ダイヤ・ノ・ヒト
     歌と、芝居と、わたし。

安曇野めぐ留

2003年12月11日更新

第18話 引っ越し苦労

 年末になると大掃除という、大騒動がやってくる。最近は"部屋をかたづけられない女達"が増えているらしいが、賞味期限切れの食品や、ゴミをためるほどではないにしろ、普段からあまり掃除が得意ではない私は、大掃除という行事が大嫌いだ。年始は新しい気持ちで迎えたいものの、いつもより気合を入れてやるには、家が散らかりすぎている。お掃除業者にお願いするにも、その前にある程度かたづけなきゃいけないんじゃないかと思うと、現状維持のまま、何年も新しい年が過ぎていった。家の近くにある、全国から集められた古い家が並ぶ民家園にもよく遊びに行くが、昔の人は収納を上手く使って、広々とした空間に暮らした。「いったい私のかたづけ方に、何が足りないのか・・・。」掃除を始めるとすぐにそんな事に悩まされ、嫌になって中途半端に終わる。キレイ好きで掃除好きのダンナさんが欲しい。
 今月の初めに引越しをした。実家から歩いて十分、静かな住宅地に移った。日当たりはあまり良くないものの、大家さんもいい人で、後はダンボールの山をなんとかすれば、明るい未来の予感。朝の5時半から近所の犬達の会合が始まるので、必然的に早起きになり、体に良い。母や愛猫はずいぶんと寂しそうにしているが、女の子を持てばいつかはこんな日が来るのだから、今は泣いてもらおう。
 引越しは今回で2回目。1回目は六本木で働き始めてすぐ、世田谷の三宿に1ヶ月22万円2LDKのマンションを借りた。ワンルームでも10万円するならと、同じ店で働く気のあった女の子と二人で暮らし始めた。頭金はお店からの前借などですませなんとかなったものの、同居人はもちろん筋金入りの水商売の人。お金の使い方も、生活観も私とは全然違って、毎日毎日、次から次へと問題は起きた。部屋はお互い一部屋ずつあったので、彼氏を連れてくるなどのプライベートは暗黙の了解で、口を出さないとなっていたが、電気やエアコンのつけっぱなしや、気に入って大事にしていたタオルが雑巾にされていたりだとかにはじまり、相手の家賃や光熱費がそろわなければ、自分が立て替えるか滞納となるし、他人と暮らすのは本当に大変な事だった。だからといって、男と女のようにけんかして別れたりもできないし、また別々に新しい場所へ移る為のお金もすぐには用意できないから、お互い顔色を窺ったまま、ガマンするしかない。仕事仲間にもよく相談したが、みんな口をそろえて「男と住むよりシンドイよ」と言った。確かに、惚れたはれたの関係は、いくらもめてもホレタ弱みっていうのがあるから、何とかなってしまったりするが、どんなに好きな男の人との同棲だって上手くいかないのに、ただ気があう同性との同居は「育ってきた環境が違うから・・・」とSMAPの歌の歌詞のようにはすまされなかった。
 あの壮絶な引っ越し体験から、もう二度と安易に引越しはしないと心に決めていた。あれから5年、今回の引越しが吉と出るか、凶と出るか、毎日楽しくダンボールを開けている。