ダイヤ・ノ・ヒト
     歌と、芝居と、わたし。

安曇野めぐ留

2003年12月18日更新

第19話 男の強さ

 今年も残すところ何日かに迫ってくると、小学生のころから教わってきたように、「来年はどんな一年になってくれるのか?どう過ごすのか?」と、抱負を考えるように癖づいている事に気付く。去年の決意が、今年は守られ叶ったかは別としても、未来を想像して目標を立てる事は、私の小さな希望にもなる。先日、年の近いプロ野球選手の友人から電話をもらった。彼は来年からアメリカに渡り、最後のチャンスになるかもしれないテストに挑戦すると話してくれた。どんな結果が待っているかはわからないが、新しい場所で一からチャレンジする人の決意と覚悟には、本人と同じように胸は高鳴り、私はエールを送った。
 私の歩いてきた道とスポーツ選手としての道は、全く違ったものではあるが、自分の納得のいく場所まで目指す過程は心細くあることもあり、こうやってお互い刺激し合い、励ましあっては継続していける。
 野球やアメフトの選手、職人などの体を使って現場で働く男の人達に共通して言える事は、瞳の強さがある。鍛えられた肉体や強さが、男としての自信になっているのか、頼りがいのあるタクマシサを感じるのだ。もちろん、ピアニストや画家などの文科系の人が頼りないという訳ではないが、重い荷物を軽々持ち上げたり、筋肉質の体は、何が起きても守ってくれるような安心感を与えてくれる気がする。以前は、細身で色白、スマートな頭脳派の男の人が好みだった。ナヨナヨして、私がいなきゃダメになってしまうような人ばかり選んで恋愛してきた私も、最近では硬派で力持ちが男性への絶対条件で、好みが180度変わってしまった。今までの遠回りで学習した事は、それはそれは計り知れないことだった。
 水商売のバイトを始めてから数ヶ月で、日々勉強の努力の甲斐あってだろうか、私のお給料は倍以上に上がった。週3から週5の全出勤に変わり、親にも気付かれてしまえば、父の反対を押し切って家を出るしかない。また、高給取りになれば、仕事への責任感や自立心も生まれ自信と活気に満ち溢れてくる。職場ではお客様が一番で、一席一席全力でできる限りの最高のおもてなしをする。家に帰る頃や休みには疲れきっているから、彼氏にまでは同じ事をできないし、「尽くして欲しいと言うなら、私の生活の面倒を見てくれるくらいじゃなければダメ」となる。たいていの人はここで、「結婚しよう!」ではなく、「馬鹿にされた!」と机を叩いて出て行くか、音信不通になり、結局お金のない言う事を聞いてくれる彼氏しか残らないから、男の人に頼るというよりも、自分が面倒を見る場面の方が増えていった。店裏も女の花園で、男性スタッフはホステスを褒め上げ、頭を下げて走り回る。高額な売上を出す女達が、店の中でもやっぱり強い。本当は強い男性にしっかり支えてもらいたくてもひと粒だって涙は流せずに、高いハイヒールで、弱音を吐こうとする自分と六本木のコンクリートを蹴り上げるのだ。
 女の人がだんだんと強くなれば、主義主張も増えていく。「女は3歩下がって黙ってついて来い!」の時代が、この先はどう変化して行くのかとても楽しみではあるが、めっきり弱くなってしまった男性達にも、負けずにたくましく、男らしさを追求していってもらいたいと思う。