなか実力を感じる一編。母親殺しの話なので後味は最低だが、隅々に
 映画的な感性の冴えが感じられる。多感期の少女が2人で遊ぶ妄想の世界が粘土人形とい
 うのも面白い。


「ガタカ」1997年・アメリカ

 監督・脚本:アンドリュー・ニコル
 立場上SFモノも入れておきましょうね。この映画の素晴らしいところは美術とその世界
 観。派手な未来的なセットを作らなくてもSF映画は撮れる!という良いお手本でしょう
 ね。何てったって黒いスーツ来て黒バックに丸イスに座ってミラーボールの光を受けて、
 それが宇宙ロケットの内部だ!って言うんだから凄い!凄すぎる!デビット・ボウイ主
 演の「地球に落ちてきた男」って映画も似た考えだった。観る側のイマジネーションを
 くすぐるSF作品。好きだな〜。


「プリシラ」1994年・オーストラリア

 監督・脚本:ステファン・エリオット
 オーストラリアの大地を3人のドラッグ・クイーンが大きなバスを走らせてドサ回りの
 旅に出発!3人にはそれぞれ色々な思いが・・。3人のゲイを演じるのが「イギリスか
 ら来た男」の名優テレンス・スタンプ、「メメント」でブレイクしたガイ・ピアース、
 「マトリックス・レボリューションズ」ではとうとう数え切れないほどに増殖していた
 スミス役を演じていたヒューゴ・ウェイビングであるところも今となっては可笑しい。
 その派手さ・生き様・開き直ったポジティブなパワーに乾杯!


「恋する人魚たち」1990年・アメリカ

 監督:リチャード・ベンジャミン
 脚本:ジューン・ロバーツ
 スカパーやケーブルTVなどで良く放映されるので見た方は多いとは思うけれど、やっぱ
 り好きな映画です。母親役のシェール、長女役のウィノナ・ライダー、次女役のクリステ
 ィーナ・リッチ(まだ幼い!)個性的な家庭の個性的でかつキュートなお話し。それぞれ
 のキャラクター設定がハマリ役で可笑しい。時々あのおつまみ料理を食べてみたくなる。


「ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ」1988年・アメリカ

 監督:フランク・オズ
 脚本:スタンリー・シャピロ/ボール・ヘニング
 マペットショーのミス・ピギーやスターウォーズのヨーダなどを操演しその声も担当して
 いるフランク・オズは、監督としても「リトルショップ・オブ・ホラーズ」(1986年)を
 代表とするコメディー作品でその手腕のほどを見せている。これはスティーブ・マーチン
 とマイケル・ケイン主演のダマしダマされのお話し。S・マーチンって善人の役をやって
 も良い人に思えないんで、このペテン師の役は抜群にハマリ役!笑えます。しかしF・オ
 ズ監督作品にはなぜか嘘つきの話が多いんだよな〜。別監督の作品だが「オールオブミー
 突然半身が女に!」(1984年)のS・マーチンも面白い!


「ナチュラル」1984年・アメリカ

 監督:バリー・レビンソン
 脚本:ロジャー・タウン、 フィル・ダッセンベリー
 ずっと以前にやはり映画好きのイラストレーター松下進さんとお逢いしたときに「もしも
 無人島に1人で暮らすことになってビデオを1本だけ持っていくとしたら何を持っていく
 か?」という話題になった時に、2人の意見が一致したのがこの「ナチュラル」でした。
 何度見ても元気がもらえる、そんな希望にあふれた男の映画です。僕は野球オンチだしロ
 バート・レッドフォードのファンというわけでもないけれど、このレッドフォードは格好
 良い!画面の美しさもたまらない!その後日本でもこの映画の映像をパクッたCMが何本
 かあったな〜。


「秘密と嘘」1996年・イギリス

 監督・脚本:マイク・リー
 養女として育てられた黒人女性が、その養母を亡くしたことをきっかけに実の母に逢いた
 いとふと思う。そうしたことから始まる辛く悲しく温かい家族の愛の物語。小津安二郎の
 ファンだというマイク・リー監督作の中でも一番好きな作品。脚本(台詞)を決めずにシチ
 ュエーションのみを役者に説明してディスカッションとリハーサルを通じて演じさせると
 いう方法で制作したというこの作品。全てのシーンが心に焼き付くほど印象的かつ演劇的
 にも素晴らしい。1996年カンヌ映画祭グランプリ作品。


「ユリシーズの瞳」1995年・フランス・イタリア・ギリシャ

 監督・原案・脚本:テオ・アンゲロプロス
 「旅芸人の記録」(1975年)で有名な巨匠アンゲロプロス監督作。相変わらずの長回し
 の画面が目が覚めるほどに美しい。アメリカから久々に祖国ギリシャに帰った映画監督
 (ハーヴェイ・カイテル)が祖国で初めて映画を撮ったマナキス兄弟の失われたフィル
 ムを求めて旅をするうちに・・。カイテルが自分の代表作として挙げるというだけあっ
 て、真面目で思わず背筋がシャンと伸びるような素晴らしいメッセージを持った作品。
 3時間ほどある暗く重い内容だが、映画の持つ力を再確認する傑作。体調の良い時にし
 っかりと観ていただきたい。


「アンダー・グラウンド」1995年・フランス・ドイツ・ハンガリー

 監督・脚本:エミール・クストリッツァ
 旧ユーゴスラビアの50年にわたる悲劇の歴史を、大胆かつ皮肉たっぷりに素晴らしい
 映像と音楽で綴った大狂想曲!SF的な要素も持ったそのストーリー・テーマ・演出・音
 楽・映像、全てが素晴らしい!ブラボ〜!1995年カンヌ映画祭で上記の「ユリシーズの
 瞳」と競った末に、みごとグランプリを獲得した作品。



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