…福山先生、今回は下がった歯ぐきをきれいに治療する方法についてお話頂けるということですが?
福山−はい。写真Aのように歯ぐきの辺縁が下がり(歯肉退縮)歯根が露出すると、知覚過敏や歯根部のむし歯、(歯根カリエス)を起こしやすく、審美的にも問題を起こしてきます。近年の歯周病治療学の発達により、高度な歯肉退縮に対しても有効な治療法が開発されてきました。代表的な治療法としては、以前本誌でご紹介した歯肉弁側方移動術と遊離歯肉移植術です(写真B)が、今回ご紹介するのは、比較的新しい治療法である遊離結合組織移植術についてです。患者さんは、41歳の男性で右上犬歯の知覚過敏と歯肉退縮が気になるということでご来院さないました。初診時の診察では、右顎犬歯に歯肉退縮(7〜8mmの歯根露出)と冷水痛が認められました(写真C)
…どうしてこのような歯肉退縮が起こったのでしょうか?
福山−図1にMaynardの分類を示しますが、タイプ4のように歯肉・歯槽骨が薄い方では不適切なブラッシングや炎症(歯周病)、咬合性外傷(歯に対する過度なストレス)、矯正治療などによって容易に歯肉退縮が起こります。この方の場合、今までかたい歯ブラシを使用しており、習慣的な磨き方の観察などから、この部位のブラッシング圧が強く、歯肉・歯槽骨もあまり厚くないため歯肉退縮が起きたものと推察いたしました。
…どのように治療なさったのですか?
福山−この方法は、口蓋(上顎の歯の裏側部分)から粘膜下の組織を採取し退縮した歯の歯根面処理と周りの歯肉の処置をした後、その採取した組織を移植する方法です。
…この処置のメリットはなんでしょうか?
福山−この処置により、丈夫な厚みのある歯肉が再生され、知覚過敏が消失し、根面カリエスを防ぐことができます。そして、何よりも傷あとの残らない自然な歯肉の色調や形態が回復でき、審美的改善が得られます(写真D)。
…これなら、思いきりスマイルできますね?
福山−お口の健康に対する意識が高まっている昨今、歯だけでなく歯周組織にも目を向けて、常に歯周組織とのバランスや審美的なことを考慮した治療が必要だと感じています。
…本日はありがとうございました。