消えたフクロウ
| 「色白母さん」と呼んでいるフクロウがいます。 彼女は私が観察しているフクロウの中でとりわけ色が白いのでそう呼んでいます。私が彼女と出会ったのは7年前のこと、それから3年かけて彼女が子育てをする洞を探し出しました。その洞は直径30p、深さ60pの竪穴で、地上から5mという高さにあり、観察させてもらうにはとてもよい条件です。彼女はそこで毎年3羽のヒナを育てあげる立派な母親です。また、彼女は自分よりひとまわり体の小さいオスとペアを組んでいて、そのオスのしとめる獲物はなぜか鳥類が圧倒的に多く、巣の中はいつも犠牲になった鳥たちの羽根でいっぱいでした。 |
|
![]() 色白母さん |
![]() ペアを組むオス |
彼女が産卵をするのは比較的早く、今年も3月に入るとすでに抱卵をしてました。観察は例年通り続け、3月中旬に3個の卵を確認、3月下旬に1羽目が孵化、4月に入ると3羽目も無事に孵化しました。4月11日にヒナたちが私を威嚇するまでに成長したのを確認してからは、他の巣での観察が忙しくしなったので、しばらくこの巣に訪れることがませんでした。 そして4月22日、ヒナたちは随分大きくなっただろうと期待しながら巣を訪れました。まず、長い竿で巣の中の様子をうかがってみると何の反応もなく、色白母さんはもうヒナを抱いていないようです。それにしてもヒナの威嚇音がしないのは変です。巣立つには早すぎますが、巣立った形跡がないか周囲を見渡しますがそんな形跡はありません。 異変に気づき木に登り、おそるおそる巣の中を覗くと、予感は的中。3羽のヒナが蒸発という、全く信じがたいことが起きたのです。 テンがヒナを襲うという話を聞きます。しかしフクロウのヒナは小鳥のヒナなどとは全く違い、激しい抵抗をするはずです。それに、人間でさえ攻撃をする親フクロウがそう簡単に外敵を巣に侵入させるとは考えられません。 それでは密猟? そんな心無い人がこの森に入るとは信じたくありませんが、フクロウのヒナは高値で売買されるとも聞きます。しかし、フクロウのヒナを盗むには相当の準備が必要です。それにヒナは3羽もいたのです。 こうして考えても、なぜヒナたちが消えてしまったのかどうにもわかりません。 |
|
![]() 4月11日 フクロウ三兄弟の最後の姿 |
|
| もしヒナたちがが巣立っていれば、彼らの鳴声が聞こえるはずと、微かな望みを抱いて夜の森へ入ったのですが、私を待っていたのは静寂だけでした。 この営巣木は昨年の大きな台風に耐え、幹に亀裂を生じながらも生き残ってくれた大切なフクロウの木です。3羽のヒナの巣立ちを心待ちにしていたのに残念でなりません。 何が起きたのかわかりませんが、来年も色白母さんがここで子育てをしてくれることを願うばかりです。 |
|
フクロウノートのトップへ |
|