文学と法
文学と法から人間を検証しています。

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 文学と法

 私は、昭和46年に立命館大学法学部を学士で卒業後、同大学文学部英米文学へ学士入学をしました。法学部在学中より、「社会と人間」というテーマに関心を持ちつづけ、現在、教職について一層、それが、研究のテーマとして、明確になってきました。
 本来、人間が「多くを」望まない限り人を傷つけたり、欺いたりし、場合によっては死に至らしめることもないと考えます。しかしながら、自然状態における人間の欲望を規制し、万人の生命・自由・財産を担保するべき「法」に対する認識、及び理解が昨今、希薄になってきています。むしろ、「万人」のための「法」の隙間をぬった事件が多くなってきています。その理由として、「人間」ひとりひとりが、社会的存在であるとする近代市民社会の基本ルールすら無視した反社会的行為に及んでいるからではないかと、考えます。単に法に抵触しないとか、違法ではないからというだけで、犯罪として顕在しない、「精神的」犯罪者がどれだけ多くいることでしょうか。その点について、現行刑法では十分な対応ができていません。
 近時、刑事犯罪の大半は、犯罪者が送った幼児期、少年期の体験が直接、間接、影響をおよぼしていると、考えられます。しかしなが、小学校、中学校の授業で、憲法条文の暗誦以外「法」とは何か、といった授業がほとんど行われていないのが現状です。これについては、教育を全人格教育とは逸脱したところで捉えているから起こる問題でもあります。
 私は、「文学」が現代人の欠落した「感受性」を培養してくれると確信しています。文学は究極、人間の存在を虚構の世界で問いかけ、読む人にさまざまな追体験をさせてくれるものでもあります。その意味で、法の解釈同様、さまざまな、刑事事例を研究していくと、最終的に「人間」とは何なのかが、見えてきます。
 私は法学部の学部卒で大学院を出ていません。でも、長い文学との付き合いで、人間の強欲な面だけではなく、人間の崇高なる気高さ、美しさ、善なる側面も学んできました。また、大学教育の現場(兼担)では、学生たちに「法」をこころの窓を通して見るよう指導し、それを基本に「事例研究」の講義・演習を行ってきました。今後も「刑法」では、犯罪行為へいたる動機と動機を誘発させる精神的「引き金」について、研究を続けていきたいと、思います。「法」と「心理学」は言い換えるなら、「法」と「文学」の領域でもあり、学際的にこの分野の研究に取り組んでいきます。(森川展男)





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