永井義男

2009年11月5日更新

永井さんの新刊についての情報はこちら。

吠176 フーゾクの三分類 

 これは以前にも書いたことだが、現代、性風俗店は百花繚乱といえる。
 ヘルス、エステ、性感、ホテトル、ホテヘルなどなど。
 しかし、その違いがよくわからない。

 江戸時代も性風俗産業は百花繚乱で、遊里には吉原、岡場所、宿場などがあったが、幕府の公認かどうかの違いがあった。営業地域も画然と異なり、明確に区分できた。
 ところが、現代の風俗店の違いはよくわからない。
 もちろん、ソープランドやピンサロ、キャバクラなどの違いはわかる。
 筆者がよくわからないのは、近年になって登場した上記のような風俗店である。

 サイトなどに出ている店のシステム案内なるものを読んでも、依然としてあいまいである。
 要するに、客の男の目的はずばり「射精」である。
 その目的を実現させるためのプロセスの違いということらしいのだが、やはりよくわからない。なぜ、ヘルス、エステ、性感などの名称の違いがあるのか。
 最後の目的は同じであろうよ。店舗の外見もさほど区別があるようには思えないし、場所が画然と異なっているわけでもない。
 う〜ん、よくわからない。

 さて、『フーゾク進化論』(岩永文夫著、平凡社新書、2009年)を読んでいて、
「ああ、そうだったのか」
 と、思わず膝を打った。
 同書は現代の各種風俗店を、「飲食系」「健康系」「紹介系」に3分類している。
 目から鱗が落ちるとはこのことである。
 3種に分類すると、じつによくわかる。
 以下、同書にのっとりながら、見ていこう。

・飲食系
 客が飲食をしながら、接客の女性と意気投合し、つい関係が発展してしまった――という建前をとるもの。そのため、いちおう飲み物などを供する。
 銘酒屋の二階でおこなう座布団売春、ピンサロ、出会い系カフェなどなど。

・健康系
 客は健康増進のため風呂にはいり、マッサージを受けにきたが、マッサージされているうちに女性と気持ちが通じ、つい発展してしまった――という建前をとるもの。そのため、いちおうマッサージの用具をそろえ、真似事もする。
 ソープランド、性感マッサージ、アジアンエステ(韓国式・中国式)、ファッションヘルス、マットヘルス、回春マッサージなどなど。

・紹介系
 店は客の男にあくまで交際相手の女性を紹介しただけだが、ふたりはたちまち意気投合して、そのまま男女の関係になってしまった――という建前をとるもの。そのため、無店舗形式で、客と女性はラブホテルなどを利用する。
 マントル、ホテトル、デリヘル、ホテヘルなどなど。

 要するに、風営法で認可してもらうための業態の違いなのだ。売春防止法違反や風営法違反で警察に摘発されたときの、店側の言い訳でもある。
「けっして店がやらせているわけではありません。女の子がつい、一線を越えてしまったんですよ。やはり女の子ですから、ふらふらとなったんじゃないでしょうか。きびしく注意しておきますから、はい」

 それぞれ建前はあるが、最後におこなうことは同じである。


第1話〜第100話は、こちら

吠101 接待の構図は変わらない
吠102 勝海舟は片キンか
吠103 食品偽装はマンガ
吠104 ストーカーについて
吠105 けっきょくは運
吠106 朝風呂は爽快、朝飯もうまい
吠107 吉原の虚構
吠108 吉原350年
吠109 浄閑寺を訪ねて
吠110 江戸の69
吠111 屋上の露天風呂
吠112 三島を歩く
吠113 日本美術と五浦
吠114 滅び行く煮魚
吠115 官能小説の怪
吠116 聞くに堪えない発音
吠117 昔ながらの中華そば
吠118 三食、讃岐うどん
吠119 ペリーとハリス
吠120 食料自給率39%
吠121 もう、フロストを読めない
吠122 塔ノ沢でフランス料理
吠123 つまらない散歩
吠124 圏外の温泉
吠125 まさか、ラブホテル
吠126 秩父のサルスベリ
吠127 クサヤの干物
吠128 秘湯に行ってきた
吠129 武士の日常
吠130 武士の日常(2)
吠131 月代は若ハゲ
吠132 小汚い老人
吠133 宇都宮で餃子を食う
吠134 古河に永井寺があった
吠135 キャリアの醜聞愚行
吠136 恐怖の拷問写真
吠137 モンゴル族の馬術
吠138 香港で食ってはみたが
吠139 香港の不倫カップル
吠140 厄年
吠141 セックスレスの夫婦
吠142 大丈夫ですか症候群
吠143 夫が許せない
吠144 長瀞でぼたん鍋
吠145 60歳の娼婦
吠146 岩盤浴を初体験
吠147 桜にメジロ
吠148 江戸の相撲
吠149 H氏の自殺
吠150 花便り
吠151 奉行と代官に見習え
吠152 校正にインターネット
吠153 芝桜と岩藤
吠154 佐倉から花便り
吠155 日本語はどうなる
吠156 横浜開港150年
吠157 横浜山手便り
吠158 ことばを変えるな
吠159 千葉県から花便り
吠160 老化現象
吠161 箱根の関所
吠162 宿泊形態の変化
吠163 小伝馬町の牢屋敷
吠164 小伝馬町の牢屋敷・続
吠165 熟女の痴態
吠166 夏の花便り
吠167 江戸の男はなぜ元気だったか
吠168 東京・埼玉花便り
吠169 小塚原の刑場跡
吠170 鈴ケ森の刑場跡
吠171 江の島便り
吠172 巾着田の曼珠沙華
吠173 豚児
吠174 鼻血ブー
吠175 街の声