2003年3月号
Q.最近大分に帰郷しましたが、東京でインプラントを勧められていました。雑誌や本で、インプラントについていろいろ読んだりしましたが、一部に否定的な記事もみられました。先生のインプラントに対するお考えや最新の情報などがあればお聞かせ下さい。
A.スウェーデンのブローネマルク博士が科学的根拠に基づいてインプラント治療を臨床応用して、今年で38年が経過します。この間、多くの研究データが蓄積され、現在インプラントは国際的にも広く臨床に受け入れられるようになりました。ちなみに最初に応用された患者さんのインプラントは、38年を経過した今も問題なく機能し続けています。日本では、このタイプ(オッセオインテグレイティッド)のインプラントが導入されて20年以上になりますが、いまだにインプラントに反対する歯科医がいることは事実です。確かに、ずさんなインプラント治療を受けて、悩んで相談にいらっしゃる患者さんをお見受けすると心が痛みますが、だからといって全てのインプラント治療が間違っていることにはならないと思います。十分な科学的研究データのあるインプラント(一概にインプラントといっても様々あります)を用いて、整備された施設で、十分にトレーニングを受けたドクターが行うインプラント治療は、安全であり、患者さんの自己管理(プラークコントロール、禁煙、全身の健康管理)と定期検診を行う事により、インプラントは長期的にも安定して使用可能であることは証明されています。ただし、全ての人にインプラントが最善の治療法という訳ではないと思います。インプラント治療は健康保険がきかない経済的負担の大きい治療ですし、外科処置を伴う治療ですから、その方の局所的・全身的状態、社会的状況などをよく考慮した上で行われるべきだと思います。歯周病やむし歯がコントロールされていない状態や咬み合せが不安定な状態で部分的に安易なインプラント治療をしても、うまくいかないのは明らかです。要は、インプラント治療を行うドクターがきちんとしたフィロソフィー(哲学)を持ち合わせているかどうか、患者さんがインプラントについて理解し、自己管理ができるかどうかが問題となるのではないでしょうか。また、最新の情報ということですが、最近の傾向として、即時あるいは早期にインプラント上部の冠や義歯を仕上げ、治療期間を大幅に短縮するようになってきております。さらに、失われた骨の再生療法の進歩により、これまではインプラントができないとされていた症例でも治療が可能となってきております。治療を希望される場合は、詳しい検査を受け、担当医とその治療法について十分な話し合いをした上で治療法を選択なさることをお勧めします。
(追記:最近、当院の患者さんが「インプラントをしてCTやMRIの検査を受けると大変な事になる」などとお友達からおどかされて不安に思われたそうですが、そのようなことは絶対にありませんので、ご安心下さい。)