歯周外科処置
歯肉弁側方移動術、遊離歯肉移植術
>>福山先生、今月号ではどのような症例を御紹介して頂けるのですか。
福山>>今回はとてもデリケートな症例で、一般的には治療ができることをあまり知られていない〃歯肉の退縮〃です。
>>どういうものなのでしょうか。
福山>>写真1の上顎の左右に歯肉が滅り、歯根面が露出している箇所があります。このような状態をさします。
>>歯肉が退縮してしまう原因は何ですか。
福山>>解剖学的に非薄な歯周組織、強いブラッシング、歯周病、外傷性咬合(歯に対する過度なストレス)など個々によって様々なケースが考えられるんですよ。症状としては冷たい物がしみるなど知覚過敏などが挙げられますが、中には見た目が気になる方もいらっしやいます。
>>治療方法を教えて下さい。
福山>>右側は歯肉の退縮部の範囲が狭いために(写真2)、歯肉弁側方移動術という外科処置を行いました。これは近くの歯肉弁を退縮部分に移動させる手術です(写真3)。また、左側は退縮部の範回が広いために(写真5)、別の簡所から歯肉を採取し(写真6)移植する遊離歯肉移植術を行いました。その治療後が写真4,7,8です。
>>歯と歯肉は再付着するのですか。
福山>>手術中に、歯根表面にテトラサイクリン又は酸による処理をするようになってから、再付着の成功率がグンと上がりました。また、移動・移植した元の部分は再生するので心配いりません。
>>はじめに先生が歯肉の退縮は治療できることを知らない方が多いと言われていましたが、この患者さんはどうだったのですか。
福山>>クリニックを訪れたきっかけは、歯の色が気になるのでラミネートベニヤかポーセレンインセラムを希望したいとのことでしたが、総合的な診査をし、歯肉の退縮が治療できることも告げると、ぜひにということでまず歯肉の改善を行い、そして歯の着色の改善に移りました。お口の健康については、やはり歯だけでなく歯周組織もに目を向けて、常に歯周組織とのバランスや審美的なことを考慮した治療が必要だと感じます。
>>どうもありがとうございました。
近況:現在(2003年12月)、術後8年が経過していますが、歯肉の退縮や歯周ポケットは全く認められず、経過良好です。